2012年に小社レッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞し、今もなおジュニア指導を続けている吉岡徹治氏。十数年ぶりにお会いする機会を得た筆者だが、吉岡氏の手元には昔と変わらず、ジュニアたちのショットを測定器で計測したデータを見るタブレットを携えていた。挨拶もそこそこに、そのデータ活用法について問うと、ジュニアたちの成長を促す「なるほど」という回答が返ってきた。

週刊ゴルフダイジェスト誌で、吉岡氏による連載、「天使のわけまえ(2011~12年)」を担当していた筆者。3月末に再会した場所は、宮崎県の美々津CCで、吉岡氏が現在のジュニア指導の拠点にしているコース。かつての教え子で、今はPGAツアーでプレーする中島啓太プロの名を冠した「中島啓太カップ/ジュニアチャンピオンシップ」が開催されていて、吉岡氏も大会の幹部として、ここにいた。

目に留まったのは手元にあったタブレット。覗かせてもらうと、そこには弾道測定器トラックマンによるジュニアのショットデータがズラッと表示されている。トラックマンが今のように一般的なチェックツールになる、はるか前からこれを使って指導していた吉岡氏。

画像: 今も精力的にジュニア指導を続けている吉岡徹治氏。20年近く、ジュニアの指導にトラックマンのデータを活用している

今も精力的にジュニア指導を続けている吉岡徹治氏。20年近く、ジュニアの指導にトラックマンのデータを活用している

ジュニアは、飛距離やヘッドスピードよりも、この4項目を重視する

GD 相変わらずトラックマンの使い手ですね。ジュニアの飛距離をチェックしているのですか?

吉岡 うーん、飛距離は重視していませんね。からだの成長曲線はまちまちで、ジュニアの飛距離はからだの成長次第だから。

GD では、どこを見ているのですか?

吉岡 データはたくさん取れるけど、重視しているのは4つの項目。例えば、ドライバーで飛ぶボールを打つには、アタックアングル(入射角)をアッパーにする必要がある。上から入ると球を潰しちゃうんで、下気味から入れるじゃないですか。でも、下から入れるだけでは、インパクト時のロフトが増えて、弱々しく高く上がるだけのポッコンっていう球になってしまう。下目から入ってロフトが立てば、ハイローンチ・ロースピンの飛ぶボールになります。

GD ということは入射角(アタックアングル)とインパクトロフトの2つ?

吉岡 ある程度は下から入れて、ある程度ロフトがあれば、ポーンと飛んでいく。ダイナミックロフト(インパクトロフト)が20度を超えるとポッコンになるから、「15(度)くらいにしなさい」って言うわけです。

GD ところで数値を言って、ジュニアは理解します?

吉岡 子どもたちは、普通のおじさんよりもはるかにデータに慣れているから(笑)。で、4度立てようとすると、今度は(身振りで)こう立てればいいんだけど、こう(かぶせて)立てちゃうと、今度はフェースがかぶってくる。

GD フェースアングルですね。

吉岡 だから次は、「フェースアングルがマイナス(クローズ)にならない、かぶらないようにダイナミックロフトを立てなさい」という話になる。すると、器用・不器用の話になるんです。「この子は器用だな。この子は不器用だな」と。そもそも、上から入るアタックアングルを、下から入れられない子もいるから。超不器用な子は、「マイナス4度のダウンブローを、プラス2度にしなさい」って言っても、それができないんです。それが器用・不器用の指標。

GD 数値を理解して会話できているだけで、みんな凄いと思いますが……。

画像: 大会会場の美々津CCでも、小中高の出場104名、全員のティーショットデータを測定。プレー後の勉強会に生かしていた

大会会場の美々津CCでも、小中高の出場104名、全員のティーショットデータを測定。プレー後の勉強会に生かしていた

吉岡 だから、そこは学校の勉強やオンラインゲームと同じ(笑)。話を戻すと、今度は下から入ったけど、ロフトが付き過ぎているから「ロフトを立てなさい」という言葉に対して、フェースをかぶせずに立てられるか否かで、もう一段階上の手首の使い方の器用・不器用が出るじゃないですか。でも、器用な子が上手くなって、器用じゃない子がダメではない。

GD 器用な子のほうが上達しそうな印象ですが。

吉岡 器用な子っていうのは、覚えが早くてすぐできるけど、すぐ忘れちゃうし、すぐ変わっちゃうんです。本当に、すぐに変わっちゃう。

GD もとに戻っちゃうんですか?

吉岡 言われたらすぐにできるけど、戻ったり、変わっちゃう。継続されないっていうか。長年、たくさんの子を見てきたから、これは本当にそう。

GD 大人が聞いても、やや耳が痛い話(苦笑)。

アタックアングル/ダイナミックロフト/フェースアングル/クラブパスの4点セット

吉岡 不器用な子っていうのは、一回覚えたらずっとその形だから、正しい形さえ覚えちゃえばずっとその形で変わりにくい。だから、器用な子は才能があって、不器用な子は才能がないわけじゃなく、器用な子は覚えが早くて忘れも早いから、何回もチェックしなきゃいけない。不器用な子は一回覚えるのに時間がかかるから、直すのにも時間がかかる。その理解度を深めるには、数値を見せる必要がある。「この前はこの数値だったけど、今はこの数値。だから、こういう球になる」と。

GD なるほど。だから数値が重要なのですね。話を聞く限り重視しているのは、アタックアングルとダイナミックロフト、フェースの向きを見るフェースアングルとクラブパスの4つになるのでしょうか。

吉岡 そう。この4点セットで、この子がどれだけ器用か不器用かを見ます。4点セットぜんぶ適正値になれば、それなりにいい弾道が出ます。ポッコンじゃなくて、ポーンと飛ぶ、軽いドローに。

4項目の適正値には、「幅」がある

GD ところで、タブレット内では適正値が、「緑」表示になっていますね。

吉岡 ダイナミックロフト・アタックアングル・フェースアングル・クラブパスの4つは、ある程度の「幅」に入れば「緑」になるよう設定してあります。まあ、その数値をどれぐらいの幅にするかが、指導する側の腕の見せどころになるのかな。

画像: アタックアングル・フェースアングル・クラブパス・ダイナミックロフトの4項目には丸印。吉岡氏が設定している適正値の範囲なら「緑」、範囲外だと「赤」表示になる

アタックアングル・フェースアングル・クラブパス・ダイナミックロフトの4項目には丸印。吉岡氏が設定している適正値の範囲なら「緑」、範囲外だと「赤」表示になる

GD 数値が、適正範囲内なら「緑」、それ以外は「赤」。一目でわかりますね。

吉岡 長年、子どもたちとやっていて、フェースアングルとクラブパスは、「2度・4度」と言っています。フェースアングルは「0度から2度」まで開いていい。クラブパスは「0度から4度」まで動いていい。トップジュニアのドローボールを打つのが上手い子は、だいたい「2度・4度」内で打っています。

GD やっぱりドローが基本ですか?

吉岡 基本はドロー。で、フェードを打つ子が、「2度・マイナス2度」かというと、そうじゃない。昔は、「フェードはフェースをかぶせて、ドローはフェースを開いて」って言っていましたが…。啓太(今大会を主催する中島啓太プロ)と話しましたが、フェードも開き気味に打つんです。フェースをかぶせる癖をつけるとチーピンが出ちゃう。だから、フェースを1度開いてカットに入ってきて……右プッシュが出るじゃないですか。それをフェアウェイへ行くように打つと、右プッシュが“使える球”になる。


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