今年で6年目を迎える「2026 Seijo Sato Memorial日本障害者マッチプレー選手権by Fourteen」が新君津ベルグリーンCCで3月10、11日に開催されました。今年は、大会方式を変更してストロークプレーをベースにマッチプレーを同時開催するという“融合方式”で行われることに。主催する日本障害者ゴルフ協会専務理事の石塚義将さんは以下のように説明します。
「これまでは、マッチプレー本戦16名を選出するための予選会を行い、本戦は選手同士で日程を調整して試合を行う形式でした。しかし近年、協会主催の大会も年間10試合以上となり、選手のスケジュールが非常にタイトになってきています。また、このマッチプレー選手権を障害者世界ランキング(WR4GD)対象大会にしたいという思いもあり、今年から方式を変更。具体的には、第1次予選・第2次予選を2日間36ホールで実施する形式とし、正式なトーナメントとして開催することで、世界ランキング対象大会として認定される大会へと発展させました。また出場選手16人は、昨年新設された日本パラゴルフランキングをベースに選出しました」
ということで、まずは2日間のストロークプレーの結果です。優勝は、73・74で回った“義足のプロ”吉田隼人。

吉田隼人(写真右)vs清水宏光さん(写真中央)は6&5で吉田が勝利
「極寒で強風、雹まで降る厳しいコンディションのなかでしたが、なんとか我慢して今シーズンの初戦で勝つことができてとても嬉しいです。この勢いで今シーズンの試合すべてで上位を目指して頑張ります」(吉田)
世界ランキング最高峰のメジャー大会であるG4Dオープンの開催まで残り約2カ月(5月14~16日、ウェールズにて開催)。こちらの出場に向けても弾みがつきました。
「G4Dオープンのランキング対象大会も残り2試合。そのなかで、本大会での優勝は世界ランキングにも大きく影響する重要な勝利になったと思います。寒暖差が大きく、風も強い難しいコンディションのなかで勝ち切ったということは、まさに本当の実力を証明する優勝だったのではないかと思います。これからも日本の障害者ゴルフのレベルの高さを、共に世界に証明していきましょう」(石塚)
さて、マッチプレーに目を向けてみましょう。1対1でスコアを競い合うゴルフの醍醐味が詰まったこの競技方法が好きなゴルファーも多いのではないでしょうか。障害者ゴルフの大会でマッチプレーを行う意義は大きいと石塚義将さん。
「協会主催の多くの大会ではクラス別の部門分けがされていますが、この大会は唯一、部門に関係なくすべてのカテゴリーの選手が同じ条件で戦える試合となっています。ストロークプレーではどうしても障害の部門やスキルレベルによってスコア差が大きく出てしまう傾向があります。一方でマッチプレーはホールごとの勝敗で競う形式のため、その差が比較的出にくくなります。その結果、どの選手にも現実的に優勝のチャンスがあるという点が、この大会の大きな魅力です。実力だけでなく、戦略や流れ、精神力も問われる非常にドラマ性の高い競技形式だと思います」

今回は開催地が関東地区であり、西日本エリアからの参加がやや少なかった点が課題だと石塚氏は語る。「今後はより多くの選手が参加しやすいよう、開催エリアの検討や大会の広域化も含めて検討していきたい」
現在勝ち残っているのは、吉田隼人(右大腿切断)と有迫隆志(左上肢機能障害)、秋山卓哉(左大腿切断)と浅野芳夫(右下腿切断)です。それぞれが準決勝で戦い、その後、決勝が行われます。
「マッチプレーの魅力は、一対一の心理戦と駆け引きですね! またスコアでの勝負ではないので、終盤まで勝敗がわからないというのも魅力です。私の戦い方は、基本アグレッシブにプレーするイメージです。パー5では2オンを狙える、また短いパー4ではワンオンも狙いにいける自分の飛距離を長所に攻めていきます」と自信ありげに語る吉田プロ。対して、対戦相手の有迫さんは、「マッチプレーはストローク方式とは違って、自分だけの勝負ではなく、自分と相手の状況を見ながら、『攻める』と『守る』を判断してプレーする、とても楽しい方式だと思っています。ですからストローク方式のときよりは、プレー中の所作や表情、会話、独り言など、至る所で自分への戒め、相手への揺さぶりなどを少し意識してプレーしています(笑)」と作戦ありげな笑みを浮かべます。
また、その有迫さんに惜しくも負けてしまった今回唯一の女子選手、中島早千香さん(今春中学卒業)は、「雨が降るなかでの有迫さんとのマッチプレー。私がミスをしても有迫さんはしっかりまとめるのですごいと思いました。次の大会も頑張ります!」とまたひとつ、成長した様子です。

有迫隆志さん(右)vs中島早千香さん(左)は5&4で有迫さんの勝利
最後に、有迫さんに、“親友隼人”への思いを語って締めてもらいましょう。
「隼人のことは、彼が障害者ゴルフの大会に出場し出した頃から知っていて、2人で切磋琢磨しながらここまでレベルアップしてきたとても仲のよい親友です。そんな彼もプロになり、背中もまったく見えないくらい引き離されてしまったけど、マッチプレーで対戦できることはとても楽しみであり、やはり負けたくない気持ちがあります。技術では敵わない部分は、昔から知っている彼のメンタルを少し揺さぶりながら、お互いによい試合ができるようにしっかりくらいついて最後は勝ちたいと思います!」
結果はまた、この場でお知らせしたいと思います。
写真提供/日本障害者ゴルフ協会


