「勝ちたい思いが強すぎた」スコッティ・シェフラー
「なぜ勝てないのか?」という直球の質問に対し、シェフラーはこう答えた。
「シングルス(1対1)の成績だけを見れば、私のマッチプレーの記録はかなり良いはずだ。でも、私は超負けず嫌いな性格だから、チーム戦では『勝ちたい』と意識しすぎて空回りしていたのかもしれない」
チームメイトのため、そして国のために戦うというプレッシャーが、無意識のうちに彼のプレースタイルを狂わせていたというのだ。
「私のパッティングのスタッツを見ても、不調だった時期は『一生懸命やりすぎた』ことが原因だった。チーム戦でもそれは間違いなく要因だね。もう少し肩の力を抜いて、頑張りすぎないことが重要だと思っている。ただ、言うは易く行うは難しだけどね」
完璧に見える王者もまた、人間らしい葛藤を抱えながら戦っている。
主将が語る「世界1位と組むペアの心理」とデータ上の真実
シェフラーを支える米国チームのブランド・スネデカー主将は、会見でパートナー側の心理にも言及した。
「歴代最高の選手たちとペアを組むパートナーには、無意識のうちに『自分が足を引っ張ってしまうのでは』『世界一の相棒にふさわしいプレーをしなきゃいけない』という重圧がかかるものだ。だが、スコッティはスコッティでいればいい。彼ひとりでプレジデンツカップの勝ち負けが決まるわけではない。12人全員で勝ち取るものだ」と明言し、王者に過度な重荷を背負わせないチーム作りを強調した。
実際、2022年大会でサム・バーンズと組んだ際、成績こそ0勝2敗1分けだったものの、ラウンド後のスタッツ分析(アナリティクス)では「この日、他のどの組と対戦していても勝利していた」という圧倒的なパフォーマンスデータが出ていた。
バーンズも「結果が出なかったのは歯がゆかったが、僕たちのペアとしてのプレー自体は非常に高レベルだった」と語っており、数字以上に内容は噛み合っていたのが実情だ。
トム・キムとの熱戦とチームチャット『Medinah '26』
また、シェフラーはコース上での「熱情」についても語った。前回のプレジデンツカップで、対戦相手のトム・キムに対して大声で叫んだシーンについてだ。
「あれは面白かったよね。トムと私は大親友なんだ。でも彼が20フィートのパットを入れて、まるで大会で優勝したかのように喜んだから、私がパットを入れ返した時に『トム、静かにしろ!』と言い返しただけさ。国を背負って戦うと、どうしても感情的になるからね」
【動画】会見で話題になった24年大会、シェフラーとトム・キムのやりとり【PGAツアー公式X】
@PGATour post on X
x.comコース上では闘志をむき出しにする彼だが、チームのロッカールームでは全く別の愛くるしい顔を見せる。
スネデカー主将が『Medinah '26』と名付けたチームのグループチャットでは、若手のブリッジマンやゴッタラップが画像や動画を連発して大盛り上がりを見せている。普段めったにテキストを送らないシェフラーも、「私は間違いなくチームで一番メッセージを打つのが下手(遅い)だよ。英語が母国語じゃない選手よりも下手かもしれない(笑)」とおどけつつ、あまりの面白さに思わずチャットに投稿してきたという微笑ましいエピソードが明かされた。
「タイガーのような威圧感はない」相棒たちの証言

プレジデンツカップでの通算成績は3勝5敗1分け、ライダーカップでは3勝6敗3分けと、世界No.1はどちらも負け越している(写真は26年全米オープン、USGA提供)
そんな彼を、ペアを組む相棒やチームメイトたちはどう見ているのか。13歳からの幼なじみであり、何度もコンビを組んできたサム・バーンズはこう語る。
「彼と一緒にプレーする重圧? 全くないよ。お互いにミスはするし、それはゴルフだから。もし私が彼をガッカリさせても、それがゴルフというものさ」
さらにラッセル・ヘンリーも「もしタイガー・ウッズと組むなら緊張するかもしれない。でも、私はスコッティの家にも行く仲だし、彼は威圧感がなく、非常に快適にプレーさせてくれる素晴らしいチームメイトだよ」と証言する。
ルーキーのクリス・ゴッタラップも「世界最高のゴルファーと同じチームになれて刺激的だが、彼に余計な力仕事をさせる気はない。全員で自分の仕事を果たすだけだ」と語り、チームで一番負けず嫌いな選手としてシェフラーの名を即答したキャメロン・ヤングも「彼が調子を出した時は本当に手がつけられない。味方にいる週で本当によかった」と全幅の信頼を寄せる。
威圧感ゼロの愛される世界No.1。肩の力を抜き、最高の仲間たちとともに、スコッティ・シェフラーがジンクスを打ち破る戦いに挑む。
