タイガー自らがキャプテンに立候補した理由とは?
9度目の優勝がかかるPGAツアー、アーノルド・パーマー招待開幕前、プレジデンツカップ両チームのキャプテンが発表され、米チームを率いることになったタイガーとインターナショナルチームの主将に選ばれたアーニー・エルスが揃って壇上に並び盛大な記者会見が催された。
会見場の中央にはコミッショナー、ジェイ・マナハン氏。彼を挟んで左にタイガー、右にエルス。2003年の同大会でプレーオフを戦い日没までに決着がつかず引き分けとなった因縁の両者の顔合わせなのだから嫌がおうにも盛り上がる。
キャプテンになった経緯をたずねられたタイガーが語りはじめる。
きっかけはデービス・ラブlll、フレッド・カプルス、ジム・フューリック、スティーブ・ストリッカーらとグループチャットをしていたときのことだった。
「プレジデンツカップの次期キャプテンは誰?」という話題になった。すると皆が「タイガー、君だって最終候補のひとりだよ」といいだしたのだ。
キャプテンについてはそれまでまったく考えてもいなかったタイガーだが、先輩たちにいわれて改めて思いを巡らせると「待てよ、自分が本当にやりたかったのはこれじゃないか?」という思いがふつふつと湧き上がってきた。
善は急げ。すぐに電話を取るとコミッショナーのマナハン氏に連絡。
「ジェイ(モナハン)、2019年のプレジデンツカップのキャプテンに僕がなるっていったらどう?」と自ら立候補宣言をしたという。すると相手は予期せぬ提案に面食らい「………」。「沈黙だったよ」タイガーは笑顔でそのときの状況を振り返った。
こうして急転直下、タイガーのキャプテン就任が確定。
もちろん本人は「プレイングキャプテン」を強く意識している。昨年副キャプテンを務めた同大会では「体調のこともあって選手として参加できる状況ではなかった。でもいまはまったく話が違っている」と自らも選手として戦いの舞台に立つ気満々だ。
前回までキャプテンピック(推薦)は2名だったが次回からは4名。よりキャプテンの意向がチームづくりに反映されることになる。
舞台はインターナショナルチームのホーム、豪ロイヤル・メルボルンGC。ロイヤル・メルボルンといえば1998年に丸山茂樹が破竹の5連勝でチームの勝利に貢献した印象深い場所。以来引き分けを挟み8連敗中のインターナショナルチームとしてはエルスが声をかけ丸山を副キャプテンに招聘する可能性もあるはずだ。
まだ本番までは1年半以上ある。とはいえ1年半はあっという間。キャプテン・タイガーの動向から今後も目が離せない。
写真/姉崎正