バックスウィングとダウンスウィングの呼吸パターンを様々に変えてみる。そうするとショットの内容がどう変化するのか?考えられる限りの実験を試みた。これまでは「息を止めて打った場合」、「息を強く吐いて打った場合」を検証した。

最後となる今回は、「息を細長く吐いて打った場合」を検証した。

実験指導/白石豊(福島大学助教授・当時)
実験アドバイス/平山昌弘(当時)
試打/冨永浩プロ

95年中日クラウンズ  尾崎将司

スタートから急激に吸って、息を吐いた場合・・・

「まったく自分のタイミングじゃなくなってしまった。テンポが速くなったし、力が入りすぎた」(富永プロ)。前回の「強く吐いて」打ったときと同様にショットも乱れた。息を「細く長く」吐くはずが、「強く短く」吐いてしまう結果に。

切り返し寸前で吸って、息を吐いた場合・・・

これまでの実験でも“トップで吸う”という条件は最悪の結果となったいたが、今回もある意味当然ではあるが、細く長く息を吐くことができなかった。富永プロ曰く、「上下動が入って、気持ちの悪いリズムだった」。ヘッドスピードが減少する結果になった。

バックスウィングで細長く吸っていき、息を吐いた場合・・・

注目はヘッドスピードと飛距離の関係だ。ヘッドスピード47m/sで、295ヤードを記録した。これほど効率のいいショットは無いという最高の結果に。「素振りの感覚で打てて、バランスも楽に保てる。インパクトからフォローにかけて呼吸も安定していた」(富永プロ)。

この結果を踏まえて3人に対談してもらった。

画像: 左から平山トレーナー、白石教授、富永プロ

左から平山トレーナー、白石教授、富永プロ

楽に打ててしかも飛ぶ。それを両立できるのは、この呼吸

―――この呼吸リズムが一番振りやすそうでしたし、安定していましたね。

富永プロ はい。体もリラックスしていたし、緊張感も少なく、クラブコントロール、ボールコントロールがしやすい感触がありました。

平山トレーナー 外から見ていても、一番いいリズムでダウンスウィングしていましたよ。

画像: 尾崎将司(1995年当時) 偉大なプレーヤーのスウィングに共通しているのは、力みがなくて「リズムがいい」ということ

尾崎将司(1995年当時)
偉大なプレーヤーのスウィングに共通しているのは、力みがなくて「リズムがいい」ということ

白石教授 リズム発生を呼吸で誘導できていたわけですね。テニスでも力みを取るために「イエース」と言いながら打つ手法があるんです。力む人は「イエッ!」と息が詰まってしまう。それが「イエ―ス」と上手に吐けるようになると、自然でスムーズなストロークになってくるんですね。

富永プロ いいリズムで打ててるし、この方法はなにより疲れない。

白石教授 それが大事なんです。緊張しっぱなしで打つよりも緊張と弛緩をなめらかに交代しながら、つまりいいリズムで打った方が、力の伝達がスムーズになめらかに行われるから、エネルギー消費が遥かに少なくてすむ。運動を測る指標はまず合目的性ですが、それともう一つ経済性の原理も重要なんです。目的が達成されても、経済性に欠けていたらダメ。1流と言われる選手ほど楽にやっているように見えるでしょ。

平山トレーナー そのとおりで、日本の選手はパワーアップというように強さを問題にしたがるんですが、欧米選手は自分の本来持っているパワーをいかに効率よく出し切るか、という最大の効率を求めますよね。

白石教授 ゴルフの場合もこの2つの原理で考える必要があると思います。1発勝負ではなく、18ホール、72ホール、もっと言えば1年間通してできてこそ、本物だと思います。

画像: 水巻義典プロ

水巻義典プロ

富永プロ そのとおりで、ドライバーで力まかせ・・・というのはやりたくない。理想は、ドライバーからパターまで同じ呼吸法で「あそこまで飛ばしたいな」と思うだけで打てるようになりたい。できるだけ、14本のクラブを同じリズム、同じ呼吸で打つこと。それには今回の「長く吸って吐く」のが一番いいと感じました。

「息を止めて打った場合」、「息を強く吐いて打った場合」、「息を細長く吐いて打った場合」の3つの条件の検証を終えて、「息を細長く打った場合」が飛距離、効率の面からして最もいい結果となった。

今週の月金コラムでは、スウィング時の「呼吸法」に注目した。スウィングのカタチといった“外側”ではなく、“内側”から考えることで、今まである意味、盲点であった呼吸の大切さ、重要さに気づかされた。呼吸パターンを変えることで、スウィングが変わり、ショットの成否が左右されるということを・・・。スウィング改善に取り組むアマチュアに、無自覚だったであろう「呼吸」を見直すことをお勧めしたい。

※チョイス No.100より

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