「誇りある敗者」⑤脇役に落ちた尾崎の
「グッドルーザー」を思わせた最後のパット
すでに仕手は中嶋が演じていた。会心の川岸の一打をアウトドライブさせフェアウェイにティショットを飛ばした。尾崎は左のラフだった。すでに苦渋の色 は消えていた。
ヘビーラフか ら高々とボールを打ち上げた。クラブヘッドにひと塊の芝がからまりついている。それが尋常でないライであったことを訴えていた。「自分の 打ちたいショット」が出来たのか、透明度の高い秋空に舞い上がった白球を穏やかな眼差しで追っていた。ピン右4メートルほどにオンした。
つぎに川岸が打った。ピン手前3メートルほどに乗った。中嶋が最後に打った。ピンの根元に落下して、2メートルばかりオーバーした。グリーンサイドか ら盛大な拍手が上がっ...