今回で、第40回目を迎える「ツアー選手権」(フェデックスカップ・プレーオフの最終戦として開催されるようになってからは20年目)が今日、いよいよ開幕する。本大会を配信するU-NEXTが、丸山茂樹プロとの名コンビでお馴染み“杉ちゃん”こと杉澤伸章キャディにインタビュー。大一番の見どころを「みんなのゴルフダイジェスト」に寄稿してくれた。

第1戦「フェデックスセントジュード選手権」、第2戦「BMW選手権」を勝ち抜いたポイントランキング上位30名のみが立てる最高の晴れ舞台。1年間の激闘の末に選ばれたトッププレーヤーたちが、2026年の年間王座を懸けて激突する。

決戦の地は、ジョージア州アトランタに位置する歴史ある名門「イーストレイクゴルフクラブ」。スコッティ・シェフラーやローリー・マキロイ、松山英樹といった世界最高峰の顔ぶれが揃う中、杉澤キャディが特に期待を寄せる選手がいる。

「今大会で注目しているのはキャメロン・ヤングですね。今シーズンは2勝を挙げ、トップ10入り8回、しかも予選落ちなしという抜群の安定感を誇っています。シーズン序盤から常に上位を賑わせ、メジャーでも結果を残してきた彼が、年間王者を懸けた大舞台でどんなゴルフを見せてくれるのか非常に楽しみです」

アイアンスペシャリストへの進化と英才教育の背景

今季圧倒的な安定感を誇るヤングだが、杉澤キャディはその要因にショット面の進化を挙げる。

「昨年まではパッティングが大きな武器でしたが、今年はアイアンショット、特にアプローチの精度が飛躍的に向上しました。データ(ストローク・ゲインド)を見ても、そこが成績を大きく押し上げています。もともと飛距離の出る選手ですから、そこにアイアンの正確性が加わればスコアメイクが格段に楽になります」

彼の強固なゴルフの背景には、恵まれた育育環境が存在する。名門ウェイクフォレスト大学出身で、父はPGAヘッドプロ、母も元プロゴルファーというゴルフ一家に育ったが、両親の教えは決して押し付けではなかったという。

「ご両親は『答えをすぐに教える』のではなく、自ら考える力を養うことを大切にしていたのだと感じます。本人がスウィングを自分で研究し、試行錯誤した段階で客観的な助言を与える。そうした接し方があったからこそ、コース上で思考し、組み立てる力が研ぎ澄まされたのでしょう」

飛距離だけではない「高ゴルフIQ」と苦難を越えた進化

画像: SG:Tee-to-Greenは+1.178で全体の5位と、ショット力の高さはPGAツアー屈指のキャメロン・ヤング

SG:Tee-to-Greenは+1.178で全体の5位と、ショット力の高さはPGAツアー屈指のキャメロン・ヤング

ヤングの大きな魅力は、なんと言っても圧倒的な飛距離だ。得意のパワーフェードを駆使した攻撃的なプレーが際立つが、彼の真価は単なるディスタンスだけにとどまらない。自らの球筋を深く理解し、綿密にコースを攻略するクレバーさを併せ持つ。そこには幼少期から培われた高い“ゴルフIQ”があると杉澤キャディは分析する。

「飛ばし屋というと力任せに攻める姿を想像しがちですが、ヤング選手は一味違います。自分の持ち球を計算し、次のショットをどこから打てば有利かを常に考えてプレーしている。最近はアイアンの精度も高まり、飛距離に加えてコースマネジメントの完成度も格段に上がっていますね」

今やツアーを代表する存在となった彼だが、プロ転向からの道のりは決して平坦ではなかった。大学卒業後はパンデミックやQスクールでの苦戦に直面し、ミニツアーなどを巡りながら地道に牙を研いだ。2021年にコーン・フェリーツアーで頭角を現すと、PGAツアー昇格後も何度も優勝争いに絡みながら、あと一歩で及ばない「シルバーコレクター」と称される試練の時期を過ごした。

しかし、2025年の「ウィンダム選手権」で悲願のツアー初勝利を果たすと、一気にその才能を開花させた。

「彼は惜敗の経験を糧にして成長してきました。好調時の自身の映像を徹底的に見返してスウィングを研究し、パワーフェードに加えてアイアンでのドローボールも取り入れるなど、少しずつモデルチェンジを重ねてきたのです」

自分の現在地を正しく把握し、必要な変化を恐れずに実行してきた積み重ねこそが、今の圧倒的な強さの源だ。

「今のヤング選手は、単なる飛ばし屋ではありません。自分自身のゴルフを誰よりも理解し、自ら進化を勝ち取ってきた。この最後の舞台で、最大のビッグタイトルを掴み取る可能性は十分にあります」

選ばれし30名のみが集う「ツアー選手権」。今シーズンさらなる飛躍を遂げたキャメロン・ヤングが、シーズンの頂点で王座を掴み取ることができるのか。杉澤キャディも太鼓判を押す彼の仕上がりに期待が高まる。

U-NEXT/窪山京真


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