
江連忠
1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業後、渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事。帰国後、日本のプロコーチの第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げる。1996年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。小誌連載「新モダンゴルフ」でもおなじみ
「ゴルファーにとってボールが最初のコーチ」
片山晋呉、星野英正、諸見里しのぶ、上田桃子など、数多くのプロを育てた江連忠はこう語る。
「ゴルファーにとってボールが最初のコーチなんです。トップ、ダフリ、引っかけ、シャンクなどはボールが示してくれるからです。ですが、アマチュアはミスしたボールを見ない人が多い。これはプロも同じですが、ミスショットはみんな見たくないですよね。いいショットも悪いショットもすべてボールが教えてくれます。ミスした球でもしっかり見続けること。そうすればミスの原因が見えてきますし、上達のきっかけをつかむことができます」
確かにダフリやシャンクは恥ずかしいし、変な球を打てば「今のはナシ」と思ってしまうアマチュアもいるはず。だが、ボールを見ていないと言われると疑問が残る。打ったボールは誰だって見ているのではないか?

メジャー初戦「マスターズ」は毎年同じコースで開催。正確無比なボールコントロールができなければ勝利をつかむことはできない
ロストしたらプレーできないし、みんなボールを目で追っているはず……。
「アマチュアであれば、一番わかりやすいのは予想外の球です。例えばドライバーでテンプラが出たとします。そのとき『あれ、どこに行った?』となりませんか。打った瞬間、ボールを見失うんです。自分がイメージしたものとは違う球が出ると目線は外れやすくなります。そもそもミスショットは目をそらしやすい面がありますからね。だからこそ、打ったボールを見てほしいんです。ボールは嘘をつきません。大切なのは何も考えずにボールの行方を追うのではなく、そのボールから何かをつかもうとする意識を持てるか。そこが大きなカギになります。
一流の選手でボールから目が離れるプロはいません。打ち出し方向、球筋、高さ、着弾までしっかり見届けているはずです。いいショットを打った後、ティーを拾ったり、ターフを直すプロもいますが、あれは狙ったところに打てたという確信が持てるからで、見る必要もないんです。自分が打ったボールを見るなんて初歩の初歩だと思うでしょうが、ボールを見る=結果を受け入れる。ここからスタートしなければ、上達は望めないでしょう」

ミスボールはしっかり最後まで見る
自分のボールはどこへ行ったか。漠然と見ているだけでは上手くはなれない。ボールから学ぶためには何が必要なのか?
【プロもアマチュアも同じ】
ミスしたボールはみんな見たくないもの
「プロだって恥ずかしい球を打つことはあります。ミスショットは誰だって見たくないものですが、その結果を見届けないとミスの原因は一生つかめません」(江連・以下同)
【目線が外れるのには理由がある】
イメージしたボールと違うほど目線は外れる
「ドライバーのテンプラ、アイアンのシャンクなどがいい例ですが、打った瞬間にボールを見失うのはイメージとはかけ離れた球が出るから。とくにアマチュアは見失うことが多いです」
【ボールは嘘をつかない】
「ボールを見続けることが上達のきっかけになります」
「ミスショットだけでなく、ナイスショットも含め、最後までボールを見続けること。それが上達のきっかけになります。ボールが教えてくれる“声”を聞き逃さないように」

