活発なグループチャットとチームの一体感
国籍も言語も異なる多国籍なメンバーが集まる世界選抜にとって、「いかにチームとしてまとまるか」は常に大きな課題となる。しかし、オギルビー主将は今年のチーム状態について「これまで以上に一体感がある」と強い手応えを口にした。
その一体感を象徴しているのが、選手たちの「グループチャット」だという。「チャットがこれまでになく活発なんだ。若手たちがバスの中での出来事や画像、TikTok動画やAI加工画像、GIFアニメを頻繁に共有してジョークが飛び交っている。とてもフレンドリーな環境だよ」と主将は笑顔で明かす。若手が中心となったフランクなやり取りが、チーム全体の風通しを良くし、強固な絆を生み出している。
一方で、米国選抜も負けてはいない。米国主将のブランド・スネデカーによると、チームチャット名を『Medinah '26』とし、普段あまりチャットに現れない世界ランキング1位のスコティ・シェフラーまで積極的に発言に参加するなど、両チームともかつてない一体感を醸成して今大会に臨んでいる。
アダム・スコットと松山英樹の絆

アダム・スコットは松山英樹のことを「弟のような存在」と語る(写真は25年ザ・セントリー、撮影/岩本芳弘)
活気ある若手たちを精神的支柱として支えているのが、世界選抜が誇る2人の偉大なベテランだ。大会歴代最多となる12回目の出場を果たしたアダム・スコット(46歳)と、7大会連続出場となる日本のエース・松山英樹(34歳)である。
「アダムが2003年に初めて(プレジデンツカップの)部屋に入った時、そこにはアーニー・エルスやビジェイ・シンがいた。それが今や彼とヒデキが、若い選手たちが憧れの目で見つめる存在になっている」とオギルビー主将は語る。今年、キャプテンズ・ピックによって日本人の代表入り7人目として初出場を果たす24歳の久常涼にとっても、松山の存在は計り知れないほど大きいはずだ。
スコットは松山について「2013年からずっと一緒に戦ってきた弟(little brother)のような存在」と深い愛情を込めて語る。2年前(2024年モントリオール大会直後)に日本で一緒に夕食をとった際、「2人で絶対にこのカップを掲げよう」と熱く語り合ったエピソードは、チームの語り草だ。オギルビー主将も「彼ら(スコットや松山)に勝利をプレゼントしたいという思いが、チームの大きな原動力になっている」と明かし、ベテランへの敬意と深い絆がチームの士気を最高潮に高めている。なお、松山は2019年にこのメディナCCで開催された「BMW選手権」で3位に入っており、コースとの相性の良さも大きな武器となる。
データが示す「肉薄」と勝機
圧倒的に不利とされる下馬評だが、データと近年の実績は世界選抜の勝機を強く示唆している。
前回のモントリオール大会(2024年)では最終スコアこそ敗れたものの、「個々のホールの勝数では我々が米国を上回っていた」とオギルビー主将は指摘する。さらに前回大会では、初日のフォーボール(Four-ball)で0-5と完敗した直後、2日目のフォーサムズ(Foursomes)で「5-0のストレート勝ち(スイープ返し)」を果たすという歴史的な爆発力を見せた。また、最終日のシングルス戦では松山英樹が当時、そして現在も世界1位であるスコティ・シェフラーを「1アップ」で直接撃破する快挙も成し遂げている。
マッチプレーはコースではなく「人間」との勝負だ。自ら改修したコースの戦略を知り尽くすオギルビー主将の指揮のもと、若手の躍動とベテラン2人の強い絆が融合した世界選抜が、悲願の勝利へ向けてメディナの地を熱く揺らす。
