テネシー州メンフィスの猛暑の中で行われている、フェデックスカップ・プレーオフ第1戦「フェデックス・セントジュード選手権」。ムービングデーとなる第3ラウンドが終了し、優勝の行方を左右する最終日最終組のペアリングが決定した。通算13アンダーで単独首位を走るのは、完全無欠の王者スコッティ・シェフラー。そして、それを2打差の通算11アンダー(2位タイ)で猛追するのがサム・バーンズだ。

王者を追う親友の覚悟と「同じ屋根の下」の絆

この日のバーンズは、ボギーフリーの「62」という圧巻の猛チャージを見せ、一気に優勝争いの舞台へと駆け上がってきた。実はこの「62」という数字、彼がこれまでにTPCサウスウィンドでプレーしてきた過去25ラウンドにおける、自身のコース最少ストローク(自己ベスト)という記念碑的な記録(これまでは2024年第2ラウンドの「63」が最高)なのだ。

初日・2日目と苦しんだ前半アウトコースでこの日一気に5アンダーと大爆発した理由について、バーンズはお茶目にこう振り返っている。

「今日は3番ホールで池に入れなかったからね。それがすごく助かったよ(笑)」

この2人が最終日最終組で同組となるのは、2021年のツアー選手権以来のこと。しかし、このペアリングが大きな注目を集める理由は、単なるトップ争いというだけではない。彼らがツアーでも誰もが知る「親友同士」だからだ。

第3ラウンドで生涯ベストを叩き出し、一気にリーダーボードを駆け上がったバーンズ。親友であり、世界ナンバーワンの強さを誇るシェフラーと同組で最終日を迎えることについて、彼は静かな闘志を燃やしている。

「スコッティは明らかに素晴らしいプレーをしているし、いつものように決して手を抜くことはないだろう。明日も素晴らしいプレーをするはずだ。だから、彼を捕まえるためには、僕自身が本当に良いラウンドをまとめ上げなければならない」

彼らの絆は、単にコース上で言葉を交わすレベルではない。特にメジャー大会(マスターズなど)の週には、家族を連れて丸ごと一軒家を借り、同じ屋根の下で寝食を共にしながら戦いに挑むのが恒例となっているほどの、文字通りの“ソウルメイト”なのだ。今週はたまたま別の場所に滞在しているというが、普段は同じ家で飯を食い、互いの成功を誰よりも祈り合う2人が、明日だけはすべての友情を横に置き、一対一の勝負(コンペティション)に臨む。

また、バーンズは今季まだ優勝がないものの、「勝てていないのはもどかしいけれど、スタッツ的には間違いなく僕のキャリアで最高のシーズンを送っている」と語る通り、その内容は極めて充実している。すでに最終戦「ツアー選手権」への進出も確定させており、失うものは何もない。だからこそ、絶対王者である親友にとって最も恐ろしい挑戦者なのだ。

シェフラーの「奇妙な感覚」と勝負師の顔

一方、追われる立場のシェフラーにとって、この状況はどう映っているのだろうか。ラウンド後の会見で親友との同組対決について問われた彼は、トッププロならではの生々しい葛藤を口にした。

「いつも少し奇妙な感覚になるんだ。だって、僕は彼にすごく成功してほしい(勝ってほしい)と願っているし、彼も僕に対して同じように思ってくれているはずだからね」

互いの成功を心から祈り合う親友。しかし、日曜日になればどちらか一方が敗者となる。これが勝負の世界の非情な現実だ。シェフラーは、その複雑な胸中を抱えながらも、すぐに勝負師の顔へと戻った。

「明日はお互いに自分のゲームをして、一日の終わりにどうなるかを見るだけだ。いつも通りのコンペティション(競争)になる。友達と一緒にいられるのは楽しいけれど、同時に少し奇妙でもあるね」

今夜、親友とテキストメッセージのやり取りをするかと聞かれると、彼は「僕はメールをするのが得意じゃないから、たぶんしないだろうね(笑)」と短く答えて場内を和ませた。友情は胸に秘め、ただ己のゴルフに徹する。完全無欠の王者は、すでに日曜日の戦いへとメンタルを切り替えている。

友情と勝負が交錯する日曜日

画像: 26年トラベラーズ選手権初日、楽しそうな表情でラウンドするスコッティ・シェフラー(左)とサム・バーンズ(右)

26年トラベラーズ選手権初日、楽しそうな表情でラウンドするスコッティ・シェフラー(左)とサム・バーンズ(右)

トッププロとしてPGAツアーの頂点を争う2人。親友同士が最終日最終組で激突するというドラマチックな展開は、ファンにとってこの上ない見どころとなるだろう。

互いを深く知るからこそ生まれる鋭い緊張感。友情を一旦脇に置き、1打を争うコンペティターとしてのみ向き合う18ホール。猛暑のメンフィスで繰り広げられる、非情で、だからこそ美しい日曜日のサバイバルマッチから目が離せない。

写真/Getty Images


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