
『Qi MAX』アイアン
『Qi MAX』アイアンの特徴
前作よりもヘッドサイズがコンパクト
『Qi MAX』アイアンと『P790』アイアンを比較する前に、今回の『Qi MAX』アイアンの特徴について触れておこう。
特徴のひとつに、前作よりもコンパクトになったヘッド形状がある。ブレード長がわずかに短くなり、トップラインの厚みもそのサイズに合わせて変更、オフセットの度合いも抑えられ、本格派のアイアンらしい一体感のあるヘッドフォルムになった。
ヘッド内部には、打感と打音を向上させる技術が備わった。音の振動を吸収し、澄んだ打音を生む「エコー ダンピングシステム」と、余分な振動を抑える「サウンドスタビライゼーション バー」が搭載され、心地良い打感・打音を奏でるアイアンとなった。さらに、番手別にヘッド設計した上で、セットの流れを統一する「FLTD・CGデザイン」によって作られている。

『Qi MAX』アイアンの内部構造。インパクト時に、音の振動を吸収してアイアンらしい打音を生む「エコー ダンピングシステム」(写真左の黒いダンパー部分)。余分な振動を抑え、心地よい打感を生む「サウンドスタビライゼーション バー」(写真右のヘッド中央に入る柱部分)。打感と打音も向上している
『Qi MAX』アイアンのコンセプトは、「やさしく、真っすぐ、より遠くへ。ゴルフがもっと楽しくなるアイアン」。見た目の美しさや、打感(打音)の向上によって、アベレージだけでなく中級者まで、幅広いゴルファーを網羅できるモデルになったようだ。では次項から、『Qi MAX』アイアンと『P790』の比較に入る。
構えた時の“顔”を比較

『Qi MAX』アイアンと『P790』アイアンを比較

試打解説は仲間裕一プロ。東京都中央区のゴルフスタジオGOHGAでアマチュアゴルファーを指導するティーチングプロ
ここからは『Qi MAX』アイアンと『P790』アイアンの、7I・5I・9Iの構えた時の顔を比較。
最初に7Iを手にしたテスターの仲間裕一プロは、「実際に見るまでは『Qi MAX』アイアンは飛び系アイアンのイメージを持っていましたが、構えてみるとヘッドは大きすぎず、シャープなアイアンが好みの中上級者のゴルファーでも、違和感なく使える顔とヘッドサイズに進化したと思います。『P790』アイアンと比べても少し大きいかなという程度です」(仲間プロ・以下同)

『Qi MAX』アイアンの7I(ロフト28度/左)、『P790』アイアンの7I(ロフト30度/右)
『Qi MAX』アイアンを構えてみると、『P790』アイアンに比べてトップラインがやや厚めの印象を受ける。しかし、仲間プロは、「そこは好みだと思います。『P790』アイアンのようにトップラインが薄めの方がボールが上がりやすいと感じる人もいれば、『Qi MAX』アイアンのトップラインの方が当たり負けしなさそうと安心感を持つ人もいます。ヘッドサイズに合った厚みなので、厚さは感じません」
「『Qi MAX』アイアンの5Iは、安心感のある程良い大きさで、アイアン型ユーティリティに近い顔つきです。オフセットの感じやフォルム全体は7Iと同形で、セットらしい流れを感じます。『P790』アイアンは、本格派の5Iらしいコンパクトな顔です。9Iは、どちらもコントロールしやすそうなオーソドックスな顔でいいですね」

『Qi MAX』アイアンの5I(ロフト21度/左)、『P790』アイアンの5I(ロフト23度/右)

『Qi MAX』アイアンの9I(ロフト37度/左)、『P790』アイアンの9I(ロフト39度/右)
7I 比較試打/
『Qi MAX』アイアンvs『P790』アイアン
「打った印象は、まず『Qi MAX』アイアンの打感はとても軟らかくて気持ちいいです。『P790』アイアンの方がやや硬質な感触でした。『Qi MAX』アイアンはREAX(75 S)というカーボンシャフトでしたが、しっかりしていて軽い感じはしません。ヘッドとシャフトがボールをしっかり打ち上げてくれる印象です。スチールシャフトの『P790』アイアンと同じタイミングで振れました」

『Qi MAX』アイアン(REAX 75S/写真)と『P790』アイアン(N.S.プロ モーダス105S)を試打。計測はフライトスコープ、ボールはニューTP5を使用

『Qi MAX』アイアン(REAX 75S/写真)と『P790』アイアン(N.S.プロ モーダス105S)を試打。計測はフライトスコープ、ボールはニューTP5を使用
「7Iで5球ずつ打ちましたが、『P790』アイアンはやさしさと操作性の高さを感じます。『Qi MAX』アイアンはボールがバラつかず、直進性と弾道の安定感がかなり高く、飛距離が出ます。キャリーで約5ヤード、『P790』アイアンよりも飛んでいます。操作性もあるのでバランスがとてもいいです」
下図は、両モデルの7Iのキャリー地点比較。

