洋食屋さんの定番メニュー“タンシチュー”
「美食ゴルファー養成講座」をテーマに、月刊ゴルフダイジェストで連載中の “ウマイ!の基準” 。今回は富士屋ホテル仙石GCのタンシチューです。富士屋ホテル仙石GCと言えば、日本で2番目に古いパブリックコース。ちょうど来年、開場100周年を迎えます。
1917年(大正6年)4月に横浜・根岸のニッポン・レース・クラブ・ゴルフアソシエイションのキャプテンF・E・コルチェスター氏の設計でコース建設に着手し、同年7月に7ホールが完成し開場。ちょうどその頃、宮ノ下御用邸(現、富士屋ホテル別館「菊華荘」)に避暑中の東宮殿下(後の昭和天皇)が仙石ゴルフコースに毎週のように行啓。当時はクラブハウスもなく、葦簾ばりの小屋を仮設して、殿下のご休憩所としていたそうです。
同年の9月に9ホールが完成し、1918年(大正7年)にクラブハウスが新築されました。その頃から箱根ゴルフ倶楽部は経営難に陥ったため1920年(大正9年)、従来の倶楽部組織を解散し、その権利一切を富士屋ホテルに譲渡し、新しく富士屋ホテルの直営で名実ともにパブリックコースとして発足となりました。
そんな同コースのタンシチューはいつからあるのかは定かではないですが、現料理長の工藤正博さんの「ゴルフ場で出す食事」へのこだわりは昔から受け継がれて今に至るまで変わらないとのこと。
ゴルファーのための食事に対するこだわりを取材してきました。その様子は動画でどうぞ!
こだわりのタンシチューを頂きました。分厚く切られた大きなタンが2枚、皿の上に鎮座します。ナイフをタンにのせるだけで、刃がスッと入っていく柔らかさ。まずひと口。最初に口に広がるのはデミグラスソースの野菜の甘さ。自然と舌になじむ味は、どこか懐かしさを感じます。そのあとにタンの味が追いかけてきます。バラ肉とは違って、さっぱりしていて、それでいて肉の味がしっかりしています。
噛まなくても口の中でほぐれていく感覚は、タンシチューならではの食感です。コクが強く、ゴルファー向けに味は濃いめ。疲れた体に染み渡り、ご飯が進む味わいに、ゴルフの疲れも飛んでいきます。
ゴルフに行く1日が特別なモノなのは、今も昔も変わりません。その特別な日の食事も、ゴルファーにとって特別であるべきだと思いませんか?100年続くゴルフ場のタンシチュー。まさに歴史グルメに間違いないと思います。