
首位と4打差の暫定3位タイに浮上した久常涼。マスターズ出場を決められるか!?(写真は26年AT&Tペブルビーチプロアマ、撮影/岩本芳弘)
大雨によるサスペンデッドと、悪天候を耐え抜く日本勢
スコアボードに真っ赤なボギーの数字が並ぶサバイバルレース。しかし、この過酷なコンディションの中でも、日本勢は必死にコースに食らいついている。
マスターズチャンピオンで日本のエース、松山英樹は、この悪天候下で驚異的な我慢のゴルフを展開した。前半の9ホールをすべてパーで凌ぎ切るという粘りを見せると、テキサスの難所を越えた11番で貴重なバーディを奪取。スコアを1つ伸ばし、13番の第2打をグリーンに乗せたところで中断を迎え、通算6アンダーの30位タイに踏みとどまっている。
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x.com一方、インコース(10番)スタートとなった金谷拓実は、雨の影響を受けてスコアを2つ落とし、後半4番のティーショットを打ち終えた時点で中断。通算1アンダーの暫定68位と苦しい戦いを強いられている。
荒天をねじ伏せた久常涼、マスターズへ「4打差」の射程圏内
強豪たちが次々とスコアを崩し、サバイバルゲームの様相を呈する中、ひときわ眩い光を放ってリーダーボードを駆け上がっているのが、23歳の久常涼だ。
久常は荒れ狂う天候をものともせず、序盤から怒涛のバーディラッシュを見せた。出だしの1番で幸先よくバーディを奪うと、3番こそボギーとしたものの、そこから4番、さらに6番、7番でもバーディを奪取。この猛烈な勢いでスコアを伸ばした久常は、通算11アンダーの暫定3位タイへと急浮上を果たした。現在、首位を走るロバート・マッキンタイアは6番を終えて通算15アンダー。その差はわずか「4打」にまで縮まっている。
大逆転でのPGAツアー初優勝、そして、すべてのゴルファーが焦がれる次週の「マスターズ」への最後の一枠。そのプラチナチケットを射程圏内に収めている。
フロックではない。スタッツが証明する「勝てるゴルフ」
悪天候の中でのこの大躍進は、決して偶然やフロック(まぐれ)ではない。データを見れば、今の久常がいかに盤石で「勝てるゴルフ」をしているかが鮮明に浮かび上がる。
サスペンデッドとなるまでの8ホールにおける久常のスタッツを見ると、フェアウェイキープ率こそ「57.14%(4/7)」にとどまっているものの、パーオン率は「87.50%(7/8)」と、極限の天候を一切感じさせない驚異的なアイアンの精度を叩き出している。悪天候の中でもグリーンを確実に捉えるこの卓越した技術が、TPCサンアントニオのタフなセッティングを攻略する鍵となっているのだ。
さらに、グリーン上での冴えも際立っている。パット数は8ホールでわずか「12」と、雨でライン読みが困難な状況下でも確実なストロークを続けている。初日のフェアウェイキープ率は「64.29%(9/14)」、2日目は「50.00%(7/14)」と、決してティーショットが万全とは言えない状態の中でも、3日間にわたって大きく崩れることのないマネジメントを完遂していることこそが、大逆転劇に向けた最大の根拠となっている。
9番フェアウェイから始まる「約28ホール」のサンデーマラソン
久常は9番(パー4)のティーショットを307ヤード先のフェアウェイへ見事に運び、残り149ヤードを残した時点でサスペンデッドのホーンを聞いた。
彼の日曜日は、この「9番の第2打」というアイアンショットから幕を開け、第3ラウンドの残り10ホールを戦った後、組み替えなしでそのまま最終ラウンドの18ホールへと突入する「約28ホール」の長大なサンデーマラソンとなる。体力、集中力、そして精神力が極限まで試される、あまりにも過酷な1日だ。
しかし、スタッツが証明する今の圧倒的なアイアンのキレと、23歳という若さがもたらす体力は、このタフな長丁場でこそ最大の武器となるはずだ。
マスターズへの「最後の1枚」の切符を握りしめ、オーガスタ行きの最終便に飛び乗る若武者の姿を、日本中が固唾を呑んで見守っている。
