1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在は日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄が、ラウンド中に話題になる「ゴルフの奥深い知識」を綴るコラム。第83回目は、毎ホール全員の打数を記録する日本人特有の習慣に疑問を投げかけ、あえてスコアを付けずにプレーすることで生まれる開放感やスロープレー防止の効果など、プライベートゴルフをストレスフリーに心から楽しむための思考法について。

全員のスコアを毎ホール記入するのは日本だけ?

画像: スロープレーは迷惑プレー!と記載がある※スコアカードはイメージ

スロープレーは迷惑プレー!と記載がある※スコアカードはイメージ

ゴルフのプレーをするときにほとんどの人がスコアを付けていることだろう。スコアを付けていれば技量の進捗が分かり、上達への道筋も見えてくる。

だが、スコアを付けているのは自分の体験で言えば日本人だけだといえる。しかも、プレー中は、同伴プレーヤーのスコアも「今幾つ」と毎ホールアウト後に聞いてはスコアカードに記入している。そのたび「なんでこちらのスコアを付けているんだろう。付けるのなら自分の分だけでいいものを」と思ってしまう。

いつもそう思うので、あるとき「スコアを付けてどうするの?」と聞いてみた。答えは「付けなければいけないから」との返答。あれ、そんなゴルフ規則あったっけ? と一瞬考えてしまった。同伴者のスコアを付ける意味は? という質問だったが。もちろん、コンペなどに参加しているときにはスコアを付ける。だが自分の分だけだ。同伴者のスコアを聞かないし記入もしない。理由は公式な競技に参加していないからだ。公式な競技ならマーカーとして相手のスコアは付けることになるが。

スコアを付けると「あそこで幾つ叩いた」「あのホールはハザードがきつくていやだ、だからスコアが悪い」となり、本来は楽しいはずのプレーがつまらなくなりストレスを受けてしまうことにもなりかねない。

当然だが、競技志向のゴルファーならスコアを付けて、後にスコアカードを見ながら反省することだろう。苦手意識も明確になり、練習のテーマを見つけることもでき技量の向上も図れることから否定はしない。

画像: ゴルフは楽しいもの。スコアを付けてラウンドするのも良いが、スコアを気にせずラウンドする日もあっても良いのかもしれない(撮影/有原裕晶)

ゴルフは楽しいもの。スコアを付けてラウンドするのも良いが、スコアを気にせずラウンドする日もあっても良いのかもしれない(撮影/有原裕晶)

自分の仲間には競技志向のゴルファーはいないし、誰一人としてスコアを付ける者はいない。でも打順は分かるし、フェアウェイでは打てる人から打ち、スロープレーを防いでいる。よく遭遇するのは、グリーン上でスコアを付けながらカートに向かうゴルファーだ。カートに乗ってもスコアを付けたり、聞いたりしているのかすぐには発車しない。カートが動かなければ、こちらは打つことができない。毎ホール続くとスロープレーになりやすく、自分たちの後続組にも影響を与えてしまう。

「スコアを付けなければ気が楽になり、より楽しくなるよ」そして「付けるのは自分のスコアだけ」とも同伴プレーヤーに言うと「そうなんだ」と気づいてくれるゴルファーもいる。

自分の経験では、世界で『日本人ほど几帳面、しかも同伴者全てのスコアを記入している民族はいない』というものだ。

仕事柄、訪れたコースのスコアカードは資料として必ず持ち帰る。世界中というとオーバーになるが、相当量のスコアカードを保管している。

スコアを記入したものはアリゾナ州ツーソンにあるローズ・ベンタナ・キャニオンGCマウンテンコースでベストスコアを記録したときのものと、オーガスタナショナルGCをプレーしたときの2枚だけだ。このスコアカードには同伴者のサインをもらっているが記入してあるのは自分のスコアだけだ。

ゴルフは楽しいもの。だからスコアを付けずに仲間と会話を楽しみながらストレスフリーで1日を過ごしてほしい。もちろん、真剣にプレーすることは否定しないが、真剣になるのは仕事の時だけにしようではないか。もう一度言うが「ゴルフは楽しいもの」だから。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中。

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