不本意な出だしとなったマキロイとデイは、自滅といった印象です。二人とも、打っている球自体は素晴らしいのですが、無理にピンを狙いにいった結果、大怪我をしている姿が見られました。
マキロイは大会前に長く伸びたラフに関して質問され、「こんなにフェアウェイが広いコースでラフにつかまるようなら、コースから去ったほうがいい」といった趣旨の発言をしていましたが、こうしたビッグマウスを叩くと、「あんなこと言っておいて、予選落ちしたらシャレにならない」という意識は絶対に働くと思います。
デイに関しては、バーディ、パー、パーといい調子で出たのに、4番でトリプルボギー。これを取り返そうとして無理に狙った結果、ナイスショットがグリーン奥にこぼれるなど、縦の距離感に狂いが生じて、どんどん苦しい展開に自分を追い込んでしまいました。
風もさして吹かなかったこの日、マキロイやデイほどの選手にとって全然難しいセッティングではないはず。それでもこのスコアになってしまうのが、やはりメジャー、全米オープンなんでしょう。
グリーン上で苦しんだ松山は宮里・父のパッティングレッスンを受講
松山選手に関しては、パッティングにつきます。ボギーがひとつ先行した後、パー4のセカンドを直接入れてイーグルがありましたが、それもいわばショットで奪ったイーグル。最後までパットがグリーンにフィットせず、少しずつ少しずつ崩れていった印象です(2オーバー、82位タイでホールアウト)。
ホールアウト後、以前教わったことがあるという宮里優作選手のお父さん(宮里優氏)にパットのワンポイントレッスンを受けていましたが、パットのフィーリングが合いさえすれば巻き返しはまだ十分可能なので、明日以降に期待です。
前半5ボギー、後半5バーディ「大波賞」だった池田勇太
素晴らしいプレーを見せてくれたのが池田勇太選手。前半で5オーバーを打ち、見ているこちらも厳しいかと思いましたが、後半は前半のボギーをすべて取り返す5バーディの会心のラウンド。「これ以上順位が落ちることはない」といい意味で開き直り、感覚重視のゴルフに舵を切ったのが功を奏したようです。最終ホール、4メートルくらいのバーディパットをかなり強く打ち、バコン! と入れてフィニッシュしていきましたが、このあたりは強気に攻めた後半を象徴しています。
そして、首位に立ったリッキー・ファウラーです。彼のプレーは練習ラウンドでもチェックしていましたが、そのとき感じた調子の良さそのままに、まるで練習ラウンドの再現のようなプレーをしていました。全米オープンは例年、「規定演技」ではなく「自由演技」が求められる印象がありましたが、初日は彼ひとりだけ「規定演技」をしているかのようでした。
2位にはイングランドの実力者、ポール・ケイシーと共に、ザンダー・シャウフェレという聞き覚えのない名前が並んでいます。このシャウフェレ選手、チラッと見ましたが、半端じゃなく飛びます。ドライバーの飛距離は350ヤードクラス。日本ツアーで頭ひとつ抜けた飛ばし屋であるチャン・キム選手級の飛距離を持つ選手がゴロゴロいる。それが世界なんだということを痛感しています。
しかし、池田勇太選手が後半だけで5つスコアを伸ばしたように、日本人選手にもチャンスがないわけではありません。そして、DJ、マキロイ、デイといった選手たちがこのままあっさり予選落ちするとも思えません。2日目以降、さらに楽しみになってきましたね!
※2017年6月16日 誤字を修正しました