PGAツアー「WMフェニックスオープン」3日目。この日の注目は、なんといっても最終組で実現した松山英樹と久常涼、2人の日本人プレーヤーによる競演だ。

「調子が悪そうでもスコアを伸ばすんだから凄いと思った」(松山)

前日は怒涛の6連続バーディなど調子の良さを感じさせた松山だったが、3日目は決して順調とはいかなかった。朝の練習場で黒宮幹仁コーチとスウィングの微調整に余念がなく、ラウンド中もしきりにダウンスウィングの形をチェックする姿があったように、ショットへの模索は続いていた。2番ホールではサボテンの中に打ち込むなどティーショットが暴れる場面も散見されたが、それを補って余りあるのが精度の高いアイアンショットと熟練のショートゲーム。苦しい展開でも耐え忍び、しっかりとスコアをまとめ上げるあたりに、松山の凄みがあった。

対照的に、ショットの安定感で言えば久常が勝っていたと言えるだろう。誤算だったのはパッティングだ。「最初のパットがしっくりこなくて気持ち悪かった」と振り返る通り、特に前半はグリーン上で苦戦を強いられた。それでも、本人がキーホールに挙げた後半14番は見事。グリーン奥からの厳しいライからのアプローチを「一番セーフティかつ一番寄る確率が高いところ」へ冷静に運び、パーセーブ。この落ち着いたジャッジが、その後の久常の粘りにつながった。

画像: ショットは終始安定していた久常

ショットは終始安定していた久常

ラウンド後、二人の口から出たのは互いへのリスペクトだ。 「(この3日間で)一番調子が悪そうだったんですけど、それでもしっかりスコアを伸ばしてくるところは、すごいなと思って見ていました」。松山がそう久常を評せば、久常もまた、目の前で見せつけられた松山の底力に感嘆する。

「松山さんは、今日は調子よくなかったはずなのに、この位置(首位)にいるわけですから、やっぱりさすがですよね。ショートゲームなんか全部入りそうですもん。そういうところは松山さんの強みだし、僕と松山さんとではゲームスタイルが違うけど、自分ももっとアプローチが上手くなれたらいいなと改めて思いました」

速さと硬さを増すグリーンへの対応力がカギ

この日本人対決を間近で目撃することになったのが、同組のピアスソン・クーディだ。

「彼らは本当に素晴らしい。今日回って改めて良い選手たちだと思いました。HIDEKI(松山)とは今日初めて回ったんですが、ショットの切れ、アプローチの上手さ……いや、HIDEKIはさすがHIDEKIでした。RYO(久常)とは何回か回ったことがありますが、今シーズンいいスタートを切りましたよね。本当に素晴らしい若手選手です。2人と一緒にプレーできて楽しかったし、彼らは日本のゴルフ界を実によく表していると思います」

そのクーディが指摘するのは、日に日に増していくコースの難度だ。

「マージン(ミスの許容範囲)が非常に狭く、フロントエッジギリギリを狙うようなショットが求められます。グリーンは硬く、速くなっている。僕自身もショットは良かったですが、2日間決まっていたパットが決まりませんでした。カップに蹴られた(リップアウトした)場面もいくつかあってフラストレーションが溜まりましたね。コースは日を追うごとに難しくなっています」

このグリーンの状況をコースメンテナンスのスタッフのジョンさんに聞いた。

画像: 日に日に速さと硬さを増すグリーン

日に日に速さと硬さを増すグリーン

「速さは平均で13.1フィート、速い場所では13.3、遅くても12.8フィート。そこに強い傾斜が加わってかなり速く感じるはずだ。そしてもし夜に風が強まると、明日はさらに速く、そして硬くなる。僕らとしてもこれ以上厳しい条件になることを望んではいない。今日と同じ、それがベストだと思っているよ」

そんな難コースのTPCソーグラスだが、リーダーボードに目を転じれば、ムービングデーらしくビッグスコアを叩き出す選手が続出。首位は13アンダーで松山、1打差12アンダーに久常ら4人、さらに10アンダー以内に10人がひしめく大混戦。そして初日に出遅れた世界ランク1位のスコッティ・シェフラーも8アンダーと、ひたひたと上位へ迫ってきた。

画像: 振り向けばシェフラー!

振り向けばシェフラー!

松山と久常は互いにリスペクトしつつも、「(久常くんも)優勝を争う1人であって、他にもいる」と松山が語るように、敵は一人ではない。熱狂のTPCスコッツデールで最後に笑うのは誰か。

松山13アンダー、久常12アンダー。最終日、松山は最終組で、久常はその一つ前で、それぞれ頂点を目指す。

PHOTO/Yoshihiro Iwamoto


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