6月30日、7月1日、韓国で初めて障害者ゴルフの国際大会「2026ソウルKDGAアダプティブオープン インターナショナルチャンピオンシップ」(韓国障害者ゴルフ協会主催)が開催されました。
コースは仁川空港から20分強の「Vert Hills Country Club(ベルヒルカントリークラブ永宗)」。こちらは、1年前にできたばかり、コンクリートの大きくておしゃれなクラブハウスを持つ、ナイター設備完備の18ホールです。
今回、日本障害者ゴルフ協会(JDGA)から参加したのは、秋山卓哉さん(左大腿切断)、有迫隆志さん(左上肢機能全廃)、山本篤さん(左大腿切断)の3名です。

日本チームでパチリ。魅力的なキャラクターは著名なデザイナーさんのもの。ポーズは韓国アイドル風⁉
皆、韓国は初めてとのこと。今回は、協会の選手会長を務める秋山卓哉さんから届いたお話をご紹介したいと思います。
まずは、コースや韓国という国についての感想からです。
「韓国は思っていた以上に近く、感覚としては国内旅行に近い気軽さで行けたことに驚きました。ホテルや飲食店でも日本語が通じる場所が多く、韓国語がまったくわからなくても大きく困ることはありませんでした。
他のコースは見ていないので韓国のゴルフ場すべてに当てはまるわけではありませんが、とにかく規模が大きく、豪華な印象。クラブハウスはホテルのように立派で、レストランやロッカールームも非常に広く、全体に余裕のある造りでした。ナイター設備も整っており、午前・午後・夜と多くのゴルファーがプレーできるような運営になっているのだと思います。カートも日本のものよりゆったりしていて、後部座席も広く快適でした。カートナビはメートル表示とヤード表示を切り替えられ、韓国ではメートル表示が基本でした。

豪華な造りのクラブハウスとナイター照明完備のコース。プレーフィは日本よりかなり高いが、連日予約が取れないほど。韓国でのゴルフ人気の高さがうかがえる
一方で、コース自体は見た目の開放感とは対照的に、かなり戦略性の高いレイアウト。短いホールと長いホールのメリハリがあり、特に短いホールではハザードやОBが厳しく配置されているため、ただ飛ばすだけではなく、狙う場所を明確にして攻める必要があります。少しでもミスをすると、すぐに大叩きにつながるような難しさがありました。海に近いリンクスコースということもあり、風が吹くと難易度が大きく上がります。風を読む力だけでなく、風に負けない球を打つ技術も必要だと感じました。
また、地面は日本のコースより硬く、ボールがよく転がる印象でした。キャリーとランの計算を間違えると、ハザードまで転がってしまいます。グリーンも止まりにくいため、基本的には手前から攻めないと、奥から難しいアプローチやパットを残しやすいコースでした。
景色はとても美しく、コースメンテナンスも行き届いていると感じました。日本語を話せるキャディさんも何人かいて、日本人選手の組には日本語対応ができるキャディさんを手配してくださったため、コミュニケーション面で困ることはありませんでした。
現地の方に聞いたところ、韓国ではゴルフにかかる費用は日本より高い傾向にあるそうです。プレーフィーが3万円程度からで、基本的にキャディ付きのため、キャディフィーも一人5000円程度からかかるとのことでした。食事などを含めると、1回のゴルフで4万〜5万円ほどになることもあるそうです。そのため、日本へゴルフ旅行に来る韓国のゴルファーも多いと聞きました」

始球式の大役を務める秋山さん(手前)。韓国代表のドン・サンヒさん、KDGAのソ・ユンジョン会長とともに
とても丁寧な感想で、コースが目に浮かぶようです。韓国のゴルフ場に関するレポートも驚きますね!
さて、このコースで2日間を81・76でラウンドし、見事“初代”チャンピオンとなった秋山さん。自身のプレーを、「今回よかった点は、戦略性の高いコースのなかで、攻める場面と守る場面のバランスを比較的うまく取れたこと」と振り返ります。
「初日は、練習ラウンドで苦手だと感じていたホールで、いくつか同じようなミスをしてしまった場面もありました。ただ、強風のなかでも大きく崩れず、我慢しながらプレーできたのはよかったと思います。2日目は、初日にミスが出たホールでもきちんとマネジメントをしてプレーできました。ラッキーな部分もありましたが、バーディを3つ取れたことも大きかったです。

初代チャンプ!「海外での試合経験があったので必要以上に気負うことなく。日本でプレーしているときに近い感覚で、自分のペースを保ちながらゴルフできました」
また、一緒に回った韓国の選手は日本の大会に出場した経験があり、以前から顔見知りの選手でした。終始和やかな雰囲気でラウンドできたことも、自分にとってはよい要素だったと思います」
そして、韓国で初めての国際大会が開かれたことに関して、“会長”として感謝の気持ちと、今後への鋭い目線も光ります。
「初めての国際大会ということもあり、運営側が外国人選手に非常に配慮してくださっていることを感じました。前夜祭、試合前の選手ミーティング、表彰式を通じて、海外から来た選手を歓迎しようという気持ちがよく伝わってきて、とてもありがたかったです。
私たちが出場したインターナショナルチャンピオンシップは出場人数が限られていたこともあると思いますが、各組に1人ずつ競技委員が同行していました。通常のマーカー制度ではなく、ルーリングやスコアリングを競技委員が担当してくださったため、選手としてはプレーに集中しやすかったです。また、障害者ゴルフではプレー進行が課題になることもありますが、ルール判断が必要な場面で競技委員がその場で対応してくださることで、全体の進行もかなりスムーズだったと思います。
KDGAはこの大会を通じて、国際交流を広げながら障害者ゴルフの普及につなげていこうとしているように感じました。障害者スポーツの大会は継続することが簡単ではありませんが、KDGAは10年以上にわたり国内大会を開催してきた実績があります。その経験を土台に国際大会へ発展させている点に、無理のない着実な広がりを感じました。今後、日本や中国を含めたアジアの国々との交流をさらに深めながら、少しずつ大会や活動の規模を大きくしていく流れは、とてもよいことだと思います。

海沿いの埋立地にあり、フラットで遠くに仁川の街並みを望む雰囲気は、東京都にある唯一のコース、若洲ゴルフリンクスに似ているかも……
これまで日本の大会には、韓国から多くの選手が参加し、大会を盛り上げてくださいました。今後は日本人選手も韓国の大会に積極的に参加し、お互いの国の大会を一緒に盛り上げていくような交流が広がればよいと思います。
欧米と比べると、アジアにおける障害者ゴルフは、認知度や競技環境の面でまだ発展途上です。だからこそ、日本と韓国が中心となって交流を深め、選手や大会の輪を広げながら、アジア全体の障害者ゴルフを盛り上げていけたら素晴らしいと思います」
障害者ゴルフの世界でも、日本がアジアのリーダーとして、多くの国とともに、考え、行動し、盛り上げていきたい、そんな溢れる想いと未来への願いを感じさせてくれました。
(次回につづく)


