2011年、初挑戦でローアマチュア(アマチュア最高成績)を獲ってから6年。世界のトップ選手にまで成長した松山英樹は2017年、6度目の「マスターズ」を迎える。初制覇への期待は高まるばかりの松山にマスターズへの思いを聞いた。
画像: 2011年「マスターズ」で松山は27位に入り日本人初のローアマチュアに輝いた

2011年「マスターズ」で松山は27位に入り日本人初のローアマチュアに輝いた

18ホールまったく息が抜けない

Q:過去5回「マスターズ」という舞台を経験して、毎年同じコースでやるという難しさはどんなところにありますか?

「オーガスタってコースを知れば知るほど難しくなりますよね。グリーンは難しいし、セカンドは距離が残る。それを考えてティショットも精度が必要になる。ほとんど18ホールまったく息が抜けない展開が続きます。同じコースですけど、毎年同じコースではなくなるんですよね」(松山英樹、以下同)

Q:それはどういうこと?

「雨が振ったりフェアウェイがウェットになると距離が残ってまったく違う印象のコースになる。またグリーンの速さも毎年違います。2015年と2016年の優勝スコアの差が物語っていますよね。(2015年優勝スコアはジョーダン・スピースの15アンダー、2016年の優勝スコアはダニー・ウィレットの5アンダー)。それだけ毎年セッティングは変わるんです」

「でもその中でも、自分が2年連続で好成績を残せた(2015年5位、2016年7位タイ)のは自信になっています。そうなると今度のマスターズに期待したい部分はやっぱりどこかにあります」。

画像: 2016年「マスターズ」で前年5位の松山は7位タイと2年連続でトップ10フィニッシュを果たした

2016年「マスターズ」で前年5位の松山は7位タイと2年連続でトップ10フィニッシュを果たした

オーガスタは一概にドロー有利とは言えない

Q:よく言われていますが、やはりオーガスタはドローが有利だと思いますか?

「たしかにドローが有利なのは間違いないと思いますし、そういうホールも多い。でも伊澤(利光)さんが4位に入ったのも(伊澤はフェードヒッター)、左でドローヒッターのフィル(ミケルソン)がマスターズを得意にしているのもありますから、一概にドロー有利とは言えない。ドローもフェードも両方しっかり打てないとダメだと思います」。

画像: 左打ちのドローヒッターで知られるフィル・ミケルソンは過去に3度「マスターズ」を制している

左打ちのドローヒッターで知られるフィル・ミケルソンは過去に3度「マスターズ」を制している

Q:たとえばどのホールはフェードが考えられますか?

「うーん……、18番は特にそうだと思います。ドローで打つには相当自信がないと打てないと思いますよ、右の林が気になるし、あと1番もそうですね。きれいなドローを打っちゃうと、林まで抜けてしまう。ロリー(・マキロイ)もよくスタートホールでダボを打っているし、やっぱり時にはフェードを自信を持って振り切れるかどうかも、優勝する上では必要なことだと思います」

ロングアイアンでグリーンに止める技術力が必要

Q:優勝に向けてカギを握るホールを挙げてもらえますか?

「んー、1番と4番かな」

Q:てっきり後半のホールが挙がると思っていましたが……。

「1番はティショットが飛びすぎたら左を警戒しなければいけないですし、右のバンカーにも入れたくない。でもバンカーの手前に刻むと180ヤード残ってしまいますからね。距離が残ったらロングアイアンでグリーンに止めなければいけないんです。そう考えるとティショットがもの凄く難しくなる」。

画像: オーガスタナショナルGC1番ホール(445ヤード、パー4)は打ち上げで、右サイドのバンカーを越えるには330ヤードが必要になる

オーガスタナショナルGC1番ホール(445ヤード、パー4)は打ち上げで、右サイドのバンカーを越えるには330ヤードが必要になる

Q:いきなりしびれるホールからスタートするわけですね。

「1番はパーでいければOKですよ。同じく4番も距離が長いので(240ヤード、パー3)、高い球で止めたいんです」

画像: オーガスタナショナルGC4番ホール(240 ヤード、パー3)は距離が長いだけでなく、グリーンの落とし場所が限られる最難関パー3ホール

オーガスタナショナルGC4番ホール(240 ヤード、パー3)は距離が長いだけでなく、グリーンの落とし場所が限られる最難関パー3ホール

「ですからアイアンを持ちたいんですけど、アイアンで高い球を打ちながら距離を出すのは難しい。1番もそうですけど、オーガスタではロングアイアンでグリーンに止める技術が凄く大事になってきます」

画像: オーガスタではロングアイアンの精度がカギを握る

オーガスタではロングアイアンの精度がカギを握る

優勝候補と言われるなか、どんな活躍を見せてくれるのだろうか。

(月刊ゴルフダイジェスト2017年2月号より抜粋)

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