アマチュアにとって、スコアメイクの大きな壁として立ちはだかるのがバンカーショット。ザックリして出なかったり、ホームランしてグリーンオーバーしたりと、大叩きの引き金になること多数。そんなバンカーの苦手意識を持つゴルファーを救うべく、工夫を凝らした「バンカー特化ウェッジ」が出ている。「みんゴル実験室」では、気になるバンカー特化ウェッジを3つ集め、実際のバンカーで実力を検証した。

試打解説は、みんゴル実験室のレギュラーテスター・松本一誠プロ。舞台は、いつもの実験室・横浜のIssei Golf Laboを飛び出し、静岡県の東名CCへ。

注目の3モデルは…

①フォーティーン「FR-3」ウェッジ(ロフト58度)

画像: フォーティーン「FR-3」/ソール中央に溝が入ったダブルバウンスの“新キャニオンソール”が特徴

フォーティーン「FR-3」/ソール中央に溝が入ったダブルバウンスの“新キャニオンソール”が特徴

画像: 「FR-3」の顔。フォーティーンのウェッジらしいオーソドックスな顔/試打シャフトはFOURTEEN N.S.プロ DS91w

「FR-3」の顔。フォーティーンのウェッジらしいオーソドックスな顔/試打シャフトはFOURTEEN N.S.プロ DS91w

②キャスコ「Dolphinウェッジ DW-125G High Spin」(ロフト58度)

画像: キャスコ「Dolphinウェッジ DW-125G High Spin」/形状とバウンス角を変えた4面で構成する“クワッドソールX”が特徴

キャスコ「Dolphinウェッジ DW-125G High Spin」/形状とバウンス角を変えた4面で構成する“クワッドソールX”が特徴

画像: 「Dolphinウェッジ」の顔。DolphinシリーズのDG-125G High Spinは、ノーメッキの全面溝というフェースも特徴のひとつ。形はオーソドックス/試打シャフトはN.S.プロ950GH WEDGE

「Dolphinウェッジ」の顔。DolphinシリーズのDG-125G High Spinは、ノーメッキの全面溝というフェースも特徴のひとつ。形はオーソドックス/試打シャフトはN.S.プロ950GH WEDGE

③ピン「BunkR」(ロフト64度)

画像: ピン「BunkeR」/大きなバウンスの超ワイドソールが特徴

ピン「BunkeR」/大きなバウンスの超ワイドソールが特徴

画像: 「BunkR」の顔。EYE2形状の全面溝、ネックはグースだが、刃(リーディングエッジ)は前に出ている/試打シャフトはPING Z-Z115

「BunkR」の顔。EYE2形状の全面溝、ネックはグースだが、刃(リーディングエッジ)は前に出ている/試打シャフトはPING Z-Z115

今回のテストは、長雨の影響もあり、結果的にバンカーの砂のコンディションが異なる2部構成での実施となった。

前編は、秋の長雨が上がった直後の曇天という、湿り気のあるバンカーでの実験。

後編は、後日改めて晴れの日に、サラッとした乾いた砂でのバンカーショット実験。

図らずも巡ってきたこの展開は、バンカー特化ウェッジの実力を多角的に検証する絶好の機会になった。果たして、ウェットとドライ、2つのシチュエーションで、各ウェッジはどのような「やさしさ」を見せてくれるのか。

前編/雨上がりの東名CC
湿って硬く締まったバンカーでの実力

取材最初の日は、あいにく秋の長雨が上がったばかりの曇天日。松本プロが「雨上がりの空というより、今も霧っぽい感じの気候です」と語るように、空気は湿気を帯び、当然ながらバンカーの砂も、湿り気をたっぷり含んで、砂粒同士が結合して表面が硬く締まった状態。

この状況について松本プロは、「こういう時はサンドウェッジ(SW)よりも、アプローチウェッジ(AW)やピッチングウェッジ(PW)の方が砂の中にヘッドが潜りやすいのです」と解説。

