
【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/59.0度 ●ヘッド体積/460cc ●価格(税込)/9万3500円※すべてメーカー公表値
ツアーモデルながらもやさしさが詰まってる
GD 今回はブリヂストン「BX2HT ドライバー」(以下、BX2)を分析していただきます。「ブリヂストン」の“BXシリーズ”は、ツアーモデルの立ち位置になります。そしてモデル名の数字が大きくになるにつれて、つかまりやミスヒットの強さに性能を振っているという印象です。
松尾 そうですね。この連載で兄弟モデルに当たる「BX1STドライバー」を分析しましたが、非常に小ぶりなヘッドで操作性が抜群な性能でした。一方でヘッドの慣性モーメントが小さく、ミスヒットへの強さは控え目。まさしくツアーモデルらしいドライバーでした。

兄弟モデルの「BX1ST」は実測のヘッド体積が435ccと非常に小ぶりで操作性が抜群だった。状況に応じて弾道を打ち分けやすい本格派のドライバーだった。今回紹介する「BX2HT」はどんな性能になっているのか?
GD 「BX2」は前モデルの「B2HT」(以下、B2)の後継になりますね。
松尾 はい。「B2」の性能をおさらいすると、【アップライトなライ角+フックフェース+ヒール寄り重心】の組み合わせで、つかまりを意識した設計になっています。加えて高重心設計で、キャリーが安定して飛ぶモデルです。
GD 「BX2」はどんな性能ですか?
松尾 前作の基本設計はしっかり引き継がれています。ライ角が61.5度とかなりアップライトです。フェース角は「B2」がフック1.5度でしたが、「BX2」ではフックフェース1.0度とわずかにスクエア方向に。構えた時にボールに対して被る印象を消すための設定だと思います。そしてフェース面上の重心はドローバイアスではあるものの、「BX2」ではやや中心側にシフトされました。

「BX2HT」はアドレスでスクエアに構えやすくなった
GD つまり重心距離が長くなったということですか?
松尾 そうです。比較してみると「B2」が37.8mm、「BX2」は40.8mmと3mm長くなりました。さらに重心深度(標準値:39.0〜40.0mm)を見てみると、「B2」で41.3mmと深い値でした。しかし「BX2」では42.6mmとさらに深い設計になりました。
「BX2」は長く、深い重心設計になり、それに伴いヘッドの慣性モーメントも「B2」よりも大きな値に(4922g・㎠→5215g・㎠)なりました。

「BX2HT」は重心が深く、長くなりヘッドの慣性モーメントも大きくなった。つかまり性能を維持したままミスに強いドライバーに進化した
GD つかまり性能はそのままに、ミスヒットに強い仕様に進化したわけですね。
松尾 一方でヘッドの操作性を判断できる、ネック軸回りの慣性モーメントは非常に大きな値になっているため、兄弟モデルの「BX1ST」のようなインテンショナルに打ち分けることは苦手な側面もあります。
ですからヘッドの自然な挙動でオートマチックにつかまえて、ミスを恐れることなくフェアウェイに運びたいゴルファーは試してみるといいと思います。
