狙いはキャリー187ヤード。「完璧にめくれた」理想の弾道がピンを刺した

理想の弾道が打てたことを非常に喜んでいたタイチ・コー(撮影/岡沢裕行)
3番ホールは実測200ヤードのタフなパー3だが、タイチ・コーは打ち下ろしや風を計算して「キャリーで187ヤード」を目指してショットに臨んでいた。
選択したのは6番アイアン。少し大きめの番手であったため、スリークォーターショットのようなイメージでライン出しのコントロールショットを放ったという。 ここ2日間、宍戸の硬いグリーンに対してライン出しをすると弾道が低く出ていたが、あの瞬間は全く異なる球筋を見せた。
「あの6番アイアンの場面では、上から打ち込んだ際にキュッと上空で吹け上がってくれる、いわゆる『めくれた弾道』になってくれた。僕の理想とする高い弾道のままピンを真っすぐに刺して、そのままカップに入ってくれました(笑)」と笑顔で振り返る。
大歓声が沸き起こった一打だが、本人はホールインワンそのものよりも、ショットの感触に強い喜びを感じていた。
「もちろんホールインワンも嬉しいですが、実はあの理想の弾道が打てたことのほうが何倍も嬉しいです。ようやく『あれは完璧に打てた』と納得できる1打でした。そこから自分の中に良い流れが来た気がします」

ヒールの鉛を抜き、番手それぞれ異なる位置に貼って調整しているタイチ、クラブはスリクソン「Zxi 7」
そのこだわりは、エースを達成した実際の6番アイアンにも表れている。
メーカーがクラブのバランスを整えるために通常入れるヒール側のおもりを、タイチ・コーはすべて抜き取っている。ヒール寄りに重心が来てつかまりすぎてしまうのを徹底的に嫌うため、そのおもりをバックフェイス側に貼り直し、全ての番手を細かく調整している。
「ドライバーはフェード、他はドロー」300Yの飛ばし屋を支えるギア

【ソール後方】ヒール側13g/トウ側4g、【ソール前方】ヒール側4g/トウ側13g
アイアンだけでなく、今週投入されてバッグの中で異彩を放っているのが、宍戸用のセッティングとして多用しているテーラーメイドのミニドライバー「r7 クワッド」だ。
実はこれ、今週キャディを務める水野眞惟智プロ(アジアンツアーなどで旧知の仲)の私物を借りているもの。シャフトも2人とも同じものを使っており、そのままバッグに入れていることからも、水野への絶大な信頼感がうかがえる。
装着されているシャフトにも強い愛着を持っており、「このミニドライバーはめちゃくちゃ気に入っています。シャフトは最近ではもう廃盤になってしまったモデルですが、最高なんです。ドライバーもスプーンもすべて、この『ツアーAD TP』で揃えています」と明かす。
さらに、ヘッドに付いているウェイトを自身で調整し尽くした結果、本来の配置ではなく「ウェイトをクロスさせるように」変則的な位置に固定し、自身のスウィングにアジャストさせている。
【タイチ・コーのストックショット】
ドライバー:290ヤード
ミニドライバー:270ヤード
5番ウッド:242ヤード
4番アイアン:221ヤード
5番アイアン:207ヤード
6番アイアン:195ヤード
7番アイアン:183ヤード
8番アイアン:168ヤード
9番アイアン:155ヤード
PW:143ヤード
50度:130ヤード
54度:115ヤード
58度:106ヤード

母親が日本人で日本語も堪能なタイチ・コー(撮影/岡沢裕行)
ドライバーの球筋をフェードに限定しているのにも明確な理由がある。
「ジュニア時代のスウィングのクセで、上体が後ろに残ってしまう傾向があるんです。そうなると上からクラブが入ってこず、打ち出し方向やスピン量が安定しないため、ドローだとどうしても出球のラインが揃いにくい。でも、フェードなら上からしっかり打ち込んでいけるので、狙ったラインに綺麗に出球を揃えられるんです。逆に、ドライバー以外のクラブはすべてドローで打ち分けています。常にスウィング改造をしながら試行錯誤の連続です」
かつてのクセと向き合いながら、今もなお進化を求めて挑戦を続けている。
色々と話してくれたタイチ・コーは取材後、「これから練習場行きます!」と足早に夕暮れのドライビングレンジへと消えていった。
ホールインワンの快挙を成し遂げ、5位タイという好位置にいながらも、「まだショットがいまいち」とさらなる高みを見据えている。この貪欲な職人魂が、明日、さらなるシビアさを増す宍戸のサンデーバックナインで、驚異のチャージを生み出すかもしれない。

