ゲーリー・ウッドランドの告白「一度も勝てない。まるでATMだ」

ダラスでは一度もシェフラーに勝てず、ATMと化していると笑って話すゲーリー・ウッドランド(写真は26年全英オープン)
2019年全米オープン覇者のゲーリー・ウッドランドは、シェフラーと同じ名コーチ、ランディ・スミスに師事している。そのため、オフ期間や試合の合間には、ダラスで連日「トレーニングキャンプ」と称して、シェフラーと共に1日中練習やラウンドを行っているという。
プロゴルファー同士のプライベートなラウンドにおいて、少額の賭け(マネーゲーム)を行うことは珍しいことではない。ウッドランドたちも、常に1ホール100ドル(約1万5000円)程度の賭けゴルフを楽しんでいるという。
しかし、ウッドランドはその「結果」について、降参気味にこう告白した。
「ダラスで一回もスコッティに勝ったことがないんだ。彼に会うたびにお金を渡しているようなもので、何度もATMに行かなきゃならなかったよ(笑)。スコッティは僕に会うたびに嬉しそうに『今日も僕にお金を渡しに来てくれたのかい?』って聞いてくるんだ。さらに、負けている時に賭け金を倍にして一発逆転を狙う『プレス』をシウーと僕で仕掛けるんだけど、それも全く上手くいかずに自滅してしまうんだよ」
さらにウッドランドは、メンフィスでの試合直前に行われたダラスでの練習ラウンドのエピソードを明かした。
「彼がプレッシャーに弱いんじゃないかってからかっていたら、彼は最後の3ホールをパーで上がって、その日『60』というスコアを叩き出したんだ。僕とシウー(・キム)にはどうしようもなかったよ。彼にダラスで勝つのは本当に難しいんだ」
プライベートの仲間内のラウンドであっても一切の妥協なく「60」を叩き出して勝ちに来るシェフラー。彼らが単に遊んでいるのではなく、極限の技術を高め合っている裏には、共に師事する名コーチ、ランディ・スミスの存在がある。
スミスコーチが叩き込む最大の教えが、「毎日、グリップを完全に同じ状態に保つこと」だ。ウッドランドは「このミリ単位のグリップの徹底こそがフェースを完全にコントロールする基礎であり、ダラスでの厳しい練習の土台になっている」と明かす。世界一の強さは、こうした緻密な基本の徹底と日常の切磋琢磨から培われているのだ。
キム・シウーのユーモア「僕が2人目の息子のオムツ代を払っている」

シェフラーに頼んでホームコースを紹介してもらい、その後、仲良くなっているキム・シウー(写真は26年全英オープン)
ウッドランドと同じく、ダラスでシェフラーと頻繁に練習ラウンドを重ねている韓国のキム・シウー。彼もまた、公式会見の場でこの「ダラスのマネーゲーム」について言及した。
記者から「今年、シェフラーにいくら負けたか?」とストレートな質問を投げかけられたキム・シウー。すると彼は、困ったような笑顔を浮かべながら、見事なユーモアでこう切り返した。
「正確にいくら負けたかは言えないけれど……彼の2人目の息子のオムツ代は、すべて僕が払っているようなものだよ」
この絶妙な切り返しに、会見場は大きな爆笑に包まれた。
圧倒的な世界No.1の強さを肌で感じ、実際にお金を巻き上げられながらも、それをジョークにして笑い飛ばせる関係性。そこには、同じ土俵で戦うアスリートとしての深いリスペクトと、温かい友情が存在している。
ダラスで高め合った仲間たちが挑む、年間王者のラストバトル
「ATM」としてお金をむしり取られ、「オムツ代」を貢がされているウッドランドとキム・シウー。しかし、彼らはただ負け続けているわけではない。
「彼がどうやってエネルギーを管理し、どうやって毎日目的を持って練習しているか。彼からは本当に多くのことを学んでいる」とウッドランドが語るように、世界最高のプレーヤーと日々同じ環境で高め合えることは、彼ら自身のゴルフを確実に成長させているのだ。
冗談を言い合える最高の練習仲間であり、同時にツアーで最も倒すのが困難な巨大な壁でもあるスコッティ・シェフラー。
イーストレイクGCの最終戦。ダラスで悔しい思いをしてきた「ATM」の男たちは、大舞台でのリベンジを誓い、今日もオムツ代を取り返すために絶対王者に立ち向かっていく。
写真/R&A提供
