接待文化が作り上げた日本の「良いコース」への誤解

宍戸ヒルズカントリークラブ
良いコースとはどんなコースなのだろうか?
一般的に、日本人が良いコースと思うのは「①林間」、「②フラット」というものだ。
かつてゴルフはある程度の年齢になってから始めるもので、例えば管理職になると「偉くなったのだからゴルフでも始めたら」とか「そろそろゴルフに誘われたらいつでも行けるように準備したら」なんて言われて始めたサラリーマンは多かったと聞く。
それなりに費用も掛かることから理解できる。そのような時代のゴルフは「緑の待合」などと言われ、どちらかといえば接待ゴルフが中心でもあった。ゴルフ部出身でない限り20代でゴルフに興じるものは少なかった。だから「林間でフラット」というコースが好まれ、それが「いいコース」ということになってしまったようだ。
そのようなコースは高い戦略性、ルーティングの妙、ゴルファーの挑戦意欲を喚起させるという「ゴルフ特有のゲーム性」という部分はかなり薄いといえる。

スコットランドにあるマクリアニッシュGC
ゴルフはスコットランドで始まった。緯度の高いスコットランドの気候は厳しく、真夏でも雨が降れば真冬に近い気温まで下がり、風が吹けば体温は奪われる。しかも1日の中に四季があるといわれるほど目まぐるしく変化する。そのような環境の中で生まれたスポーツだから自然との対峙であり、荒れたリンクスでのプレーは公正を守るため「あるがまま」であり「すべて自己責任、自己申告」につながって来る。
歩きやすい、大きなトラブルは無しの林間でフラットなコースはゴルフの神髄ともいえる「自然との会話、果敢に挑戦」という部分がかなり薄くなる。もちろんそのようなゴルフを否定する気はない。ゴルファーそれぞれの楽しみ方があり、さまざまな価値観もあるからだ。「第一、日本にはそんな過酷な気候はない」という意見もあると思う。
だが易しいコースと難しいコースがあるとしたら、どちらのコースがゴルファーを育てるのかを考えれば答えは明白となる。難しいのならどうすれば克服できるのだろうか、何が足らないのだろうかと考えることは自己を磨くことにつながり、やがてゴルフというゲームがより面白く感じてくるはずだ。向上心を刺激するようなコースのほうが良いと思うし、挫折したら何度でも挑戦すればいい。
「良いコースが良いゴルファーを育てる」
この言葉は多くのことを示唆していると思う。
文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中





