2日連続で世界選抜に流れを呼んだ松山英樹
この日、松山がペアを組んだのは韓国のイム・ソンジェ。前回2024年大会のフォーサムにて、米国選抜の強力ペアを相手に「7&6」という大会史上最大差タイ記録の圧勝を収めた黄金コンビである。
第7マッチ(2日目の2組目)に登場した2人は、米国選抜のラッセル・ヘンリー&ジェイコブ・ブリッジマン組を終始圧倒し、3&2で完勝。世界選抜(インターナショナルチーム)が金曜日のフォーサム全5試合を制する「5-0スイープ(全勝)」という歴史的快挙を成し遂げ、通算スコア7-3での大逆転劇を大きく後押しした。
「自分の調子は悪いが、引き立て役になれてよかった」松山の独白
チームを勝利へ導く今大会自身の2ポイント目を獲得した直後、中継のU-NEXTインタビューに現れた松山から発せられたのは、エースとしての威厳とは裏腹な、驚くほど謙虚な言葉だった。
「相変わらず僕のゴルフの状態は悪いんですけど、引き立て役として頑張れてよかったなと思います」
自身のショットに納得がいかないもどかしさを抱えながらも、チームの勝ち点に貢献できたことに安堵の表情を浮かべた松山。そして、ペアを組んだ相棒イム・ソンジェの奮闘に対し、惜しみない感謝と称賛を送った。
「もう少しソンジェを楽にプレーさせてあげたいんですけど、なかなかそういうわけにはいかなかったんで。ライン読みも含めてしっかりと頑張って全部入れてくれたんで助かりました」
自分が前面に出るのではなく、パートナーが実力を100%発揮できるよう影で支える――。「引き立て役」という言葉の裏には、相棒への深い信頼と、チームの勝利最優先で臨む松山の成熟した美学が込められていた。
ピンチを救ったアグレッシブな判断と集中力
謙遜した言葉とは裏腹に、勝負どころで見せた一打には、やはり世界トップクラスのエースたる所以が凝縮されていた。象徴的だったのが4番ホール(パー4)のバンカーショットだ。
ともに第3打となった場面で相手ペアが先に良いショットを寄せてプレッシャーをかけてくる土壇場の状況下、松山は守りに入ることなく、極めてアグレッシブな一打を選択した。相手ペアの見事なショットに対しても怯むことなく、「仮にオーバーして奥のフェアウェイに行ってもいい」とリスクを覚悟して打った決断は見事に結実。ピンチを脱する素晴らしいリカバリーを見せると、続くイムが見事にパーパットを沈め、相手のミスもあり、このホールを奪ってみせたのだ。

ウィニングパットとなった16番でのパーパットを沈め、力強くガッツポーズをする松山英樹
連日の激闘から勝負の3日目へ
連日の激闘を経て、戦いの舞台は大会3日目(土曜日)へと移る。午前・午後で計36ホールが予定される過酷な1日に向け、松山はすでに思考を次へと切り替えていた。
「(明日の)出場がまだ発表されていないのでどういう展開になるかは分かりませんが、たぶん僕は一回だけの出場になると思うので、そこを一回、しっかりと頑張って勝てるようにしたいです」
自身の体調やチーム全体の起用バランスを見極めつつ、与えられたひとつの打席で確実にポイントを奪い取るという、徹底したプロフェッショナリズムが覗く。
言葉ではなくプレーと姿勢で示す「真のリーダー」
開幕前の記者会見で、チーム内での立ち位置について問われた際、松山は「英語の壁があるから、アダム(・スコット)のようなリーダーになるのは難しい」と語っていた。
しかし、言葉の壁など問題ではない。初日のルーキー久常涼を導いた温かい眼差し、そして2日目にイム・ソンジェを力強く引き立てたプレーと謙虚な姿勢。背中で語り、結果で示す姿こそが、まさに真のリーダー像だ。
3日目午前のフォーボールでは、再び久常涼との日本人ペアを組むことが決まった。対戦相手は、スコッティ・シェフラー&サム・バーンズというジュニア時代から仲の良い米国最強のペアだ。
1998年以来となる悲願のプレジデンツカップ奪還を目指す世界選抜にとって、この日本人タッグが米国最強ペアを下すことができれば、チームの勝利へ向けて絶大な弾みがつくことは間違いない。松山&久常のさらなる躍動に、ファンの期待は高まるばかりだ。
写真/Getty Images
