「ワールドワイドテクノロジー選手権は、フェデックスカップ・フォール全8大会のうち第6戦ということで、順位もかなり気になる展開になってきますね。開催地のロスカボスは世界的にも有名なリゾート・観光地ですし、開催コースの『エル・カルドナル』はタイガー・ウッズが設計したコースという点でも注目度が高いですよね。美しいリゾート地を舞台に、シード権争いはもちろん、若手選手の初優勝や日本勢の活躍にも期待したいところです」
「エル・カルドナル」の特徴は?
「コースの特徴としては、ティーショットでのプレッシャーは比較的少なく、フェアウェイも広く設計されています。一方で、グリーンに向かうにつれてターゲットが徐々に狭くなっていく点が特徴的です。タイガー・ウッズが重視する『セカンドショットの重要性』という設計思想が反映されたコースという印象ですね。フェアウェイは広いものの、狙うべき場所は明確に決まっており、適切なコースマネジメントができなければスコアを崩しかねない戦略性の高いコースです。ビジュアル的にも美しいコースでありながら、ハザードもしっかりと効いており、自然の景観を生かしながらも戦略性に富んだ設計となっています。ヤーデージは7452ヤードあるんですけどパー5が4つあったりと飛距離を生かしたスコアメイクが優勝争いの鍵になるでしょう」
ワールドワイドテクノロジー選手権で杉澤キャディの注目選手は?
「今大会の注目選手は、ベン・ジェームスですね。今シーズンはわずか12試合の出場にもかかわらず、トップ5入りを4回記録しています。さらに注目したいのが、プロ転向後のPGAツアーデビュー戦となったRBCカナディアンオープンでの活躍です。36ホール終了時点で単独首位に立ち、プロ転向1試合目でそのまま優勝するかのような勢いを見せました。首位に立った際には、『ただ環境に慣れて、新しい友人を作り、楽しむことだけを考えていた』というコメントを残しています。プロ初戦にもかかわらず、自分の置かれた状況を楽しめるというのは、精神的な余裕がある選手ですよね。メディアや他の選手からも、まるでベテランのような精神力を持つ選手として評価されています。フラストレーションを表に出さず、常に落ち着いてプレーする。そのメンタリティこそが、彼の強みだと思います」

PGAツアー・ユニバーシティ1位の資格で2026年6月にプロ転向したベン・ジェームス。デビュー戦のRBCカナディアンオープンでは2日目時点で首位に立つ活躍を見せた
23歳という若さで、これだけ落ち着いたプレーができる。その精神的な強さの背景には、何があるのか。
「ベン・ジェームスは、シングルハンディキャップのゴルファーだった祖父と父の影響で3歳の頃にはクラブを握り、4歳になる前からレッスンを受けていました。そして10歳のとき、2013年『U.S.Kids Golf World Championship』で優勝。この経験が、自分もゴルフで成功できるという大きな自信につながったそうです。また、彼が育ったコネチカット州は冬の寒さが厳しく、屋外で練習できる期間が限られていました。そのため、テニス施設を改装した屋内ゴルフ施設などで練習を重ねてきました。一方で、あえて暖かい地域に移住することなく、風や雨、寒さといった厳しい環境でプレーする経験も積んできました。精神面では、バージニア大学時代にスポーツ心理学者のボブ・ロテラ氏と関わる機会がありました。ゴルフでは自分でコントロールできないことも多いと理解し、結果にとらわれすぎず、プレーそのものを楽しむ姿勢を大切にしてきたようです。こうした幼少期からの経験や考え方が、23歳という若さでありながら、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いてプレーできる精神的な強さにつながっているのかもしれません。そして、強いメンタリティを武器に、近いうちにツアー初優勝を飾る姿が見られるのではないかと思います」
フェデックスカップ・フォールでは来季のシード権争いが大きな見どころとなる一方、世界にはまだツアー初優勝を狙う実力者が数多くいる。ルーキーによる初優勝の可能性にも期待が高まる今大会。ベン・ジェームスをはじめとする若手選手の活躍に加え、金谷拓実、平田憲聖といった日本勢の上位進出にも注目したい。
U-NEXT/窪山京真
写真/Getty Images
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