赤が『Qi MAX』アイアン、黄色が『P790』アイアンのキャリー地点。『Qi MAX』のバラつきの少なさが際立つ
| 7I 試打結果 | 『Qi MAX』 | 『P790』 |
|---|---|---|
| 飛距離 | 183.0Y | 176.7Y |
| キャリー | 173.3Y | 168.7Y |
| ボール初速 | 53.0m/s | 52.1m/s |
| スピン量 | 5268rpm | 5601rpm |
| 弾道頂点 | 32.1Y | 33.3Y |
次に打点ブレに対する強さを見るために、アベレージゴルファーに多い「トウ下寄り打点」でもテスト。
「スコアラインが入っているぎりぎりのトウ下ですが、『Qi MAX』アイアンはボールの強さがあまり落ちません。キャリーも出ています。この打点位置でこの飛び方はかなり心強い。『P790』アイアンも通常のキャビティアイアンに比べればキャリーの落ち幅は少ない。でもトウ下打点の振動が伝わって手が少し痺れました(笑)」

トウ下寄りの打点位置。アマチュアの打点ブレでも多い位置(計測したフライトスコープの画像)
| 7Iトウ下打点 | 『Qi MAX』 | 『P790』 |
|---|---|---|
| 飛距離 | 178.9Y(-4.1) | 171.4Y(-5.3) |
| キャリー | 165.4Y(-7.9) | 153.0Y(-15.7) |
| ボール初速 | 52.0m/s(-1.0) | 49.4m/s(-2.7) |
| スピン量 | 5121rpm(-147) | 4478rpm(-1123) |
| 弾道頂点 | 27.7Y(-4.4) | 22.9Y(-10.4) |
トウ下打点のテストでは、『Qi MAX』アイアンのボール初速とスピン量の減少度合いが圧倒的に少なく、それが弾道や高さ、キャリー距離の安定感につながった。
5I 比較試打/
『Qi MAX』アイアンvs『P790』アイアン
「5Iを打つと、『Qi MAX』アイアンはとても強い弾道で飛び、なんとトータル220ヤード超えを連発しました。ボールスピードが速く、飛距離性能が高い5Iです。ですが、打感が7Iと同様にとても軟らかく、飛び系アイアンにありがちな金属的な弾く打感とはまったく違います」
「『P790』アイアンはスピンが入って高く上がる印象です。キャリーは十分に出ますが『Qi MAX』アイアンよりは、平均4ヤード手前でした」
| 5I 試打結果 | 『Qi MAX』 | 『P790』 |
|---|---|---|
| 飛距離 | 222.3Y | 207.5Y |
| キャリー | 193.4Y | 189.4Y |
| ボール初速 | 56.7m/s | 55.6m/s |
| スピン量 | 2658rpm | 3866rpm |
| 弾道頂点 | 28.4Y | 31.5Y |
5I比較は、『Qi MAX』アイアンの飛距離性能が際立つ結果となった。「ヘッドスピードがあまり速くない人でも、キャリーをしっかり出せる特性を持っているのが『Qi MAX』アイアンです。『P790』アイアンの5Iと、違うポイントですね」
9I 比較試打/
『Qi MAX』アイアンvs『P790』アイアン
「『Qi MAX』アイアンの9Iは、ソールの滑りがとても良く、幅広でも弾かれることなく綺麗に滑ります。また、振り心地もとても良くて、それが操作性の良さにつながるのが分かります。高さを抑えることもできる9Iです。正直言ってショートアイアンとして満点に近いです」

「このソール、本当に抜けが良くて気持ちいいです。抜けが良いと、距離感や操作性も向上します」と『Qi MAX』アイアンの9Iを絶賛
「『P790』アイアンの9Iは、カチッとした打感で『Qi MAX』アイアンの軟らかい打感と対照的。ソールは薄めで、ライが悪い時にロフトを立てて打ちたい時に対応できそう。どちらもほぼ同じ飛距離だったので、大きな違いは打感ですね」
| 9I 試打結果 | 『Qi MAX』 | 『P790』 |
|---|---|---|
| 飛距離 | 151.1Y | 150.0Y |
| キャリー | 146.2Y | 144.2Y |
| ボール初速 | 48.1m/s | 46.4m/s |
| スピン量 | 6557rpm | 6026rpm |
| 弾道頂点 | 32.3Y | 31.3Y |
5I・7I・9Iの3番手を打ち終えたところで、仲間プロによる総評。「両アイアンとも番手別に重心位置や振りやすさを最適化したモデルですが、コンセプトは違うと思いました」

