ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、DPワールド(欧州)ツアーのブリティッシュマスターズとBMW PGA選手権で優勝したアレックス・ノレンについて語ってもらった。
画像: DPワールド(欧州)ツアーのブリティッシュマスターズとBMW PGA選手権で優勝したアレックス・ノレン

DPワールド(欧州)ツアーのブリティッシュマスターズとBMW PGA選手権で優勝したアレックス・ノレン

欧州ツアーの"練習の虫"

画像: 「先日日本で開催されたベイカレントCレクサスにも出場。“カット打ち” ドリルをしていました。手をすごく低くして、左に振り抜いてカットフェード打つイメージを染み込ませているんです」(佐藤プロ)

「先日日本で開催されたベイカレントCレクサスにも出場。“カット打ち” ドリルをしていました。手をすごく低くして、左に振り抜いてカットフェード打つイメージを染み込ませているんです」(佐藤プロ)

「Hardest Workerin Golf」。日本語で言うところの〝練習の虫〞が、42歳のアレックス・ノレンです。8月、DPワールド(欧州)ツアーのブリティッシュマスターズで、7年ぶりに11勝目。さらに3週後のBMW PGA選手権で12勝目。BMWはライダーカップの前哨戦で欧州選抜の11人が出場、その中での優勝でした。ライダーカップのキャプテンピックはその前週でしたが、BMW後ならメンバーに選ぶかどうか、ルーク・ドナルドが頭を痛めたに違いありませんが、バイスキャプテンとなり、欧州選抜の勝利に貢献しました。 

さて、〝練習の虫〞ぶりを象徴するのが手のひらのまめ。メディアでも繰り返し紹介されてきました。14年には両手首を手術しましたが、普通一方の手首を痛めれば、そこで休養するなり手術したりするもの。しかし、両手首を故障するまで練習するのがノレンなのです。 

手術後に結婚、娘が生まれたこともあり、昔ほど練習できなくなったと当人は言いますが、マイケル・キムのSNSへの投稿によれば、「ノレンは右手の皮膚が擦り切れて痛くなるまで打ち続ける。するとその後、右手にグローブをしてまだ打ち続ける」。 

両手首の手術から復帰した15年には、地元スウェーデンのノルデアマスターズで4年ぶりに復活優勝。16年には年間4勝を挙げ、賞金ランク3位、世界ランクも9位まで上がりました。18年からは主戦場をPGAツアーに移します。 

昨年は、開幕戦に向けて練習している最中にハムストリングスを痛めて、フィジカルトレーニングはもちろんクラブの振れない時期が3〜4カ月あったようです。ノレンにとって相当なストレスだったに違いありません。ちなみにその間は娘のソフトボールの手伝いをしていたとか。ようやく5月に復帰すると、2戦目の全米プロではスコッティ・シェフラーと最終日最終組を回ります。最終日に崩れて17位に終わりますが、その後7月の3Mオープンで7位、ウィンダム選手権で3位。プレーオフシリーズには進めませんでしたが、前述のように舞台を欧州に移して2勝を挙げたのです。 

ノレンのPGAツアー未勝利は、ツアー七不思議のひとつに数えられます。しかし近いうちにPGAツアーでも珍しい40代の初優勝はもちろん、マーク・オメーラの持つメジャー最年長初優勝(98マスターズ=41歳2カ月)の更新も期待できるのではないかと思っています。 

もともとはボールがつかまりすぎる〝フッカー〞。安定感を求めてかフェードヒッターに転向しましたが、試合中も昔のドローヒッターの癖が顔を出すのでしょう、打つ前にシャドースウィングを繰り返しては、クラブポジションを確認、毎ショットをカットで打つイメージ作りを繰り返し行います。

42歳になってもまだ上手くなりたい、強くなりたいとの思いを抱き続けるノレンの姿は、多くのゴルフファンに刺激を与えてくれます。

撮影/岩本芳弘

※週刊ゴルフダイジェスト2025年11月18日号「さとうの目」より

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