画像: 試打解説は、みんゴル実験室のレギュラーテスター、松本一誠プロ

試打解説は、みんゴル実験室のレギュラーテスター、松本一誠プロ

「バンカー特化ウェッジの舞台としては、かなり微妙(笑)ですが、やってみましょう」と、少し意地悪なハードコンディションでのテストスタート。

画像: 「Dolphinウェッジ」「FR-3」「BunkR」、濡れたバンカー砂から実験開始

「Dolphinウェッジ」「FR-3」「BunkR」、濡れたバンカー砂から実験開始

フォーティーン「FR-3」ウェッジ
予想を超すエクスプロージョンに

テスト1本目は、フォーティーン「FR-3」ウェッジ(ロフト58度)。構えた時の見た目やフォルムはオーソドックスな少し大きめのヘッドで、やさしい印象を与えてくれる。

最大の特徴は、ソールの真ん中に溝が彫られた「新キャニオンソール」と呼ぶ、独自のソール形状。前側と後ろ側に分かれたダブルバウンスが、硬い砂でどう活躍するかがポイント。

「湿った砂ですが、真っすぐ構えて素直に打ってみます。砂が締まっていてソールが跳ねてホームランしそうな状況ですが…」と、松本プロも警戒しながらバンカーショット。

しかし、放たれたボールとヘッドの動きから、「えっ! という感じ」と驚きの声。「ヘッドが跳ねず、砂の中にしっかり潜って滑ってくれました」と、見事なエクスプロージョンショットとなった。

数球を打ち終えた松本プロは、FR-3の性能を絶賛。「これ、湿って硬く締まった砂でも構わず打てますね。前側のバウンスがローバウンスなので、リーディングエッジがしっかり潜ってくれる。それを後ろ側のハイバウンスが受け止めて滑ってくれる感じです」とメカニズムを解説。

画像: 濡れた締まった砂でのFR-3。「前側がローバウンスで、砂の硬さに負けず砂に潜ってくれます」とナイスアウト

濡れた締まった砂でのFR-3。「前側がローバウンスで、砂の硬さに負けず砂に潜ってくれます」とナイスアウト

「いや、びっくりしました。普通に打てばOK、これ、すごい。いきなり凄腕のバンカーウェッジです」と、1本目からいきなりの高評価が飛び出した。

画像: 「刃が入っていくれるので、跳ね返されない。締まったバンカーでの大事な役割りをクラブが自動的にやってくれます」

「刃が入っていくれるので、跳ね返されない。締まったバンカーでの大事な役割りをクラブが自動的にやってくれます」

キャスコ「Dolphinウェッジ」
力がなくても“ススン”と滑り抜ける

続いて2本目は、キャスコの「Dolphinウェッジ (DW-125G High Spin)」(ロフト58度)。

このウェッジも、ソールに大きな特徴がある。前側、後ろ側、トウ側、ヒール側で、バウンス角や形状が全く違う4面からなる山型ソールで、「クワッドソールX」という呼び名が付いている。

対して、構えた時の見た目は、いたって普通のウェッジの顔で、ネックはセミグース形状で安心感がある。

「ドルフィンもフェースを開かずに普通に打ってみます」と宣言し、ショットした松本プロ。すると、「これも砂面で跳ねずにきれいに入る、湿った砂でも、構わずにエクスプロージョンができて、とてもやさしいです。“ススン”って砂の中を滑っていく感じ。抜けがメチャいいです」と、その独特の振り抜きやすさを高く評価。

画像: 湿った砂でのDolphinウェッジ。「跳ね返されずに砂がきちんと削れます。潜るだけのザックリにもならず、砂が薄く爆発します。非力な人にかなり合いそう」

湿った砂でのDolphinウェッジ。「跳ね返されずに砂がきちんと削れます。潜るだけのザックリにもならず、砂が薄く爆発します。非力な人にかなり合いそう」

さらに数球、試打を重ねると、FR-3との違いが見えてきた。「フォーティーン(FR-3)よりもドルフィンは、砂の浅いところを滑るので、同じ振り幅でも、飛ぶ感じです。山型ソールの頂点がいい働きをしてくれて、ザックリはまったくしないですね」と松本プロ。

画像: 「ソール中央の山の頂点に濡れた砂の痕が付きました。山の頂点が、濡れた砂を受け止めて、砂を弾いてくれているのがわかります。普通のSWではありえない現象で、これがやさしさの秘密です」

「ソール中央の山の頂点に濡れた砂の痕が付きました。山の頂点が、濡れた砂を受け止めて、砂を弾いてくれているのがわかります。普通のSWではありえない現象で、これがやさしさの秘密です」

