
優勝争いに加わった松山英樹と一歩後退した久常涼(写真は26年AT&Tペブルビーチプロアマ2日目、撮影/岩本芳弘)
「曲げても、寄せればいい」松山英樹のショートゲーム・マジック
この日の松山のティーショットは、ここ最近のリプレーを見ているようだった。「SG: Off-the-Tee(ティーショットの貢献度)」は「-1.511(73位)」。フィールドの底辺に近い数字が示す通り、ドライバーは安定感を欠いた。フェアウェイキープ率は57%(8/14)に留まり、ラフやバンカーを渡り歩く苦しい展開。
しかし、スコアは伸びた。なぜか? グリーン周りで「魔法」を使ったからだ。「SG: Around-the-Green(グリーン周り)」は「+1.420(5位)」、「SG: Putting」は「+1.775(9位)」。ショットが乱れても、絶妙なアプローチでピンチを凌ぎ、際どいパットをねじ込む。スクランブリング(リカバリー率)は100%(5/5)。ある意味「パッティングが決まれば上位争いは確実」といわれる松山英樹らしさが出た3日目だった。
「フェアウェイキープ100%」でスコアを落とした久常の悲劇
対照的に、久常涼のスタッツは見る者を困惑させる。この日、彼の「ドライビング・アキュラシー(フェアウェイキープ率)」は「100%(14/14)」だった。「SG: Off-the-Tee」も「+1.615(2位)」と、ティーショットに関しては完璧に近い出来だった。
しかし、ゴルフはホールアウト時のスコアを争う競技。完璧なドライバーショットの後に待っていたのは、悪夢のようなグリーン上の苦闘だった。
「SG: Putting」は「-3.828(80位)」。初日に神懸かっていたパッティングが、この日は完全に沈黙した。さらに「SG: Approach」も「-1.740(68位)」と振るわず、フェアウェイからのアドバンテージを活かせない。「ドライバーは完璧、パットは絶不調」。ゴルフの残酷さを凝縮したような一日となり、順位を10ランク落とす結果となった。
【動画】久常も思わず苦笑い。強風のぺブルビーチ【PGAツアー公式X】
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x.comモリカワが「62」で急浮上。その要因はパットにあらず?
上位陣に目を向けると、コリン・モリカワがこの日のベストスコア「62」を叩き出し、通算17アンダーの2位タイへ急浮上している。 驚くべきは、彼が手にしていたパターだ。
「カート(・キタヤマ)の予備パターを借りて使っているんだ」
会見でそのパターについて「パットが決まるべき時に決まってくれた」と語ったモリカワだが、スタッツを見ると面白い事実が浮かび上がる。この日の「Feet of Putts Made(パットの総距離)」は「58フィート11インチ(約18メートル)」でフィールド45位。11個もバーディを奪っているのに、決めたパットの距離は驚くほど短いのだ。
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x.comこれはつまり、「SG: Approach(+6.472/1位)」が示す通り、ショットが異次元の精度でピンに絡んでいたことを意味する。長いパットを入れる必要すらない“ベタピン”の連続。全盛期のタイガー・ウッズを彷彿とさせる「ショットの暴力」で、優勝戦線に割って入った。
首位バティアは「3つの季節」を耐え抜く
単独首位(通算19アンダー)を守ったのはアクシャイ・バティアだ。
「スタートは穏やかで、中盤はタフになり、最後は強風で凍えるようだった。1日で3つの季節を経験した気分だ」
目まぐるしく変わるコンディションの中、18番では強風でボールが動くハプニングにも動じずパーセーブ。「変な一日だったけど、明日が楽しみだ」と、22歳のレフティは若者らしい強心臓を見せる。
【動画】バティアの3日目前半「30」を振り返る【PGAツアー公式X】
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x.com一方、世界ランク1位のスコッティ・シェフラーは通算11アンダーの20位タイ。「17試合連続トップ10」という記録について問われると、「一貫性の証としてはいいけど、それ以外はどうでもいい」とバッサリ。彼の視線は、あくまで「優勝」の二文字にしか向いていない。
松山の「粘り」か、モリカワの「キレ」か、それともバティアの「勢い」か。そして、久常は再びパターの魔法を取り戻せるか。ペブルビーチの最終日は、混戦必至の様相を呈している。
