世界最高峰のレジェンドたちが集うシニアメジャー「全米プロシニア選手権」。そのリーダーボードのトップ20に、名だたるスター選手たちに肩を並べる一人の「ティーチングプロ」の名前があった。通算5アンダーの17位タイでフィニッシュし、見事クラブプロの最上位(ロー・プロフェッショナル)の栄誉に輝いたジャスティン・ヒックスだ。

「働くおじさん」の夢の1週間

ヒックスは、普段はフロリダ州ボカラトンにあるストーンブリッジ・カントリークラブで教える現役のレッスンプロである。テレビ中継で解説者が「私たちは働くおじさんで、普段は週に5〜7日働いている。今週はあなたの休みの日ですね」と振ると、彼は笑ってこう答えた。

「その通りだね。私は普段、安定した給料をもらって生活している。だから今週は、ただゴルフを楽しんで、仕事の休みを取るためのものなんだ。地元のクライアントたちには『1週間レッスンのために留守にします』と伝えてきたよ」

全米のクラブプロ上位35名で構成される「コアブリッジ・フィナンシャル・チーム」の一員として出場権を勝ち取った彼は、プレッシャーに押しつぶされることなく、この大舞台を心から楽しんでいた。

息子に教える「生きたレジェンド」たちの姿

会場には、妻と息子が彼を応援するために駆けつけていた。かつて自身もテレビで憧れていたレジェンドたちと同じフィールドで戦う喜びを、彼は息子と分かち合っていた。

「息子がここにいる選手たちをどれくらい知っているかは分からないけれど、『あそこにいる人は世界1位だったんだよ』とか『彼はマスターズと全米オープンの勝者だよ』って教えながら回っていたんだ。レジェンドたちと一緒にいる自分よりも、その光景を見ているほうが楽しかったかもしれないね」

自身がかつて追いかけていたスター選手たちと、今度は同じティーグラウンドに立ち、立派にスコアを競い合っている。それは、プロゴルファーを夢見る多くの人々にとって、これ以上ない希望のストーリーだ。

“カメ”の底力と次なる舞台

ツアープロとしてのキャリアにおいて、決して派手なエリート街道を歩んできたわけではない。ヒックスは自身のプレースタイルと歩みについて、自虐と誇りを込めてこう表現する。

画像: クラブプロの最上位でフィニッシュしたジャスティン・ヒックス(提供/PGA・オブ・アメリカ)

クラブプロの最上位でフィニッシュしたジャスティン・ヒックス(提供/PGA・オブ・アメリカ)

「私は決して(ウサギとカメの)ウサギだったことはない。常にカメのように歩んできた。じわじわと燃えるタイプのプレーヤーなんだ。いきなり爆発するタイプじゃないから、もう少し速ければと思うこともあるけれど、今回の17位という結果にはワクワクしているよ」

一歩ずつ着実に歩みを進める“カメ”の底力は、メジャーのタフなセッティングにおいても見事に通用した。

「来週はオレゴン州のバンドンデューンズで行われる、ナショナル・クラブプロ選手権に向かう予定だよ」

メジャーでの激闘を終えた「働くおじさん」は、休む間もなく次の職場(試合)へと向かう。スポットライトを浴びた夢の1週間を終えても、彼の堅実で情熱的なゴルフ人生は、これからも“カメ”のように着実に続いていく。

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