今季、好調の時松隆光。彼の代名詞は「テンフィンガー」グリップだが、そのパッティングスタイルも独特だ。それでも、時松のパットはよく入る。一体なぜなのか。時松本人と週刊ゴルフダイジェストの連載「みんなの桜美式」でおなじみ、師匠の篠塚武久氏がレッスン!
なぜ、時松だけが「入る」のか!?
ゴルフダイジェスト編集部(以下、GD):時松プロは、パッティングの際に何を意識していますか?
時松隆光(以下、時松):ボールを「打つ」のではなく「転がす」。ヘッドを下から上へと引き上げ、ボールにキレイな順回転をかけてあげる。昔からこのスタイルなので違和感はないですね。
篠塚武久(以下、篠塚):従来は「振り子のように打つ」がパッティングの常識でした。グリップは両手合体型のオーバーラッピングなど。首を中心にして、両わきを締め、両腕をなるべく使わず、両肩の入れ替えで打つ。これだと、ヘッドが最下点を通過する一点で打点を合わせるしかなく、しかも器用な右手が殺されているグリップだから、押し出しや引っかけのミスがでてしまうんです。
GD:桜美式のボールは、いつも同じように転がります。
篠塚:「振り子」でヘッドを斜め上に上げ、それを下ろして「打つ」のではなく、小さくテークバックして「転がす」。ヘッドの動きは、真っすぐ引いて、真っすぐ出して、インパクト以降で自然と斜め上へ抜いていく。
GD:ヘッドが昇るから「ライジングパット」ですね。
時松:インパクト直後の出だしで球が回転しないまま芝の上をすっ飛んで距離感が合わなくなったり、球が芝に食い込んでしまうミスもなくなる。「転がり」に不安がないので、意識するのはグリーンの状態と距離感・タッチだけなんです。
この記事は、週刊ゴルフダイジェスト2017年11/28号の特集「ツアーで騒然『桜美式パット』なぜ、時松だけ入るんだ!」より。魔法のように転がるパッティングの秘密、詳しくは本誌にて。
写真/姉崎正、岡沢裕行