衰え知らずのパワーと練習量で「エリートレベル」を証明
実はスコットは、数週間前に開催された「メモリアルトーナメント by ワークデー」でそのニクラス本人と対面し、一緒に写真を撮っている。公式会見で彼は、「100試合連続出場を達成したもう一人の人物である彼(ニクラス)と写真を撮ったんだ。彼はその(100試合という)記録をはるかに超えているから、僕がこれからさらに11年や12年も連続で出場し続けるなんて想像もつかないけれど、今週を本当に楽しみにしているよ」と語り、レジェンド同士の繋がりと偉業への実感を垣間見せた。
しかし、記念すべき節目となる舞台「シネコックヒルズGC」は、彼にとって因縁の地でもある。過去に同コースで開催された2004年と2018年の全米オープンでは、ともに予選落ち(2004年は「75-75」、2018年は「78-75」)という屈辱を味わっているからだ。
偉大な記録を達成する秘訣を問われたスコットは、静かにこう答えた。
「25年間にわたり、このエリートレベルを維持するために必要だったのは、ある一定レベルの『集中力』だ」
【動画】アダム・スコット、2001年から2026年のスウィングを45秒で振り返り【PGAツアー公式X】
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x.com決して平坦な道のりではなかったが、それを保ち続けたことには強い誇りを持っている。
その言葉通り、彼はただ記録のために出場しているわけではない。今シーズンすでに12試合に出場し、「ジェネシス招待」での4位、「キャデラック選手権」での4位タイを含むトップ25入りを8回も記録。フェデックスカップランキングでも25位につけるなど、現在も優勝を争える好調を維持している。
さらに、火曜日のドライビングレンジにおけるトラッキングシステム「RangeCast」のデータによれば、スコットはこの日、出場選手中3番目の多さとなる137球を打ち込み、最長飛距離では309ヤードと300ヤード台を連発している。大会時点での年齢である45歳にしてなお、若手に引けを取らないパワーと圧倒的な練習量を誇っている事実が、「エリートレベルを維持する」という彼の言葉の説得力を倍増させている。
当初から記録を意識していたわけではない。しかし、2024年の全米オープン(パインハーストNo.2で開催)あたりから意識し始め、特に今年は本大会の出場権を自動的に得ていなかったため、「確実に出場権を獲得しなければならないということが、肩に重くのしかかるプレッシャーになっていた」と吐露する。その重圧をはねのけ、彼は自らの実力で100試合目の切符を掴み取ったのだ。
因縁の地を「ホーム」に重ねるクレバーなメンタル術
過去の苦い記憶が残るシネコックヒルズを、今回どう攻略するのか。スコットは「白紙の状態」でコースに入ったと明かす。
「過去にプレーした記憶はほとんどない。新鮮な目でコースを見つめている」
すでに4回の練習ラウンドをこなし、過去の不調を引きずることなくクリアな視界で準備を進めている。彼がコースをいかにポジティブに解釈しようとしているかは、次の言葉からも分かる。

3度目のシネコックヒルズでの試合も「白紙の状態」で挑むというアダム・スコット(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)
「ここのグリーンコンプレックスは、『ロイヤル・メルボルン』のスタイルと似ているところがある。少なくとも僕は自分にそう言い聞かせているし、そこは僕にとって心地よい場所だからね」
因縁の地を、母国オーストラリアが誇る至宝のコース、つまり自らのホームの感覚に重ね合わせるメンタルコントロールは、まさにベテランならではのクレバーさだ。
彼が、シネコックヒルズ最大の敵は「風」であると断言する中、ここでギア好きのファンにとっても見逃せない決断がある。強風下での戦いを見据え、クラブセッティングに変更を加えたのだ。
「今週は3番アイアンをバッグに入れた。普段は9番ウッドを入れることもあり、それを使うことを恥ずかしいとは思わない。しかし、今週の風では効果的ではないと判断した」
弾道が高くなる9番ウッドを抜き、風の中で弾道を低く抑え、ティーショットでもコントロールしやすい3番アイアンを投入する。長年の経験に基づく、トッププロならではの極めて生々しく、実践的なギア戦略である。
「これしかやり方を知らない」——ゴルフへの尽きせぬ情熱
因縁の地での不本意な過去に対し、スコットは「今週こそ、それを変えたい」と強い決意をにじませる。出場権獲得という重圧から解放され、歴史的偉業のスタートラインに立つ彼は今、極めてポジティブな状態にある。
会見の終盤、過去の若い頃の自分に教えたい教訓はあるかと問われたスコットは、こう答えている。
「若い頃の自分が、今の時点でもまだプレーしていると思っていたかどうかは分からない。でも、僕はエリートレベルでゴルフをプレーすることが大好きだし、本当にこれしかやり方を知らないんだ。だから、可能な限り長くベストを尽くし続けるつもりだよ」
四半世紀にわたりトップレベルを維持してきた男が、白紙の精神と研ぎ澄まされたギアでシネコックヒルズの風を切り裂くとき。我々は、メジャー100試合目という新たな歴史の、真の目撃者となる。
写真/岩本芳弘