『Qi MAX』アイアンの5I・7I・9I。5Iと7Iには『貫通型スピードポケット(黒いスリット部分)』が搭載されるが、コントロール性能を重視する9Iには入っていない。この点からも各番手の機能に合わせて設計されていることがわかる。『P790』アイアンの各番手も同様
「『P790』アイアンは、ロングアイアンからミドルアイアンまでは、飛距離性能にスピンを加えたコントロール性を両立させています。そして、ショートアイアンは操作性が最優先。プロや上級者が使うPシリーズ全体で見ると、『P790』アイアンはPシリーズの中では打点ブレに対する寛容性がとても高い。だから、ロングアイアンやミドルアイアンに『P790』アイアンを入れるコンボセッティングが成り立つのだと感じました」
「『Qi MAX』アイアンは、とにかくオートマチックに打てて、直進性に優れています。5Iなどの長い番手は、飛距離とキャリーと直進性を追求し、9I以下のショートアイアンは、ソール形状の抜けの良さを含めたやさしさと操作性を重視。中間の7Iなどミドル番手は、その両者を絶妙につなぐ飛距離とコントロール性の両立。ヘッドスピードが速くなても各番手の機能が発揮されるよう作られているので、アベレージから中級者にお薦めできます」
軽量で振りやすく高く上がる
『Qi MAX LITE』アイアン
Qiシリーズの最新アイアンには、もうひとつ『Qi MAX LITE』アイアンというモデルがある。軽量で振り抜きやすく、ワイドなヘッド形状や集めのソールなど、より構えた時の安心感を与えながら、ヘッドスピードが自然と上がるアイアンだ。

『Qi MAX LITE』アイアン
特筆すべきはロフト設定。『Qi MAX』アイアンの7Iのロフトが28度に対して、『Qi MAX LITE』アイアンは31度。ヘッドスピードが遅い人でもアイアンらしい高く上がる弾道で、グリーンを捉えられることをテーマにしていることがわかる。『Qi MAX LITE』アイアンも、番手別に重心位置やフェース面を最適化した「FLTD・CGデザイン」設計で作られている。

『Qi MAX LITE』アイアンの7I。前モデルの28度に対して、今モデルは31度。ハイロフト化して、誰でも高い球でグリーンが狙えるモデルになった
試打した仲間プロは、「7Iの弾道頂点が37.7ヤード。今回試打した3モデルの中で、最も球が高く上がりました。上がりやすさを最優先しているのがわかります。そして、着弾点の距離がほとんどブレません。『Qi MAX LITE』アイアンも打点ブレに極めて強いアイアンです」

『Qi MAX LITE』アイアンの7I(左)と9I(右/ロフト40度)
| 『Qi MAX LITE』 | 7I | 9I |
|---|---|---|
| 飛距離 | 172.2Y | 146.8Y |
| キャリー | 164.8Y | 143.2Y |
| ボール初速 | 51.4m/s | 45.9m/s |
| スピン量 | 5514rpm | 7057rpm |
| 弾道頂点 | 37.7Y | 34.5Y |
「9Iは、キャリー平均が143.2ヤードで、トータル飛距離は146.8ヤード。弾道の高さ(34.5ヤード)と、スピンがしっかり入る性能で、ピタッと止まります。7I(キャリー/164.8ヤード)との飛距離差もしっかりあるので、ヘッドスピードが速くなくても、番手ごとの飛距離の階段をきっちり作ることができると思います。ドライバーのヘッドスピードが40m/s未満という人にお薦めしたいですね」
『Qi MAX』アイアン『Qi MAX LITE』アイアン
まとめ
人気モデル『P790』アイアンとの比較によって、明確になった『Qi MAX』アイアンの実戦力。『Qi4D MAX』ドライバ―同様に、安心感のあるヘッドでとにかくオートマチックにまっすぐ飛ばせること。番手毎の役割を極め、思い通りの球が打ててとにかくやさしい。
『Qi MAX』アイアンは6本セットで、6IからAWまで揃っているのでショートアイアンからウェッジへのフローも良く、使いやすいはず。
もうひとつの『Qi MAX LITE』アイアンは、『Qi MAX』アイアンの寛容性をさらに高め、しっかりと球の高さを出しながら飛距離アップもできるモデル。どちらも、〝アマチュアのスコアメークのためのアイアン〟と言える。
最後に、試打解説の仲間プロが付け加えた。「自分の思い描いた弾道で飛ばすやさしさが欲しいなら『P790』アイアン、オートマチックに真っすぐ飛ばしたいなら『Qi MAX』アイアン、球の高さもしっかり出しながらやさしく飛ばすなら『Qi MAX LITE』アイアン、という具合に自分が求めるプレースタイルに合わせて選ぶとベストフィットすると思います」

『Qi MAX LITE』アイアン(左)、『Qi MAX』アイアン(中)、『P790』アイアン(右)(Ph/Tadashi Anezaki)
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