マスターズでの復活優勝のポイントはベント芝!?
「信じられないかもしれないけれど、ベントグリーンのコースではここ2年間プレーをしていないんだ」。アーノルド・パーマー招待のあとのインタビューでタイガーはそう打ち明けた。
フロリダの自宅周辺のゴルフ場のグリーンはほとんどがバミューダ芝。オーガスタのベントグリーンは芝目がなくスムーズだがバミューダは高麗芝に似ており気温&湿度の高い地域で採用されることが多い。特徴は茎葉が太く芝目がきついこと。
元来「速いグリーンのほうが好き」というタイガーは、ベントグリーンのオーガスタで過去4度の優勝を飾っており「以前は得意だった。読みに関してはブランクがあっても錆びついていないと思う」というが「なにしろ3年前のヤーデージブックしか持っていないからね。それがどう変わっているか……」とベントグリーンの攻略がスコアメイクの鍵になると語ったのだ。
そんなタイガーにとって頼れる助っ人がいる。それは92年のマスターズチャンピオン、フレッド・カプルスと98年の覇者マーク・オメーラだ。3人は本番前に練習ラウンドをともにするのが恒例。
タイガーにとって2人は「チャンピオンズディナーでも隣同士に座る」いわばゴルフ界の兄貴的存在。「オーガスタは経験値が高ければ高いほど知識の引き出しが増す」というタイガーは改めて兄貴たちからベントグリーン攻略の術を引き出す作戦だ。
そしてもう1人注目されているのがジェフ・ノックス氏の存在。ノックス? いったい誰? と思っている方のために説明すると、ノックス氏はオーガスタナショナルのメンバーでマスターズの週は予選通過者が奇数のとき選手がひとりで回るのを避けるためマーカーとしてプレーする大役を任されている。
2014年、当時世界ランク1位だったローリー・マキロイが一緒に回りノックス氏の70に対してマキロイは71。「世界ナンバー1を負かした男」として一躍有名になった。
「彼ほどオーガスタのグリーンに精通している人はいない」とマキロイを感嘆させたノックス氏は昨年のチャンピオン、セルヒオ・ガルシアと回ってガルシアを負かすなど地元では超有名人だ。
タイガーもノックス氏と練習ラウンドを経験しているひとり。タイガーの元には「練習ラウンドを一緒に回りたい」という若手のリクエストが数多く届いているようだが、現時点で彼が公言しているスパーリングパートナーは「JT」ことジャスティン・トーマス。
実はトーマスとノックス氏の息子リーさんはアラバマ大時代のゴルフ部のチームメイト。彼らの間でノックス氏は「すでに伝説の人」だそうで、ひょっとすると大会前タイガーとJT、ノックス氏のラウンドが実現するかもしれない。
オーガスタのベントグリーンを知り尽くしたノックス氏のアドバイスがあれば鬼に金棒? タイガーのマスターズ5勝目はありかなしか?
写真/姉崎正