アイアンの苦戦を補って余りある「驚異のリカバリー力」
第3ラウンドの金谷は、アイアンショットに苦しみながらも1つのボギーも叩かない「6バーディ・ノーボギー」の圧巻のゲームマネジメントを見せた。第2ラウンドの15番(インスタートの6ホール目)でイーグルを奪って以降、実に31ホール連続でボギーなしを継続中だ。この驚異的な粘り強さが大捲りを支えている。
グリーンを狙うショットの貢献度を示す「SG: Approach to Green」を見ると、初日98位、2日目87位、3日目も73位(-2.302)と、アイアンショットでは連日苦戦を強いられていることがわかる。3日目のパーオン率(GIR)も50.00%(74位タイ)にとどまっており、決してチャンスを量産できたわけではない。
しかし、それを補って余りあるのが、彼の真骨頂であるグリーン周りでの「驚異のリカバリー力」だ。3日目の「スクランブリング(パーオンを逃したホールでパー以上を拾う確率)」は「9/9」で100%(全体1位タイ)を記録。さらにサンドセーブ率(バンカーからのパーセーブ率)も100%(全体1位タイ)と、訪れたピンチをことごとく凌ぎ切っている。
また、ティーショットの安定性を示すフェアウェイキープ率は、3日目に92.31%(12/13)で全体5位タイをマークしており、大崩れを防ぐ確かな土台となっていたことも見逃せない。
「パットの神様」降臨。データが示すグリーン上のV字回復

パッティングスタッツが上がってきた金谷拓実(写真は26年SanSan KBCオーガスタ、撮影/姉崎正)
そして、金谷の大躍進を支えた最大の要因が、グリーン上での劇的な変化だ。
パットのスコア貢献度を示す「SG: Putting」の推移が凄まじい。初日は「-1.906(115位)」と大ブレーキの原因となっていたが、2日目には「0.921(26位)」へ改善。そして3日目にはなんと「3.399」を叩き出し、フィールド全体で「3位」へと超絶的なV字回復を果たしているのだ。
この日は10番スタートのインコースにおいて、15番(パー5)、16番(パー4)、17番(パー5)で怒涛の3連続バーディを奪い、前半(イン)で「33(3アンダー)」を一気に作り出した。ここから波に乗り、折り返した後半アウトコース(1番・4番・8番)でも3バーディを加えて「32(3アンダー)」をマークしている。
どれほど「パットの神様」が降臨していたかは、他の数字を見ても明らかだ。決めたパットの総距離(Feet of Putts Made)は、初日の「35フィート8インチ(126位)」から、3日目には約3倍となる「94フィート10インチ(10位)」へと激増。さらに、パーオン時の平均パット数も初日の2.00(124位タイ)から、3日目は「1.44(8位)」へと向上しており、グリーンに乗れば「入れまくった」事実がデータに克明に記されている。
悪天候の最終日へ
今大会開幕前の金谷のポイントランキングは144位(169pt)とシード圏外にいる。予選落ちの危機だった112位タイから44位タイまで捲り上げたことで、最終日にさらにスコアを伸ばして20位〜30位圏内に食い込めれば、ポイントを一気に加算できる大チャンスとなっている。
最終日は雷雨の予報が出ており、アウト・インの2ウェイで朝7時43分からの変則スタートとなる(コース状態を考慮しプリファードライも適用される)。
荒天が予想されるサバイバル戦。パットとリカバリー力が冴え渡っている金谷にとって、アイアンショットの復調さえ噛み合えば、最終日にさらなる上位進出を果たす可能性は十分にある。日本勢として孤軍奮闘を続ける金谷拓実が、最終日にどんなフィニッシュを見せるのか期待が高まる。
