メキシコのビダンタ・バジャルタ(7337ヤード・パー71)で開催中のPGAツアー・フェデックスカップ・フォール「ビダンタワールド・メキシコオープン」の第2ラウンド。初日を単独2位で滑り出した平田憲聖は、この日もスコアを3つ伸ばす「68」でラウンドを終えた。通算11アンダーとし、首位のアンドリュー・ノバクを3打差で追う2位タイと絶好の位置をキープして決勝ラウンドへと駒を進めている。

36ホール唯一のノーボギー――実力者たちが散る中での異彩

通算11アンダーの2位タイ。首位と3打差で迎える決勝ラウンド進出は、一見すると初日のロケットスタートそのままの勢いを維持しているように映る。

今大会のカットラインは4アンダー(138)とハイレベルな伸ばし合いの様相を呈しながらも、世界ランク5位のウィンダム・クラーク(イーブンパー)や2023年大会覇者トニー・フィナウ(3アンダー)といった実力者が罠に捕まり、相次いで予選落ちを喫した。そうした難ホールが潜むコースで、PGAツアー公式ノートが伝えた「出場選手でただ一人、36ホール連続ノーボギー」という平田の記録は異彩を放つ。

だが、その快挙の裏側には、スコアカードを見ただけでは分からないもう一つのドラマがあった。それを紐解く鍵となるのが、初日と2日目でガラリと表情を変えたスタッツのデータだ。

初日の平田は、まさに非の打ち所がない完璧なゴルフを展開した。全18ホールでパーオンに成功(パーオン率100%)し、グリーンを狙うショットの貢献度を示す「SG: Approach to Green」は「3.196」で全体3位を記録。まさにアイアンが冴え渡っていた。

ところが、2日目は一変する。同指標は「-1.21」まで急降下し、順位も96位へと大きく沈んだ。それに伴い、パーオン率も66.67%(12/18)へと低下。つまり、18ホールのうち6ホールでグリーンを外し、アプローチショット単体で見ればフィールド平均よりもスコアを落とす計算になるほど、アイアンショットが乱れた一日だったのだ。データは、2日目の平田のショットが“不調”であった事実を客観的に浮き彫りにしている。

スクランブリング100%――ピンチを無力化した神業ショートゲーム

画像: リカバリー率100%で、出場選手唯一の36ホールノーボギーを記録した平田憲聖(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)

リカバリー率100%で、出場選手唯一の36ホールノーボギーを記録した平田憲聖(写真は26年ソニーオープン・イン・ハワイ)

では、なぜショットの不調にもかかわらず、平田はスコアを崩すどころか「68」をマークし、ボギーを一つも叩かずに切り抜けられたのか。その答えは、彼を根底で支えた卓越したショートゲームとグリーン上のパフォーマンスにある。

まずパッティングだ。初日に「1.167(34位タイ)」だったパットのスコア貢献度(SG: Putting)は、2日目に「1.355(29位)」へと向上。そして何より最大の勝因となったのが、グリーンを外した際のリカバリー率(スクランブリング)である。平田はグリーンを外した6ホールすべてで確実にパーを拾い上げ、驚異の「100%(6/6)」を叩き出したのだ。

ショットの乱れによって生じたピンチを、巧みなアプローチと勝負強いパットでことごとくねじ伏せる。まさに「しのぐゴルフ」の真骨頂であった。

このままいけば、ポイントランクは170位から137位へ

平田の2日目は、自身の状態を冷静に把握し、調子が悪いなりにスコアを組み立てる「マネジメント力」の結晶と言える。ショットが好調な日にはバーディを量産し、不調な日にはショートゲームで泥臭くスコアを死守する。この総合力こそが、世界最高峰のツアーで生き残るための最大の武器になる。

大会前はフェデックスカップ・フォールのポイントランキング170位に沈んでいたが、この2位タイキープにより、ライブ予測ランキングは一気に33順位浮上して「137位」へと急上昇。来季シード獲得への道筋を自らの手で力強く切り拓きつつある。

決勝ラウンドでは、舞台となるビダンタ・バジャルタ特有の強い海風が予想される。ショットの精度が乱されやすい過酷なコンディションだからこそ、不調を冷静にカバーする平田のリカバリー能力といかなる状況でも崩れないゲームメイクは、米ツアー初優勝とシード権奪取に向けた最高のアドバンテージとなるはずだ。

写真/岩本芳弘


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