ひたすら‟真っすぐ飛ぶ”ドライバー
アイアンで2番手飛ばそうと思ったら、5番アイアンに「7」という刻印を施せばいい、なんて意地悪な言い方もある。もちろんUD+2アイアンは、7番アイアンのやさしさで5番アイアンの飛びを実現したから人気となったわけだが、ドライバーで「+2番手」を実現するのは言わずもがな、ハードルが高い。その高いハードルに対して、ヤマハはどのような工夫を施したのだろうか。
「このドライバーの特徴は、ネックからフェースにかけて少しグースネックになっている点です。グースネックのウッドは珍しく、普通は違和感を感じるものですが、このクラブはネックからフェースにかけての作り込みが絶妙で違和感がないんです」(中村、以下同)
専用軽量オリジナルシャフト装着
グースネックにするメリットは、フェースがほんの数ミリ後方にある分だけ、インパクトでスクェアに戻りやすくなり、結果的にボールがつかまってスライスしなくなる。これにつきます。また、重心角も大きく設定されているなど、ボールをつかまえるための工夫が随所に施されています」
ルール限界に迫る反発性能
「打ってみると、軽くて振りやすく操作がしやすい。この場合の操作とは球筋を操れるということではなくクラブを思ったように振りやすいということ。多少スウィングにクセがあってもインパクトで修正できる操作性があります。そしてなんといっても特筆すべきはつかまりの良さ。高弾道ドローがやさしく打てます」
とにかくこのクラブの特徴はそのつかまりの良さ。20ヤード曲がる人が真っすぐ飛ぶようになれば、それは「+20ヤード」すなわち“2番手飛んだ”といって過言ではない。
FWが苦手な人こそ、打ってみて欲しい
続いて、フェアウェイウッドを見ていこう。
「これも少しグースの入ったネック形状だが違和感は最小限。シャロ―フェースなので、打ち込まなくても球を上げてくれる安心感があるし、実際にビックリするほど簡単に打てます。フェアウェイウッドが苦手な人なら、打ってみる価値ありますよ!」と、中村。
よくつかまり、よく上がる
印象的なのは、ドライバーとの“つながり”だ。構えたときの顔はもちろん、打ったときの打感、そして実際に出る球筋、すべてがドライバーと似ている。つまり、ボールがよくつかまり、かつよく上がり、金属的で“飛んでいる気にさせてくれる”打球音が得られる。
抜群の抜けの良さを実現
クラブ・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞したのも納得の、シリーズとしての完成度を感じることができる。とくにスプーンはやさしいので、一度お試しを。
やさしさと操作性を兼ね備えたUT
続いて、ユーティリティ。
「ドライバー、FWと同じく全体的なシェイプが統一されていて、まったく違和感がない。こうなるとウッド系はシリーズでセットするべきですね」と、やはりセットの“流れ”を中村は評価。
構えただけでやさしさが伝わる
FWと同じシャロ―フェースで、ネックが短く低重心。ミート率が少し悪くても、球を上げてくれるし、飛距離の落ち込みも少なくなる。打ち上げのホールのときには力強い味方になってくれるので、多少のラフやライの悪いところでも使えそうだ。
低重心で球を上げてくれる
お世辞抜きでシリーズを通して完成度の高いUD+2だが、このユーティリティのやさしさも特筆すべきものがある。ウッド、ユーティリティ、アイアンを自分に合うように組み合わせれば、150〜200ヤード前後のロングレンジが見違えるほどラクになる可能性がある。
「2番手上の飛び」というよりも「2番手下のやさしさ」を感じられるアイアン
最後に、アイアンだ。見た目は、アイアン型ユーテリティに近い。幅の広いソールでフェースの高さは低いシャローフェース。ネックも短いのでかなりの低重心になっているように感じる。
軽く振り抜ける
「若干グースネックになっているので、打ち込む必要がなく、軽く振り抜けば、クラブが勝手に球を上げてくれます。実際に打ってみるとたしかに飛距離は出ますが、2番手飛ぶというよりは、6番アイアンを持っても8番アイアンのやさしさで打てるという印象ですね。その分力まずに打てるからミスショットの割合も低くなる」と分析する。
弾き感のあるフェース
シリーズ全体を通して試打してみたが、とにかく「つかまる・上がる・ミスに強い」が徹底している。そして、「つかまって、上がって、ミスしても大丈夫」だから、結果的に飛ばせる。飛びを謳うクラブはとかく一発の飛びを追求しすぎて道具としては扱いにくくなりがちだが、このシリーズは平均飛距離を上げてくれる印象がある。
気になっている人や、アイアンしか打ったことがないという人は、一度シリーズ全体を試打してみることを勧めたい。