トッププロたちの「猛暑対策」——水腹を防ぐ補給術と日傘の導入
この過酷な気候に対し、トッププロたちはどのような対策を講じているのか。
世界ランキングNo.1のスコッティ・シェフラーは、ただ水を飲めばいいという単純なものではないと語る。
「コース上で水を飲みすぎると『水腹(waterlogged)』になってお腹に溜まってしまう。だからラウンド前の事前の水分補給が重要なんだ」
彼は水分だけでなく電解質の補給を重視し、ラウンド中は妻が作ったプロテインボールをバッグに常備してエネルギーを切らさないよう徹底している。
一方で、世界中を転戦してきたローリー・マキロイは実に逞しい。プロ入り直後の若い頃、アジアンツアーなどでシンガポールやマレーシアを訪れ、「言葉にできないほど悲惨な湿度」の中でプレーした過酷な記憶を持つマキロイ。「その時の経験に比べれば、ここの暑さはまだ耐えられるレベルだよ」とタフな余裕を見せた。
ベテランならではの綿密な自己管理を明かしたのが、前回覇者のジャスティン・ローズだ。
「火曜や水曜の段階から、水分補給などの良い習慣をつけておくことが重要だ。一度遅れをとると、取り戻すのは本当に難しいからね」
さらに彼は練習ラウンドで日傘(パラソル)を使用し、「傘の下は約11℃ほど涼しく感じる」とその効果を絶賛。本戦でも迷わず日傘を差して戦う構えだ。
モンスターホール「5番(パー4)」——パーを獲って逃げ出せ
熱気に体力を削られる選手たちに、コース上でも容赦ない試練が襲いかかる。TPCサウスウィンドで「最難関ホール」として立ちはだかる5番(パー4)だ。
昨年(2025年)大会の平均スコアは「4.272」と、コース内で難易度「不動の1位」を誇る。数年前までは485ヤードだったが、新ティーイングエリアの導入によって、今ではなんと529ヤード(パー4)にまで延長されている。
シェフラーはこのモンスターホールをこう分析する。
「500ヤード超のパー4でグリーンが狭く、週末は南西からのアゲインスト(向かい風)が吹く予報だ。ティーショットでフェアウェイの落としどころが見えにくいことも、難しさに拍車をかけている」
シビアなティーショットと過酷なセカンドショットという、逃げ場のないレシピが揃う。ローズも練習ラウンドを振り返り、「今日は225ヤードから4番アイアンでグリーンを狙った」と吐露する。長い距離から極端に狭いグリーンを捉えなければならないシビアな状況だ。
そしてマキロイに至っては、このホールの攻略法を端的にこう表現した。
「パーを獲って、6番ティーへ走って逃げるようなホールだ。間違いないよ」
【動画】「パーなら勝利!」の難関5番Hをシェフラー、マキロイ、ローズが語る【PGAツアー公式X】
@PGATOUR post on X
x.com過酷なサバイバルを制するのは誰か

スコッティ・シェフラー、ローリー・マキロイ、ジャスティン・ローズ。世界ランク1位に輝いたことのある選手がプレーオフシリーズ初戦をどう戦うのか注目だ
体力を容赦なく削り取る体感43度の猛暑と、一打の狂いも許されない高難度のモンスターホール。プレッシャーと熱気の中で、最後まで自らの規律(ディシプリン)を守り切れるかどうかが、プレーオフ初戦の栄冠を大きく左右する。
各選手がどのような暑さ対策で過酷なコンディションを乗り切り、最難関の5番ホールでどのような決断を下すのか。極限のサバイバルレースにぜひ注目してほしい。
写真/岩本芳弘
