自らのスタイルを貫き通した池田勇太
池田は、ここオーガスタでも勇太スタイルを貫き、練習ラウンドも朝早くからパパッと回り、さっと引き上げる日々。ジェイソン・デイと回ったときは「勉強になりました。昔話(トーナメントで回ったこと)もしたり」と穏やかな笑顔を見せていた。
試合に入ると厳しい勝負師の顔に戻り、オーガスタナショナルを堂々と同組の誰より先を歩く、いつもの勇太スタイルで戦った。強風の予選で、1日目は2オーバーと粘るも、2日目はカットラインの7オーバーに。姿を見せるなり「100%(予選通過は)無理だよ」と、苦笑い。プロとしての体感は嘘を言わないのだろう。少し目に涙めいたものがたまっていたのは、風のせいか。

強風の中を必死に戦った池田
「こういうコンディションは初めてでしたが、本当に改めて難しいと感じました。自分の力です。攻略できなかった結果がここに出ている。……出続けるのも目標としなければいけない」と、この場に戻ってくる以上の決意、ロングランの舞台出演へ向け自分を磨き続けるに違いない。
「なにをやらなきゃいけないかわからない」ところから再スタートを切る谷原
谷原は、10年ぶりのマスターズ出場を勝ち取るまでまさに”満身創痍“であった。しかし、その充実感のまま、ここオーガスタに入り、本当に楽しそうに、いい笑顔を浮かべていた。いつも手料理で支えてくれる奥様、可愛い息子さんを連れての夢舞台は格別だったに違いない。
そして、10年前とは違う自分、持ち球のフェードボールだけでなく、ストレートも打てるように取り組んできた自分に自信を持っていた。「最初に立ったとき、広く感じたんです。昔は、狭くて嫌な感じばかりがするホールも多かったのに」

マキロイ、ラーム。注目選手とのペアリングだった谷原
1日目、想定外ともいえる強風のなかマキロイとラームという注目組で「一生懸命やってます」と言った。2日目、とうとうオーガスタの魔女に捕まった。「なんていうか……悔しいですね。一緒に回った二人は、飛ぶし球が高いし、それに低い球も打てる。アイアンは1クラブしか変わらないのにドライバーはあれだけ差がある。自分を見つめなおさなきゃいけない」と疲れた表情で一瞬、あきらめのような苦笑いを見せた。
「何をやらなきゃいけないかわからない」
この言葉を発した谷原はしかし、明日になればきっと、次の目標を見つける。そういう男なのだから。帰るころにはいつもの笑顔を見せ「ではまた」と言って去っていった。