1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄が、ラウンド中に話題になる「ゴルフの知識」を綴るコラム。第58回目は、イギリス(特にスコットランド周辺)に根付いている「9ホールコース」の歴史的価値と、その独自の魅力について。

スコットランドに点在する「427」の選択肢。1800年代から続く9ホールの系譜

画像: 9ホール時代の図面

9ホール時代の図面

ゴルフ発祥のイギリスには多くのコースがあり、いずれも長い歴史を誇る。ガイドブックを見ると、多くが1900年代半ばには開場しているというから驚きだ。もちろんそれよりも古い1800年代のコースもあり、さすがゴルフの聖地だけのことはある。

かつてイギリスで購入したガイドブックを見ていて、気付いたことがあった。それは、9ホールのコースがかなりあることだ。特にスコットランドや北アイルランドに多く存在する。

人口が少なく荒涼とした風景が続き、ベストシーズンも短いことから、需要を考慮して9ホールの形態が多くなったのだろうか。しかし、9ホールであっても長い歴史がある割に敷居は低く、近在のゴルファーに歓迎され、料金もリーズナブルに設定されている。

イギリスに9ホールコースがどのくらいあるのか正確な数字は不明だが、少し前のデータでは約2000強のゴルフ場のうち、427コースもあった。

画像: ラーン・ゴルフ・クラブの看板ホール「ザ・ベル」(画像はラーン・ゴルフ・クラブ公式HPより)

ラーン・ゴルフ・クラブの看板ホール「ザ・ベル」(画像はラーン・ゴルフ・クラブ公式HPより)

なかでも歴史があるのは、北アイルランドにある「ラーンGC」で、1894年の開場。コースの分類はシーサイドのメドウとされていることから、荒々しいリンクスではなく、各ホールは芝で覆われているようだ。海に突き出した小さな半島にレイアウトされ、景観も優れている。

2周プレーして18ホールを回ると、距離は6100ヤードを超える。コースを設計したのはG・L・ベイリーという人物で、彼自身の本職がプロゴルファーなのか別の職業なのかは不明だが、オリジナルコースの設計者として名を残しており、開場の年代から考えるとどちらでもないような気がする。

日本で9ホールコースといえば、「初心者向け」「距離が短い」「18ホールのコースに比べて造り込みが甘い」というイメージを持つゴルファーが多いかもしれない。しかし、イギリスにおいては9ホールのコースでも長い歴史を誇り、プレー難度の高いコースもあり、決して侮れない。大半がシーサイドにあることから、その日の風の吹き具合でコースの印象は大きく変化することになる。

世界に名を知られているコースは近年、いずれも高額なプレー代を払わなければならず、しかも予約すらままならない状態が続いている。

その点、ローカル色の濃い9ホールコースは気軽にプレーを楽しむことができる。もしハイランドへ旅行に行ったら、そんな9ホールコースを日替わりでプレーするのは楽しいと思うが、どうだろうか。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中

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