ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、今年、初優勝の可能性がある選手として開幕から注目していたリコ・ホーイ選手を紹介する。
画像: 「『超レイジー(怠惰)』というのが、USCの先輩でありチームメイトの杉本エリックのホーイ評。ベイカレント C レクサスでショットを見ようと練習場に走りましたが、すでにコースを後にしていました(笑)」(佐藤プロ)

「『超レイジー(怠惰)』というのが、USCの先輩でありチームメイトの杉本エリックのホーイ評。ベイカレント C レクサスでショットを見ようと練習場に走りましたが、すでにコースを後にしていました(笑)」(佐藤プロ)

フィリピン生まれ、カリフォルニア育ちの30歳。ルーキーイヤーだった昨年、ランク86位で初シードを獲得しました。 

7月のウィンダム選手権終了時点ではランク106位。プレーオフには進めず。今年はシード権のラインがⅭ位に変更されたため、初優勝どころかシードを心配する状態でフォールシリーズに突入。ところが同シリーズ7試合で、予選通過が6試合。うち4試合で、トップ10フィニッシュという奮闘ぶりを見せます。その結果、ランクは106位から54位にジャンプアップ。ちなみに昨年もフォールシリーズで102位から86位に順位を上げています。 

ホーイを一言で表すなら、〝希代のショットメーカー〟となるでしょう。SG(スコアへの貢献度)のスタッツを見ると、ティー・トゥ・グリーンはスコッティ・シェフラーに次いで2位、オフ・ザ・ティーは3位、パーオン率は2位。つまりショットが上手くて、特にドライバーが飛んで曲がらない、ボクからすれば羨ぜ ん望ぼうの的の選手なのです。その選手がなぜ優勝できないのか、フォールシリーズでしか活躍できないのか……。 

ホーイは幼少期にフィリピンからロス郊外に移り住み、大学ゴルフで活躍した10歳と3歳違いの姉の影響でゴルフを始めます。12年には世界ジュニアで優勝し、大学はUSC(南カリフォルニア大)に進みます。16年には全米学生で2位になり、米国選抜VS世界選抜で競われるパーマーカップには2回、オールアメリカンには3回選出されたエリート選手です。 

17年にプロ転向、3部のカナディアンツアーからスタートします。同年にランク5位で2部のドットコム(現コーンフェリー)ツアーに昇格。以後、3シーズンを2部で戦いましたがコロナ禍の20-21年シーズンは、肩の故障で戦線離脱。QTにも出場できず、22年はホームコースの手伝いやジュニアレッスンで過ごし、一度は引退を考えたようです。ただこの経験がゴルフを始めた頃の初心を思い出させ、また再びフィールドに立つ意欲となったようです。そして23年、コーンフェリーで初優勝。感情を爆発させ、号泣と歓喜の優勝となりました。 

PGAの中継で解説をしていると、ホーイが登場するのは必ずビシバシとショットが決まるシーン。その姿はほれぼれするほど、見事なものです。ところが、そこからパットを外して悔しがるのも定番。実はSGパッティングのスタッツは180人中180位と最下位なのです。4位に入ったベイカレントでもパッティングのスタッツはマイナスでした。フォールシリーズでは、長尺パターを投入。パットが課題であることは、当人も自覚しているよう。ここが改善されれば、来シーズンの初優勝も夢ではありません。

また昨年、パリ五輪のためにフィリピン国籍に変更しましたが、申請が遅く出場できず。次回の五輪会場は育ったロサンゼルスだけに、活躍が期待されます。

PHOTO/Getty Images

※週刊ゴルフダイジェスト2025年12月23日号「さとうの目」より

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