GD 距離だけなら、「一番飛ぶのは右プッシュ」なんて言われていますね。
吉岡 そう、右プッシュって凄い飛ぶじゃないですか。ドローのセットアップじゃなくて、フェードのセットアップで、フェースがかぶらないように逃がしながら、パーンって狙った右プッシュ。伸びながらフェアウェイに飛ぶ球です。
GD 右プッシュをフェアウェイへ狙って打つ。マキロイみたいですね!
吉岡 だから今は、ドローも、フェードも、「フェースは軽く開いて使いなさい」と。昔、これ(トラックマン)を買ったばっかりの時は……
「はい!ドローは、プラス2度(インからのクラブパス)で、フェースはマイナス2度(クローズ)」
「インサイドドロー(大きなドロー)は、プラス4度(インから)のプラス2度(オープン)」
「フェードは外から4度入ってマイナス4度のマイナス2度(クローズ)」なんて言いましたが、今は違う。
GD 変わったのですね?
吉岡 今は、「2度・4度」でドローを打ったら、次は「0.1度オープンの0.5度カット(軌道)」で右プッシュフェードみたいな。
GD ジュニアではなくトッププロの話のようです。
吉岡 啓太の練習を見ていると、練習場では、「0度・0度」で打っている。だけど、コースへ行って左が全部池だと、やっぱり危ないから、ダウンブローに打ったりするんです。上から3~4度でぶつけて、フェードを打ったりします。少し前のシンガポールオープンの練習日、全ショットにトラックマンを置いて見ていたら、左にハザードがある時は上から入れて、フェードを強めるし、広い時はストレートフェードみたいな感じに打っている。
GD それでトッププロは、練習場で(コースでずれた軌道を戻す)リセット練習を重視するんですね。では、ダイナミックロフトの適正値については?
吉岡 ジュニアの小・中・高校1年ぐらいまでは、10.5度から16度の間。20度には行かないように。逆に、あんまりロフトを立てても、上がらなくなっちゃうんで。これで軽いドローを打つ。最初は、軽いドローで覚えた方が、ゴルフが伸びますから。フェースアングルの話に戻っちゃうけど、フェースは開き気味で覚えていく。今はフェードもフェース開いてプッシュを打つんだから。
GD かぶせるのは良くない?
吉岡 かぶせて覚えちゃうと後々面倒なんですよ。直すのが大変です。だから、フェースは絶対に「かぶせないように」「かぶせないように」「かぶせないように」覚えて、ゆくゆくはセットアップを変えるだけの右プッシュストレートを打つんです。ダイナミックロフトの話で補足すると、高校2、3年になったら、パワーが出るから15度まで行かないほうがいいかな。
GD 4つ目のアタックアングルは?
吉岡 ドライバーの場合、「0度からプラス5度」に設定しています。(表示画面を見ながら)この子のマイナス3.9度というのは上から入っていますね。それでいてダイナミックロフトは20度もある。アイアンのようなインパクトでポコーンっていう球になりますね。こういう子には「下から入れなさい」「ロフトは立てなさい」「下から入れなさい」と繰り返します。
GD その子が器用・不器用にかかわらず、ですね。
吉岡 アタックアングルは0度から5度。ダイナミックロフトは10.5度から16度。20度は絶対行かないように。クラブパスは0度から4度。フェースアングルは0度から2度。プロ直前の18歳だったら数値をもっと狭めます。
ラウンド後、適正値に戻すリセット練習が大事
GD (先ほどの)中島プロのプレーを聞く限り、4点セットの基準はあっても、コースでは数値がすべてではないと。
吉岡 レイアウトによって上から入れたり横から入れたり、っていうのはもちろんあります。ラウンド後はスウィングが崩れちゃっているので、練習場では、自分の「0」に戻す調整。先ほどのリセット練習です。啓太に聞いたら、プラス1度(アッパー)で入って、フェースアングルを0度から0.5度に調整しているそうです。この大会の準備を通じて、彼(啓太)と久しぶりに話しましたが、啓太自身も練習場とコースでそのように使い分けています。コースで風が吹いたりして、スウィングのパスが狂ってしまうのを、練習場でリセットしているんです。
GD トッププロでそうならば、ジュニアならなおさらですね。ジュニアの子もコースで「景色負け」しちゃう子はいるのでしょうか?
吉岡 たくさんいますよ。コースを見て、「このレイアウトだと、あの子は、あのホールでティーショット上手く打てないだろうな」と思っていると、3日間のうち1日は、OB打ったりトラブルで叩いたり。逆に、ラウンド後のスコアカードを見てレイアウトを確認すると、「あー、あの谷が怖かったのね」とか。
GD それには、どんな練習や準備が大事になるのでしょう?
「遊び」で覚える、コース対応力
吉岡 「遊び」で覚えさせます。「型」だけだと、怖いと思った瞬間、もう沈没するしかないから。遊びで覚えた子は、景色に対して「逃げる技」を学ぶから。大きく曲がる球、低い球、高い球。「左から風が吹いたからこうしよう」とか、「どういう数値になると、どんな球が打てるのかな?」って遊びで覚えていくと強くなれる。そういう子たちが残っていく。遊びの中でゴルフを覚えて海外で長くやっていて生き残った代表が、川村昌弘プロ。彼のデータを現地で取ると、スウィングは個性的でもデータはめちゃいいです。
GD 飛ばしの「型」と、スウィングの「リセット」調整は重要でも、それだけでは不十分。スコアメイクには、「遊びの技」が大事だと。
吉岡 そう。例えば、「ハンドファーストでフェースを立てる」という型しか知らない子は、ラフに入ってもフェースを立てて打っちゃうから、全部フライヤーしてラフからの距離が全く合わない。「立てる」一辺倒ではなくて「抜く」ができないと、距離は一生合いません。立てたり、抜いたり、遊びで覚える。すると、ゴルフが楽しくなって好きになる。今の親御さんには、そこ(遊び心)もわかってほしいな、と思います。器用な子が強くなるんじゃなくて、「好きこそものの上手なれ」とは、つくづく深い言葉です。
十数年ぶりに会った吉岡先生(当時は先生と呼んでいました)は、白髪が少し増えたものの、当時と変わらずたくさんのジュニアに囲まれながら、トラックマンとタブレットを手に動き回っていた…。
ここで提案、インドア練習場や試打スタジオなど、弾道測定が受けられる機会が増えた今、我々一般ゴルファーも、飛距離データばかり見るのではなく、吉岡氏の4項目、
①アタックアングル/0度~プラス5度
②ダイナミックロフト/10.5度~16度
③クラブパス/0度~プラス4度
④フェースアングル/0度~プラス2度
を確認してみてはいかがだろう? きっと、新たな気づきがあるはず。
そして、ジュニアゴルファーを持つ親御さんには、吉岡さんの最後の言葉を、ぜひ大事にしていただきたく……。
PHOTO/Ryuichi Takagi THANKS/Mimitsu CC

美々津CCのクラブハウスに飾ってあった出場ジュニア特製の大会イベントポスターと大会のオフィシャルパネル。競技後のお楽しみ抽選会は出場全員分の景品を用意。すべてに中島啓太プロの直筆サインが入っていた

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