「週刊ゴルフダイジェスト」や「みんなのゴルフダイジェスト」で障害者ゴルフの取材記事を執筆してきたベテラン編集者が、日本だけでなく世界にアンテナを巡らせ、障害者ゴルフのさまざまな情報を紹介する連載。今回は「東京2025デフリンピック」の運営に携わった方たちへ実施したアンケート内容をまとめましたので紹介します。

今回は、東京都スポーツ文化事業団のデフリンピック準備運営本部競技部にお願いしたアンケートの回答から、いくつかの声を抜粋してご紹介します。

まず、デフリンピックに携わっての感想、大変だったこと、心を動かされたことをうかがいました。

「デフゴルフの競技運営において、きこえない方やきこえにくい方に対し、必要な情報を視覚的に届ける『情報保障』が重要であるため、その点を意識して準備を進めました。また、海外在住のICSD(国際ろう者スポーツ委員会)のスポーツディレクターとのコミュニケーションにおいて、メールでのやりとりや国際手話通訳者や日本手話言語通訳者を介してのコミュニケーションとなるため、齟齬が生じないよう綿密にやり取りし準備を進めました。
 
そのおかげで大きなトラブルや混乱もなく、競技を運営することができました。今大会は、デフリンピック100周年の記念すべき大会であり、日本で初めて開催されたデフリンピック大会のゴルフ競技に準備から運営まで携われたことを光栄に思うとともに、今後のデフゴルフの競技の発展につながる大会になったと感じています」

画像: 東京都が所有するパブリックコース、若洲ゴルフリンクスで開催。選手は朝日を浴びながらスタートし、夕日のなかで多くのスタッフに見守られながら表彰式が行われた

東京都が所有するパブリックコース、若洲ゴルフリンクスで開催。選手は朝日を浴びながらスタートし、夕日のなかで多くのスタッフに見守られながら表彰式が行われた

デフゴルフ、選手たちのプレーを見ての感想としては、
「ゴルフを行う上で、風の音やスウィング、ショットの音、グリーンをボールが転がる音など、音の情報はスコアを左右する非常に重要な情報です。その情報がないなかで選手たちは集中してプレーしており、ハイレベルなプレーが随所に見られました。今大会を機に、デフゴルフ全体の技術のさらなる向上につながることに期待したいです」

そして、「共生社会」における「ゴルフ」の位置づけ、今後考えられる取り組みに関しては、
「ゴルフは幅広い世代がともに楽しむことができ、多くのゴルフ場は性別や国籍に対してオープンであることから、共生社会との親和性が高いスポーツと言えます。一方で、世界的にプレーファーストの重要性が叫ばれるなか、身体的事情によりプレースピードを速めるのが難しい方々がいるのも事実。デフリンピックの開催をきっかけに、ゴルフと共生社会に関する議論が進むことを期待したいです」

最後に、今回のデフリンピックの総括をうかがいました。
「東京2025デフリンピックの開催にあたり、多大な協力をいただいた協賛企業様、競技会場である若洲ゴルフリンクス様、競技団体様、ボランティアの皆様、ほか今大会にご協力いただいた方々にあらためて感謝いたします。競技エリアや練習場の運用や競技のスムーズな進行のための情報保障について、主催者のICSDや参加選手から運営に対する高評価をいただきました。東京大会の運営レベルを次回以降、参考にしてもらえたら嬉しいです」

画像: 開幕前日のメディア向け式典の様子。主催者の国際ろう者スポーツ委員会会長のアダム・コーサ氏などの挨拶が行われた

開幕前日のメディア向け式典の様子。主催者の国際ろう者スポーツ委員会会長のアダム・コーサ氏などの挨拶が行われた

今回、日本で初めて開催されたデフリンピック。ゴルフ競技が実施されるのは3回目でしたが、今大会の運営は、世界的にも評価され、それ自体が次につながることとなったのです。デフリンピック終了後、世界デフゴルフ連盟の代表として、東京で行われたICSD総会に参加した袖山由美さんは次のように語ってくれました。

「男女1名ずつのチームで参加しました。会議は英語と国際手話。国際手話にも国ごとのアクセントがあり、理解に集中する必要があります。デビッド理事と協力しながら、2日間フルタイムで議論に参加しました。議題は多岐にわたり、会則の改定、夏季・冬季デフリンピックの参加データ、種目の存続・新規導入の検討など。ゴルフ競技は参加者が前回の2倍に増え、もっとも成長した競技として高く評価され、今後のゴルフ界にとって明るいニュースとなりました」

画像: 会期中、デフリンピックスクエアには多くの協賛社名が入った提灯が飾られた。スポンサードなくして国際大会は成り立たない

会期中、デフリンピックスクエアには多くの協賛社名が入った提灯が飾られた。スポンサードなくして国際大会は成り立たない

次回、2029年大会はギリシャ・アテネに決定(クロアチアと2カ国が立候補し、33対31の僅差)。オリンピック発祥の地で、デフリンピック、そして同ゴルフ競技がより発展することを願いながら、そのための課題をもう少し考えてみたいと思います。

(次回につづく)

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