フェースを開く必要もなく、簡単に距離が出せることに感心し、「実は、母がドルフィンを使っているんですよ。これを使うの分かるな、とにかくラクです」

「薄く滑るので力がなくても出るのが分かります」と、女性やシニアゴルファーに支持される理由を肌で感じていた。

ピン「BunkR」刃から入れてOK!
ミスを許容するお助けウェッジ

3本目はピンの「BunkR」。ロフト角は全ラインナップ共通で64度という設定。松本プロが「これは面白い顔だなあ。奇抜さは一番かもしれません」と語るように、フェース全面にスコアラインが入り、輪郭はピンの名器「EYE2」を彷彿とさせる独特のデザイン。

そして目を引くのが、見るからにハイバウンスで丸みを帯びた、3モデル中で一番ワイドなソール。「いかにも砂の中を跳ねて滑ってくれそう」と期待が高まる。

これもフェースを開かずに真っすぐ構えて打つ。数球を打ち終えた松本プロは、すぐにこのクラブのターゲット層を理解した模様。

「わかりました!ピンのBunkRは、バンカーが怖くて上からドンって打ち込んで終わっちゃう人にぴったり。『リーディングエッジから砂に入れてもいいんだよ』っていうウェッジです」と解説。

画像: 「刃から入れてもいいんだよ、という声が聞こえてきます。BunkRの超ワイドソールのやさしです」

「刃から入れてもいいんだよ、という声が聞こえてきます。BunkRの超ワイドソールのやさしです」

「アマチュアの中には、ボールを打ちに行こうとして手元が前に流れてしまい、インパクトでロフトが立ってしまう人が多くいます。おそらく、そういった人のことまで考えて、ロフトが64度もあるんだと思いました」とは、松本プロの分析。

画像: 超ワイドソールが砂の中を滑った結果。「濡れた砂がソールの後ろ側に残るのは、ソール前側から底の部分で砂を弾いて滑ったからです」

超ワイドソールが砂の中を滑った結果。「濡れた砂がソールの後ろ側に残るのは、ソール前側から底の部分で砂を弾いて滑ったからです」

「今日のように湿った砂では、より刃(リーディングエッジ)をボールの後ろに刺すイメージで大丈夫です」と、通常ならご法度とされる、アマチュア的な打ち方でも結果が出るやさしさを実感した。

前編の総評/
ウェットコンディションでの3モデル

ウェットなバンカーコンディションの試打を終え、松本プロは各モデルの印象を次のようにまとめた。

FR-3ウェッジは、「ソールの真ん中に溝があって、リーディングエッジはあえて刺さりやすく、真ん中から後ろ側のソールが、それを受け止めて滑るように設計されているウェッジだと思いますが、打ってみても、まさにその通りのやさしさと抜けの良さで、驚きました。計算し尽されています」と設計思想と実際の挙動の一致を称賛。

「今日のように砂面が硬い状況でも、ヘッドが地面に潜り込んでから滑るという感じで、安定感と再現性がすごい。あらゆるロケーションにクラブが勝手に対応してくれるオートマチックさが魅力ですね」と評価。

Dolphinウェッジは、「バンカーが苦手な人に“ずばり”の1本で、誰が打ってもヘッドを下に落とすだけで、適量の砂が取れて、そのまま柔らかい球が出て止まってくれます」とその絶対的なやさしさを語る。

「フェースを開かずにあれだけ柔らかい球が出てくれるのは、女性や力のない人にいい」としつつ、「今回試打したDW-125GのHigh Spinモデルは、ノーメッキフェースで、その名の通りスピン性能も高いモデル。バンカー専用だけでなく、花道でもラフでも、どこでも使える印象でした。バランスのいいウェッジです」と汎用性の高さも指摘した。

BunkRについては、「バンカーで突っ込んじゃうアマチュアの人、あるいは砂を深く掘り過ぎちゃう人のミスを『それでもOKですよ』と許容してくれるクラブ」と表現。

「湿った砂だと、特にヘッドを深めに入れようとしてザックリするパターンがありますが、BunkRはワイドソールが砂を弾いてくれます。そういったミスが多い方にお薦めです」と、明確なターゲット層を提示した。

「今日は湿ったバンカーのテストになってしまったので、晴れバージョンのバンカーが楽しみですね」と松本プロ。期待を胸に、後日の再テストへと向かった。


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