松山英樹、データが証明する“鉄壁の小技”で54人抜き

2日目にしっかり伸ばし、スコッティ・シェフラーと同じ13位タイで週末に進む松山英樹(写真/Getty Images)
初日「70」で出遅れていた松山英樹は、この2日目に圧巻のプレーを披露した。6バーディ、ノーボギーの「65」をマークし、一気に54人抜きを果たして通算7アンダーの13位タイへと急浮上。見事に週末への切符を手にした。
強風下でのこの猛チャージを根底で支えたのは、劇的に改善したアイアンショットと、鉄壁のグリーン周りの技術である。PGAツアーの公式スタッツ「Strokes Gained(ストロークス・ゲインド)」を見ると、その凄みがよくわかる。初日はグリーンを狙うショットの指標(SG: Approach to Green)が「-2.477」で全体134位と極度の不振に陥っていたが、わずか一晩でこれを修正。2日目は「2.137」を記録し、全体17位へと劇的な向上を見せたのだ。
さらに驚異的だったのが、グリーン周りの技術(SG: Around The Green)である。この日は「1.878」で全体8位を記録。パーオンを逃したホールは4つあったが、そのすべてでパーを拾う「スクランブリング100%(4/4)」を達成した。強風の中でいかにグリーンを外そうとも、絶妙なアプローチで凌ぎ切り、ボギーを一つも叩かずにラウンドを完遂したのである。感情や感覚の揺れ動きではなく、圧倒的なデータが松山の勝負強さと技術の高さを証明している。
世界1位を狂わせた「風」と「不運なバウンド」
一方、初日「65」と好発進を決めていた世界1位のシェフラーは、風の罠に苦しめられた。4バーディを奪ったものの、1ボギー、1ダブルボギーを叩き、「70」とスコアを伸ばしきれず。猛追してきた松山と同じ、通算7アンダーの13位タイへと後退した。
松山の鉄壁の小技とは対照的に、この日のシェフラーはまさにその「グリーン周り」で大苦戦を強いられていた。今季、あらゆるスタッツで1位に君臨する彼だが、この2日間を終えた時点での「SG: Around The Green」は「-1.979」で全体133位と極度の不振に陥っている。松山がグリーンを外しても100%パーを拾ったのに対し、世界1位がグリーン周りでボロを出したという対比は、松山のショートゲームがいかにハイレベルであったかをさらに浮き彫りにしている。
シェフラーを苛立たせたのは、バックナインでのミスと不運だ。彼は後半のプレーについて問われた際、「12番(パー5)も少し雑なプレー(sloppy)をしてしまった」と振り返っている。本来ならスコアを伸ばしたいパー5での取りこぼしが、彼のリズムを微妙に狂わせたのだ。
その焦りが伏線となったのか、14番(パー4)では手痛いダブルボギーを叩く。囲み取材では「スウィングが悪く、風に落とされてボールが池に入ってしまった」と自身のミスと風の影響を分析した。また、17番(パー3)のボギーについても「正しい場所に外したのに、不運なバウンド(bad break)があった」と語り、風と不運に対する隠しきれないフラストレーションを覗かせた。世界No.1プレーヤーであっても、僅かなジャッジの狂いやリズムの乱れが命取りになる。それが強風の吹くPGAツアーのセッティングの恐ろしさである。
歴史的「59」を追うサバイバルと、日本勢の現状
同組で明暗が分かれる形となった両者だが、戦いはまだ半分を終えたばかりだ。現在の首位とは7打差がついているが、その首位を走るマイケル・キムは、この日PGAツアー史上16回目(15人目)、そして大会史上最少記録となる「59(12アンダー)」という歴史的ビッグスコアを叩き出している。風が吹く中で12個のバーディを量産した別次元の首位の背中を、最高峰の2人がどう猛追するのか。
シェフラーは過去に「2日目を終えて7打差以上」のビハインドから3度(2022年WMフェニックスオープン、同年アーノルド・パーマー招待、2025年プロコア選手権)も逆転優勝を果たしている恐るべき実績を持つ。ボギーフリーで絶好調の波に乗る松山とともに、彼らが週末のリーダーボードをどう駆け上がっていくのか、エキサイティングなサバイバルへの期待は高まるばかりだ。
なお、予選通過ラインが3アンダーというハイレベルな伸ばし合いの中、日本勢として出場していた中島啓太(通算2アンダー)、金谷拓実(イーブンパー)、平田憲聖(通算8オーバー)の3名は、残念ながら無念の予選落ちとなった。過酷なセッティングの中で得た経験を糧に、次戦以降の彼らの奮起にも期待したい。
