キャビティバックの「CB」か? ポケットキャビティの「AP2」か?
タイトリストの「716シリーズ」は他にマッスルバックの「MB」、やさしく打てる「AP1」があるが、日本では「CB」と「AP2」が多くの支持を集めている。しかも、この2モデルで「どちらを選ぶか」迷うゴルファーが多い。そこで今回は、「2本がどのような違いがあるのか?」を徹底試打して洗い出そうと思う。
714シリーズよりもさらに近づいた「CB」と「AP2」
まずは、2本の顔の形状の違いを見てみよう。
まずは「CB」から。「CB」は構えたときにキャビティバック特有のシャープな印象を持つことができる。トップブレードが薄く操作性の高さがわかるだろう。上級者向きの顔だが、思い通りコントロールした球を打ちたいというゴルファーが好みそうだ。
続いて「AP2」。「CB」と比べるとトップブレードが厚く、球を「包み込んでくれる」かのようなやさしさがある。さらには、ネックの形状。FP値(シャフト軸線からリーディングエッジまでの距離)は、2本とも同じだが「AP2」のほうが、グースがしっかりつけてある。このあたりも、やさしさを感じる。
ちなみに、ロフト角は「CB」の7番が34度、「AP2」が33度と、わずかに差をつけている。
「CB」は打感に“厚み”がある
では、試打してみることにしよう。まずは「CB」から。
前モデルの「714 CB」に比べて、かなりやさしくなった。「ちょっと芯を外したかな」と思っても、打感も悪くならないし、距離の落ち込みも小さくったなど許容性が増した。今回、比重の重いタングステンを一体鍛造して、慣性モーメントをアップさせているが、効果はしっかりと出ている。
打感はマッスルバックとはまた違ったソフトなフィーリング。それでいて、芯を喰ったときに厚みがある。これは、打球面の裏にそれなりの厚みを残してある“ハーフキャビティ”形状の賜物だろう。ガッツリ打球面の裏を削り取ったキャビティバックにはない打感だ。
「AP2」は“柔らかい”打感を感じる
見た目的には「CB」に近くなった716シリーズの「AP2」だが、打感は厚みという点では「CB」に劣るものの、柔らかさでは「AP2」のほうに軍配が挙がる。やや芯がぼやけるとも言えなくはないが、柔らかい打感は気持ちよく芯が広い印象になる。
そして、打球だが、「AP2」のほうがヘッドの直進性が高く、「CB」をマニュアル車とするならば、「AP2」はセミオートマ感覚。「AP2」は球の操作感もありつつ、もちろん、直線的にターゲットを狙うこともできるオールマイティなアイアンだ。同じ軟鉄鍛造ながら、「AP2」の方が高初速で飛距離も3~5ヤード程「CB」を上回っている。
タングステンの効果は意外と大きかった!
今回打った「CB」と「AP2」は、どちらもタングステンを一体成型した複合モデル。これにより芯を外した時のヘッドのブレが小さくなり、許容性がアップしている。特に「CB」はその進化が顕著。そういう意味では、トップモデルの「MB」と「CB」の差が広がり、逆に「CB」と「AP2」の差が縮まった印象を受ける。
その中で、より妥協を許さないアスリート志向なら「CB」、やさしさが大事なら「AP2」ということになる。前作の714シリーズでも、「CB」と「AP2」で迷うゴルファーが多かったと思うが、今回はさらに難しい選択になりそうな予感がする。