スロープレーの真実は「選手の遅さ」ではない!?
全英オープンでは、予選ラウンドの木曜日と金曜日に「5時間半」もの長時間を要するグループが続出した。メディアやファンから選手のスロープレーを非難する声が上がるなか、ラームはこの見方を真っ向から否定する。
「メジャーの木曜日と金曜日に5時間半かかるのは、ある意味で当然のことだ。それは必ずしも選手たちのプレーのペースが遅いからではない」
彼が指摘したのは、メジャー特有の構造的な問題だ。
「156人もの選手が同時に出場し、全米オープンや全英オープンのような最も過酷なセッティングに挑めば、どうしても時間はかかる」
事実、予選落ちによって人数が絞られるメジャーの週末や、70人以下で行われるPGAツアーのプレーオフシリーズ、そして3人1組のショットガンスタートを採用し「平均4時間半」でラウンドが完了するLIVゴルフ(57人)において、スロープレーが問題になることはほとんどないという。
さらにラームは、コースの難易度が引き起こす遅延のドミノ現象について、具体的に解説する。
「例えばロイヤルバークデールの14番(パー5)のように、2オンが狙えてもグリーンが硬くて止まらず、難しいアプローチが残る。結果として時間がかかり、後ろの組がフェアウェイに到達するにつれて徐々に遅れが波及していく。これは選手個人の遅さではなく、ゲームの性質(nature of the game)なんだ」
ラームは「ペース・オブ・プレーの問題は、近年少し大げさに騒がれすぎている」と、本質からズレた批判に釘を刺した。
「速くて強い選手」が報じられないメディアへの不満
スロープレーばかりを糾弾するメディアやファンの風潮に対し、ラームは「速くて強い選手」の存在にも目を向けるべきだと主張する。
「先週優勝したライアン・フォックスは、最後のパットを打つまで22秒しかかかっていない。サム・バーンズ、ローリー・マキロイ、ブルックス・ケプカなど、超高速でプレーして偉大な大会を制した選手はたくさんいる。しかし、コインの裏側(スロープレー)ばかりに焦点が当てられ、彼らの速さは話題にならない」
スロープレー批判への反論にとどまらず、ネガティブな面にばかりフォーカスするゴルフ界のナラティブ(物語)の偏りに対しても、彼は不満を覗かせた。
【動画】ラームが「賞賛すべき」と訴えるライアン・フォックスの超ファストプレー。DPワールドツアーが公式Xで公開したティーショットに使う時間は10秒弱!?
@DPWorldTour post on X
x.com「警告」に潜む理不尽なダブルスタンダード

「行動規範違反」と「スロープレー」は本質が異なるとはいえ、ラームの意見にも一理ある(写真/R&A提供)
そして、ラームの怒りの矛先は、ペナルティに至る「警告システム」の矛盾に向けられた。彼自身、全英オープンでの感情的な振る舞いにより「行動規範」違反の警告を受けているが、その運用方法には明確な不公平感があると語る。
「行動規範の警告は、木曜日に受けたらその1週間ずっと消えずに残る。しかも、どこからが違反になるのかという明確な境界線(ライン)すら提示されていない」
それに対し、他の競技者にも直接的な悪影響を及ぼす「スロープレー」に対する警告は、あまりに寛容に運用されているというのだ。
「スロープレーの場合、グループ全体が警告を受け、計測(オン・ザ・クロック)され、さらに警告を受けて初めてペナルティとなる。つまり何度もチャンスが与えられる上に、金曜日にティーオフする際には、その警告が『ゼロにリセット』されるんだ。これはどう考えても公平には思えない」
メジャー大会のルール運用に投じた一石
感情的な振る舞いに対する警告は1週間残り続けるのに、進行を遅らせるスロープレーへの警告は翌日にリセットされる。この理不尽なダブルスタンダードに対し、ラームは明確な提言を行っている。
「どちらかを厳しくするか、もう一方を緩くするか、同じ基準にすべきだ。私としては、スロープレーの罰則をより厳しくすべきだと思う」
自身の振る舞いへの反省はさておき、ラームが指摘したダブルスタンダードの問題は確かに一理ある。当事者の不満からこぼれ落ちたこのルールの歪みに関する指摘は、今後のメジャー大会の競技運営において、議論を呼ぶテーマとなりうるかもしれない。
