
25年のジェネシス・スコットランドオープンでマキロイなどを振り切り優勝。今回の優勝でPGAツアー3勝目。飛距離が魅力で平均飛距離は316.7Yで7位(撮影/岩本芳弘)
バックナインで「335ヤード超」を3連発。コースの概念を破壊した飛ばし屋
「アドレナリンが出ていた」 試合後、ゴッタラップはそう振り返った。
圧巻だったのは後半のドライビングだ。狭いドッグレッグが続くワイアラエのバックナインで、彼はドライバーを振り抜いた。13番、14番ではドッグレッグのコーナーをショートカット。最終日のスタッツを見ると、ドライビングディスタンスは平均326.7ヤード(全体8位)、最長不倒は359ヤードを記録している。
特にバックナインでは3回も335ヤードを超えるティーショットを放ち、コースのハザードを無力化した。
「14番であんなにコーナーを攻めたのは初めてで、13番もフェアウェイに届いたか分かりませんでした 。行ってみたらフェアウェイにあって、大きなボーナスでした」
実は開幕前、彼はこのワイアラエCCについて「故郷ニュージャージーのコースに似ている」と語っていたゴッタラップ。
「ホールのレイアウトや雰囲気が、僕が育った場所を思い出させるんだ」
古い設計思想が残る狭くトリッキーなコースは、彼にとって懐かしく、同時に攻略意欲を掻き立てる庭のような場所だったのかもしれない。
本来、飛距離よりも精度が求められるこのコースで、最終日の「SG: Off The Tee(ティーショットの貢献度)」は「+1.303」で堂々の全体1位。さらにパーオン率(GIR)も「88.89%(16/18)」で全体1位。一番飛び、一番乗せた男が勝つ。ある意味でこれほど単純明快な勝利もないだろう。
勝因は「脳のコントロール」。キャディはパートタイムのセラピスト?

ホールアウト後にキャディのブレイディ・ストックトンをねぎらうゴッタラップ。ストックトンはPGAツアーに出場したことがあるプロゴルファーでアリゾナ州立大ではポール・ケーシーとチームメイトだった(撮影/岩本芳弘)
技術的なスタッツは完璧だったが、ゴッタラップ自身が最大の勝因に挙げたのは「メンタル」だった。
「今週はずっと精神状態が良かった。ただここにいられることが幸せで、『自分の脳をコントロールできている』と感じていた。それが最も重要なことだ」
3日目のラウンド後には「キャディのブレイディはパートタイムのセラピストだ」とジョークを飛ばしていたが、最終日もその信頼関係は揺るがなかった。
「ブレイディが僕の頭を正常に保ってくれた。16番や18番は僕がコース設計家なら作らないような(苦手な)ホールだけど、そこで好きなショットを見つけることができたのは、自分をコントロールできていたからだ」
オクラホマからフロリダへ。新天地での準備が奏功
このオフ、ゴッタラップは大きな決断をしていた。拠点をオクラホマからフロリダへと移したのだ。
「オクラホマも大好きだけど、12月に気温4度で風速18メートルの環境は、ハワイに向けた準備として理想的とは言えなかったからね」
暖かいフロリダで充実した調整を行い、TGL(シミュレーションゴルフリーグ)やバハマでの試合を経て実戦感覚を磨いてきた。「準備の成果が出た」と胸を張る通り、開幕戦からエンジン全開での勝利となった。
「ホノルルのダウンタウンに泊まって、毎朝同じコーヒーショップに行き、夜は街を歩く。この場所が本当に好きなんだ」 ハワイの空気を愛し、コースを力でねじ伏せ、メンタルで勝ち切ったクリス・ゴッタラップ。
3シーズン連続となる勝利は、彼がもはや「単なる飛ばし屋」ではなく、PGAツアーを代表する実力者へと進化したことの証明だ。
