2026年5月1日、米フロリダ州マイアミのトランプ・ナショナル・ドラル(7739ヤード・パー72)で開催中のPGAツアー「キャデラック選手権」2日目。初日に「71」とスコアを伸ばしきれず、パッティングの不調にフラストレーションを溜めていた世界ランキング1位のスコッティ・シェフラーが、絶対王者としての意地を見せつけた。初日の沈黙から一転、この日は5バーディ、ノーボギーの「67」を叩き出し、通算6アンダーの6位タイへと急浮上を遂げた。

王者の証明、ツアー最多の「79回目」ボギーフリーラウンド

わずかなミスが池ポチャやトラブルに直結する難コース「ブルーモンスター」において、18ホールを無傷のノーボギーで回り切ることは容易ではない。しかし、シェフラーは精密機械のようなショットと冷静なパッティングでコースを攻略してみせた。

大会の公式記録によれば、この日のラウンドはシェフラーにとってPGAツアーで79回目のボギーフリーラウンドとなった。これは2019年以降の同ツアーにおいて最多の記録であり、彼がいかに安定して高いレベルのパフォーマンスを維持しているかを物語る数字である。

ラウンド後の会見で、シェフラーは確かな手応えを口にした。

「今日は昨日よりも自分自身に多くのチャンス(ルックス)を与えることができたと感じている。特にバックナインではそうだった。この調子で今後数日間プレーし続ければ、まずまずの位置につけられると思う」

初日には「もう少しシャープになれたら」と語っていた自身の課題を、たった一晩で完璧に修正してみせた。

アイアンショットの精度復活と余裕のパーセーブ

この日のシェフラーのプレーは、危なげないものだった。コースが硬くなり、風が強まる中でも、彼のマネジメントに揺るぎはなかった。シェフラーは風が強まり硬くなるコースに対して、「このコースはグリーンがかなり大きいので、ピンが端に切られているときに風が吹くと、どれくらいリスクを負って攻めるかの判断が難しくなる。まさに『自分の攻めるべきスポットを選ぶ』コースだ。今日は辛抱強く正しいスポットに打ち続けられた」と語り、緻密な計算がボギーフリーを支えたことを明かしている。

画像: パットがもう少し決まればもっと伸ばせていたというスコッティ・シェフラー(写真は26年キャデラック選手権初日、撮影/岩本芳弘)

パットがもう少し決まればもっと伸ばせていたというスコッティ・シェフラー(写真は26年キャデラック選手権初日、撮影/岩本芳弘)

「今日は本当にパーセーブに苦労したと思えるのは、おそらく17番ホールくらいだった。それ以外は、多くのチャンスを演出できた。もう少しパットが決まっていれば、全く違った一日になっていただろう」

ドライバーからアイアンに至るまで、ショットの正確性が際立っていた。「フェアウェイキープが良かったのか、アイアンが良かったのかは分からないが、ソリッドにボールを打てていると感じた。両日ともにストライキングは良かったと思う」と語り、自身のスウィングへの高い信頼感を覗かせた。

シェフラーが「パーセーブに苦労したのは17番くらい」と余裕を覗かせたことがいかに異常であるかを示すデータがある。大会公式ノートによると、初日の時点でフィールド全体で1番〜16番ホールまでは計79アンダーだったのに対し、17番と18番の上がり2ホールだけで計53オーバーという凄惨なスコアを記録しているのだ。他の選手が次々と池に捕まりスコアを落とす「魔の終盤」において、無傷で生還すること自体が王者の証明と言える。

「30試合連続トップ25入り」の偉業達成へ

この猛チャージにより、シェフラーが現在継続中の大記録更新も現実味を帯びてきた。シェフラーは現在、PGAツアーで「29試合連続トップ25入り」という、現代のプロゴルフ界において信じがたい安定感を示す記録を継続中だ。最後に出場大会でトップ25を逃したのは2024年の「BMW選手権(33位タイ)」まで遡る。今大会でトップ25の順位を維持、あるいはさらに上位に食い込めば、現在継続中の記録としては驚異的となる『30試合連続』というマイルストーンに到達する。

首位を独走するキャメロン・ヤングとは現在7打差が開いているが、シェフラーの視線は決して下を向いていない。

「これ以上差を広げられないようにする必要がある。あとはゴルフコースがどうプレーされるかによる。自分にできるのは、コースに出て、やるべきことにコミットするだけだ。それ以外にない」

首位を猛追する世界1位に対し、コースではギャラリーから彼の名前を呼ぶチャント(大合唱)が巻き起こった。これについてシェフラーは「ファンの前でプレーできるのは本当に楽しい。彼らのサポートを受けられるのは最高だ」と笑顔を見せており、マイアミの熱狂的なギャラリーを完全に味方につけて週末のサバイバルへと臨む。

明日以降はさらに風が強まり、コースはより過酷な牙を剥くことが予想されている。しかし、状況が困難になればなるほど、王者の真価が問われる。ボギーフリーの猛反撃で息を吹き返したスコッティ・シェフラーが、週末のドラールでさらなる巻き返しを狙う。


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