全国から問い合わせが殺到するという知る人ぞ知る人気ショップ「ゴルフステージ成城」のクラブナビゲーター吉田朋広氏に2025年9月に発売されたグラファイトデザイン「ツアーAD FI」と「ツアーAD DI」を比較検証してもらった。

突然ですが、皆さまはグラファイトデザイン社のシャフトマップはご存知でしょうか?

シャフトに造形が深い方々は知っていると思いますが、グラファイトデザイン社のホームページやカタログに掲載されているツアーADシャフトポジションマップというものがあります。発売されているシャフトがどのポジションに位置しているのか一目でわかるものになっています。このシャフトポジションマップで新製品の「ツアーAD FI 」が「ツアーAD DI」と非常に近いポジションに位置付けされているとのことが話題になっています。

一部の方からは FIはDIの後継モデルなのか? とも言われています。

実際にシャフトポジションマップを確認してみると確かにツアーAD FIとツアーAD DIはほぼ同じポジションに位置していることがわかります。

画像: グラファイトデザインのホームページに掲載されている「ツアーAD シャフトポジションマップ」

グラファイトデザインのホームページに掲載されている「ツアーAD シャフトポジションマップ」

そこで今回は9月に発売された「ツアーAD FI」を「ツアーAD DI」と比較して検証してみたいと思います。

シャフトスペックは最もアマチュアゴルファーに人気の50グラム台のSフレックスFI 5Sと DI 5Sを用意しました。

画像: 50グラム台のSフレックスFI 5Sと DI 5S

50グラム台のSフレックスFI 5Sと DI 5S

ツアーAD FIはどんなシャフト?

先ず「ツアーAD FI」がどのようなシャフトなのか検証してみたいと思います。

ツアーAD FIはツアーADの2026年モデルとして2025年9月に発売されたモデルで40グラム台「FI 4」、 50グラム台「FI5」、60グラム台「FI6」、70グラム台「FI7」の4つの重量帯が用意されています。「FI」のネーミングの由来は「BALL FLIGHT INTELLIGENCE」。FLIGHT 「F」 INTELLIGENCEの「I」の頭文字を取ったものです。

画像: 50グラム台「FI5」

50グラム台「FI5」

過去にツアーADに多く採用されているグリーンのシャフトカラーを採用していますが、FIのグリーンは鮮やかな濃いめが採用されています。実は長い歴史のあるツアーADブランドですが、2025年モデルのツアーAD GCから新しい設計が採用されている第二世代へと進化しています。ツアーAD FIは第二世代の二代目のシャフトで、GC同様に従来のモデルに比べ低重心・低スピン化するヘッドトレンドに合わせてシャフトのねじれとつぶれを抑えて高いミート率を実現できる設計になっています。

新世代のニュートラルシャフト(高い安定性)として登場したGCに対して、FIはシャフト先端部分を特殊技術で補強する「トルネードチップテクノロジー」が採用され、高いボールスピードと高い打ち出し角度を実現する設計の「次世代の高初速・高打ち出し」シャフトとなっています。

DIについてはこちらの記ことでまとめていますので、よければチェックしてみて下さい。

実際にFIの5SとDIの5Sを比較して検証する

実際に打ち比べてみるとシャフトポジションが近いモデルながらフィーリングには大きな違いを感じます。シャフトフィーリングに影響するシャフトの各部分を「手元側(BUTT)」「中間部(MID)」「先端部(TIP)」に分けて比較してみましょう。

ツアーAD FI5(S)
シャフト重量57グラム
トルク4.5
中調子 
BUTT径15.35
シャフト振動数 259CPM

ツアーAD DI5(S)
シャフト重量57グラム
トルク4.7
中調子 
BUTT径15.20
振動数256CPM

手元側(BUTT)

FI 5S

しっかりとした剛性感を感じる手元剛性です。潰れに強い剛性感は強めの切り返しにもレスポンスの良さを感じられます。ダウンスウィングでしっかりと手元部分にテンションをかけることができるアスリートゴルファー向けの設計になっていることがわかります。

DI5S

プロ・アスリートモデルのシャフトながらFIと比較すると手元側の剛性は硬くなく、ハリ感も感じられず、切り返しのしやすさを感じられます。そもそも「DI」は「PT」をベースに作られていることもあり、手元側の剛性は硬くないのが特徴です。

中間部(MID)

FI5S

手元側から連続するしっかりとした剛性が感じられます。強いフィジカルにも対応している設計は中間部分のつぶれ感がなく、エネルギーをロスすることなく先端部分にパワーを伝えてくれる剛性になっています。

DI5S

手元側から特に大きな剛性の差を感じることなくスムーズなしなりを感じられます。中調子シャフトらしく中間部分にしなるポイントを感じられ、しなやかなシャフト挙動でスムーズにヘッドをインパクトエリアに導きやすく感じられる中間剛性です。

先端部(TIP)

FI 5S

中間部分から連続しているしっかりと先端部分の剛性は最新の大慣性モーメントヘッドに対応しているため、非常にしっかりとしているフィーリングです。余計なねじれを感じることがなくスッキリとした挙動はスピード感もありますが、インパクト時に当たり負け感のないしっかりとした剛性です。先端部分に採用されている「トルネードチップテクノロジー」は高初速と高打ち出しを実現しているとのことですが、高初速のほうが感じやすい設計です。

DI 5S

「DI」のネーミングの由来の「DEEP IMPACT」を実現しているしっかりとした先端部分がDIの特徴ですが、FIに比べると剛性感は高くなく、マイルド感があります。

先端部分のやや上の部分がやわらかい剛性になっていることで、剛性の差があり先端部分はしっかりした感じになりますが、挙動に安定感があり重厚なインパクトを実現してくれる先端部分の剛性はDIらしさを演出している特別な剛性感です。

FIとDI総評

今回はグラファイトデザイン社のシャフトポジションマップで近いポジションに位置付けされているツアーAD FI とツアーAD DIの5Sを比較して検証してみました。

実際に打って比較してみると二つのシャフトはシャフトポジションマップのなかでは近いフェードポジションに位置付けされてはいるものの、シャフトの各部分を比較するとシャフト設計による剛性の違いでフィーリングには大きな差を感じました。新世代の設計のFIは新しい基準のアスリートモデルとして左へのボールの巻き込みを気にすることなくしっかりと振り抜ける、スッキリとした剛性感が印象的な中調子シャフトでした。

画像1: FIとDI総評

一方で、DIは2009年の発売から約16年もの間ツアーADブランドを代表するシャフトとして手元側からしなやかさを感じ先端部分がしっかりとしているシャフトフィーリングはDIだけが持つ唯一無二のものです。ブレのない安定した中弾道が印象的な中調子シャフトでした。

2025年発売のFIと2009年発売のDIを同じシャフトポジションマップ上に位置付けすることはグラファイトデザイン社としても非常に苦労したのでは? と推測します。FIもDIもプロ・アスリートゴルファーのフェードポジションシャフトとしてその時代のヘッドのトレンドに合わせて求められる要素を最先端の技術によって作り上げられたシャフトです。

画像2: FIとDI総評

機会があれば是非打ち比べてみてグラファイトデザイン社のツアーADのフェードポジションシャフトの新世代、旧世代シャフトのフィーリングの違いを試して欲しいと思います。

16年の時の変化を感じられると思います。

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