2026年の全米オープン、シネコックヒルズGCに今大会最年少となる17歳のアマチュアが降り立った。マイルズ・ラッセル。2023年、わずか15歳でAJGA(米国ジュニアゴルフ協会)の年間最優秀選手に輝き、あのタイガー・ウッズが保持していた最年少記録を塗り替えた左利きのスーパーアマチュアだ。彼の全米オープンへの道のりは、すでに一つのドラマを完結させている。過酷な1日36ホールの最終予選「ゴルフの最長の日」、フロリダ州のバレンアイルズCCで行われた戦いで、彼は親友でありタイガー・ウッズの息子でもあるジュニアの有望株、チャーリー・ウッズをキャディに起用した。そして、「最後の2枠を巡る3人のプレーオフ」という極限のプレッシャーを生き残り、見事に最高峰の舞台への切符を掴み取ったのだ。話題性抜群のニューヒーローの登場に、ゴルフ界の熱い視線が注がれている。

メジャーの洗礼とトッププロたちとの夢のような交流

怪物たちが集う全米オープンの練習場は、17歳の少年には夢のような空間だ。幼い頃から憧れていたジョーダン・スピースのすぐ隣でボールを打ち、全米オープンを2度制しているあのブライソン・デシャンボーが、練習の手を止めてわざわざ歩み寄って挨拶をしてくれたという。

プロに混ざってプレーする興奮を語りつつも、彼の素顔は驚くほど等身大で心温まるものだ。

「自分以上に、後ろに立っていた父をはじめ、両親のほうが興奮していたと思います。子供の頃に憧れていた選手の隣で、我が子がボールを打っているのを見ているのだから」

初のメジャーに向けた準備についても、浮足立つことはない。「ここに来られた興奮でやりすぎないこと。友達とあと9ホールプレーしたくても、自制心を持って球数を抑え、コースを見て歩くことに時間を使うようにしています」と、ベテランさながらの冷静な自己管理を実践している。

プロから学んだ「退屈な(boring)ゴルフ」の真髄

そんな若き天才が、プロのトーナメントに出場して悟ったトッププロの「本当の凄さ」がある。

画像: 弱冠17歳のアマチュア、マイルズ・ラッセルがシネコックヒルズでどういうプレーをみせるのか注目だ

弱冠17歳のアマチュア、マイルズ・ラッセルがシネコックヒルズでどういうプレーをみせるのか注目だ

ラッセルは単なる勢いのあるアマチュアではない。2024年のコーンフェリーツアー「LECOMサンコースト・クラシック」において、15歳にして同ツアー史上最年少の予選通過記録を打ち立て、さらに今季のPGAツアー「プエルトリコオープン」でも50位タイに入っている。すでにプロの世界で揉まれてきた彼に対する「プロから何を学んだか?」という問いへの答えは、一般的なアマチュアゴルファーのゴルフ観をも揺さぶる非常に興味深いものだった。

「プロたちがいかに『退屈(boring)』なプレーをするかということです」

圧倒的な飛距離や派手なスーパーショットではなく、彼が目にしたのは、ただ淡々とフェアウェイとグリーンをとらえ続ける、ある種平凡にすら見えるプレーだった。

「何も特別なことはしていないように見えるのに、ラウンドが終わってスコアを見ると『65』を叩き出している。それが一番の驚きでした」

一見地味に見える「退屈なゴルフ」こそが、究極の強さである。その真髄に触れたラッセルは、自身の課題についても「パッティングの悪い週の底上げをして、一貫性を保ちたい」と語り、派手さよりも堅実な安定感を求めている。

シネコックヒルズでの新たな挑戦と、17歳の素顔

フロリダ州立大学への進学を控える17歳は、難関シネコックヒルズの罠もすでに見抜いている。

「ここのグリーンはタフです。ショートサイドなど、絶対に乗せたくない場所がある。だからこそ、チップとパット、そしてフェアウェイキープが重要になる」と的確に分析する。

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その綿密なコース戦略の裏には、心強い「情報源」の存在がある。彼のコーチは、前回(2018年)のシネコックヒルズ開催の全米オープンでキャディを務めていたのだ。ラッセルは会見で「彼(コーチ)が僕の情報源であり、経験そのもの。彼が僕を助け、この場所を案内してくれる」と語り、17歳の初挑戦を支える周到な準備の様子を覗かせた。

派手さよりも堅実さを求める彼の成熟ぶりは、彼がゴルフを愛する理由にも表れている。

「誰か他の人に頼る必要がなく、すべてが自分次第の個人競技であること。そして、平和なところです。今週は観客も音も多くてあまり平和ではないけれど、一人で9ホールをプレーしに行く時が、このゲームで一番好きな時間です」

大舞台の喧騒の中でも自分を見失わない17歳。「AJGAの試合に出るのと同じように、ただ良いゴルフをして、自分のゲームが世界最高の選手たちとどう重なるかを見たい」と語気を強める。

純粋な挑戦心と、トッププロから学んだ「退屈なゴルフ」という真の教訓を胸に。若き才能が、世界最高峰のサバイバルテストへと静かに歩みを進める。

写真/USGA


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