1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材し、現在は日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員として活動する吉川丈雄が、ラウンド中に話題になる「ゴルフの奥深い知識」を綴るコラム。第87回目は、日本のトワイライトプレーが9ホールに限定されがちな背景(税制や労働環境)とアメリカの合理的なプレースタイルを比較し、日没了承の割引料金で15時から18ホールを回れる新しいゴルフ場営業スタイルの可能性について。

トワイライトプレー=9ホール限定は税金や慣習の影響?

画像: 写真はイメージです

写真はイメージです

夏の19時といえばまだ空に明るさが残っている。その時間までに18番ホールのグリーンにたどり着くと逆算すれば、乗用カートを使って15時にスタートすれば十分に1ラウンド(18ホール)を回ることができる計算だ。だが、多くの日本のコースでは、まだ陽が高い15時以降の1ラウンドスタート枠は設定されていない。

日本のトワイライトプレーのほとんどが9ホール限定となっている背景には、ゴルフ場利用税の仕組みや運用の慣例が関わっていると考えられる。ゴルフ場利用税は各都道府県の条例により、ハーフ(9ホール)プレーや特定の時間帯の利用に対して全額(標準800円・上限1200円)の半額程度の軽減税率は設定されているものの、「9ホール単位でしか販売してはならない」という法的な制限があるわけではない。しかし、精算システムや税率区分の手間の観点から、コース側が「トワイライト=9ホールハーフプレー」と画一的に設定している側面が大きいのではないか。

かつてカリフォルニアのパームスプリングスを訪れた際、ホテルにチェックインしたのは14時過ぎだった。空はどこまでも広がるカリフォルニアブルーで、太陽はまだ高い。すぐに車を走らせ、ラ・キンタにあるマウンテンコースへと向かった。このマウンテンコースは名匠ピート・ダイが情熱を注いだことでも知られる話題のコースだ。ゲートのセキュリティで理由を告げるとバーが開き、プロショップへ案内された。アメリカではプロショップでプレー代を前払い精算するスタイルが主流だからだ。受付で会計を済ませると、「19時までにカートを戻してくれればいいよ」と一言告げられただけだった。

つまり15時スタートでも十分1ラウンドできるのだ。プレーを終了してハウスに戻るとすでに閉まっていて、スタッフはもう誰もいなかった。カートからバッグを降ろすと、カートをそのままにしてホテルに戻った。

画像: カリフォルニアにあるパームスプリングス

カリフォルニアにあるパームスプリングス

当然だが「このシステムはいいな」と思ったのと同時に、「なぜ、日本はダメなのか」という素朴な疑問が生じてくる。税金の問題だけではないだろう。もし可能なら税金を通常プレーよりも割引の1000円(1200円が上限)ほどにして1ラウンド可能とすればいいのにと思う。もちろん9ホールだけのプレーを希望すれば、プレー代とともに税金は通常の半額を徴収すれば済む。

だが、なかなかそうはいかない。コース側の本音としては、「従業員の時間外労働が発生してしまう」「わずか数組のためにポーターやマスター室のスタッフを配備するのは難しい」「夕方からはコースのメンテナンス作業(散水や刈り込み等)が始まるため、プレーヤーがいると作業の邪魔になる」といった現場の事情があるからだろう。

ゴルフ場の従業員に無理な残業を強要するつもりはないが、夏の15時はまだまだ明るい。工夫次第で十分に収益を伸ばせる時間帯ではないだろうか。昔、父親から「明るいうちはしっかり働け」と何度も言われた言葉が思い出される。

個人的には、15時から1ラウンドできる枠があるならば、予定のない週末には近くのコースへ出かけてサクッとプレーしたいと思う。日によっては進行が遅れ、日没で最後の2ホールほどがプレーできなくなるリスクもあるかもしれない。しかし、最初からそれを前提とした割引料金であれば、プレー法としても納得がいく。読者のみなさんはどのように思われるだろうか。

文・写真/吉川丈雄(特別編集委員)
1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースやゴルフの歴史のスペシャリスト。現在、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動中。

関連記事はこちら!


This article is a sponsored article by
''.