プロはボールから目を逸らさない
「どんな球が打ちたいのか?
そして最後までボールを見ること」
自分が打ったボールを見続けることが大事だという江連は、その前にやるべきことがあると言う。その大前提とは?
「どんな球が打ちたいのか? これを決めなければ前へは進めません。どの方向を狙い、どんな高さや球筋で、どこに着弾させたいのか? そういうイメージがなくては、ミスショットだったのか? ナイスショットだったのか? 判断できませんよね。アマチュアはトップやダフリ、引っかけなど、わかりやすいミスに一喜一憂しているだけなんです。考えてみてください。このショットは絶対にダフらせないと決めて打ったショットが、トップしたとします。これはミスですか? ナイスショットとまではいきませんが合格ですよ。自分が決めたことをクリアしていますから。結果的に林の中やバンカーに行ったとしても、打ちたい球が出ればすべて100点です。まずはここを理解することです」
なるほど。アマチュアは結果だけでミスと判断しがちだが、何をやりたいかを基準にすれば、ミス&ナイスの判断は変わるのだ。だが、アマチュアでも弾道や球筋はイメージできるものなのか?
「どんな球が打ちたいのか? これはプレーヤーのレベルによってさまざまです。アベレージゴルファーであれば、ミスしやすいものを回避していくのがいいです。ダフリが多いならトップを打つ。スライスが多いなら引っかけを打つ。そしてレベルが上がってくれば、何ヤード打つのか。どの方向に打つのか。どんな球筋(スライスやフック)、どんな高さなど、打ちたい球のイメージをどんどん明確にしていけばいいのです。
プロは打ち出し方向、ボール初速、高さなどは確実にイメージしていますし、アプローチなどは着弾地点からどう転がり、どこで止まるかまで想定しています。そういう意味では、プロのルーティンはとても参考になります。ボール後方で狙いを定め、弾道をイメージしながらアドレスに入り、リズムよく振り抜く。こういう流れを知っておくことが大事です」
まずは自分がやりたいこと=打ちたい球をイメージすることから始まるのだ。ここでもうひとつ大切な要素があると江連。
「ボールを見続けるにはコツがあります。マン振りすれば、誰だってバランスを崩しますよね。そうすればボールを目で追えません。結果が気になって早くヘッドアップすれば、インパクトがブレて予想外の球が出るかもしれません。大切なのはフィニッシュでしっかり止まれることです。可能であればボールが止まるまでフィニッシュを保ってください。フィニッシュを決めると考えれば、力感80%くらいがベストだということもわかるはずです。余裕がなければ、ボールを最後まで見続けることはできませんからね」
プロのルーティンがお手本
「アマチュアはプロのテークバックやトップ、ダウンなど、形ばかり注目しがちですが、見るべきはルーティンです。打ちたい弾道をイメージしながらアドレスに入るプロセスに注目しましょう」

キャリアグランドスラマーのローリー・マキロイ
上達への5ステップ
STEP 1
“コール・ザ・ショット”で自分が打ちたい球を声に出す
「アマチュアにおすすめなのが自分が打ちたい球を声に出すこと。ドロー、フェード、高い球などをコールしてみてください。それを続ければ、打ちたい球も明確になります」
STEP 2
弾道を頭の中で描きつつ歩きながらアドレスに入る
「狙いや球筋のイメージはボール後方で作り、そのイメージを消さないまま歩いてアドレスに入ります。歩くことで力みが防げます。意識はターゲットに向けたまま」

ボールに構えるのではなくターゲットに構える
STEP 3
打ち出し方向や球筋に合わせてセットアップ
「打ちたい球があれば、打ち出し方向や高さは明確にイメージできます。その弾道に合わせてフェースをセットします。足踏みなどしながら動きを止めないのがコツ」
STEP 4
力まずいつも通りリズミカルに振り抜く
「最後はリズムよく振り抜くだけ。力みは厳禁です。結果を気にするとヘッドアップしやすいので頭は残したままインパクトし、前傾を保ちながら目線でボールを追います」

クラブを握らず下から持てば力みもなくなる
STEP 5
ボールが止まるまでフィニッシュを保つ
「フィニッシュはしっかり止めること。歳を重ねるとバランス感覚は悪くなりますし、力めば力むほどフィニッシュは崩れやすい。力感を抑えることでフィニッシュを保ちます」

力感80%にすればフィニッシュは崩れない
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打ちたい球を明確にし、フィニッシュで止まってボールを見届ける。この「上達への5ステップ」を実践すれば、あなたのゴルフは確実に変わると江連プロは話します。しかし、本当に重要なのはここからです。 見届けたミスショットから、「なぜそのミスが出たのか?」を正しく分析し、次の1打で修正することができなければ、スコアは縮まりません。
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PHOTO/Hiroaki Arihara、Yasuo Masuda、Yoshihiro Iwamoto
THANKS/ETGA東京校、東名CC
週刊ゴルフダイジェスト2026年4月14日号より


