2006年に2位と7打差のぶっちぎりでプロテストトップ合格。ルーキーイヤーの2007年は勝利こそないものの約4700万円を稼いで余裕でシードを獲得すると、2008年に初優勝、2009年には年間5勝で賞金ランク3位。その後も成績を残し続けて、2013年から米ツアーへ……ほんの5年ほど前まで、有村智恵選手のキャリアは順風満帆の一言でした。
そんな有村選手といえば、コックを早い段階で使ったコンパクトなトップから繰り出されるキレのいいショットが最大の武器。早い段階でコックすることで腕の運動量と体の回転が比例し再現性の高いスウィングが特徴です。
サロンパスカップの練習日に彼女のスウィングを間近で見る機会がありましたが、渡米前の成績的に良かった頃と比べて、その印象は変わりませんし、いいボールを打っていました。にも関わらず、スタッツを比較すると2012年に9位だったパーオン率は72位と、大きく数字を落としています。
時間が経てば使うクラブが変化し、肉体も変化します。ゆえに、ゴルフのスウィングにおいて過去と現在のスウィングと比べるのはあまり意味をなさないとは思いますが、あえて2013年当時と比較してみたところ、わずかではありますが、トップでの腕の動きが少し大きくなっており(写真2)、その分ダウンスウィングで上体の開きが早くなっているように見えます(写真3)。
左腕が地面と平行になる位置でクラブが立つアーリーコックのスウィングの場合、上半身も早い段階で深く捻転されているので腕を高く上げる必要がないのですが、腕だけが上がってしまうと、切り返しで腕が遅れ、その分だけ上体の開きが早くなります。
結果、クラブが寝て入りやすくなることで、出球がイメージとわずかにずれている可能性があります。もしかしたら、米ツアーで知らず知らずのうちに飛距離を出すために変えた部分なのかもしれません。
とはいえ、これは連続写真を仔細に見比べて初めて気がついた程度のこと。現に「ほけんの窓口」では3日目にその日のベストスコアタイとなる「68」の好スコアを叩き出し、首位と2打差で4位に入ってもいますし、試合の展開や、ほんのささいなきっかけひとつで、復活優勝は今季中に十分可能だと思います。
国内女子ツアーは今季からリランキング制が導入され、6月のアースモンダミンカップ終了時点までの獲得賞金額により出場順位の並び替えが行われます。有村選手の場合、すでに獲得賞金額は1000万円を超え、この分で行けば後半戦も試合で戦う彼女を見る機会は多くありそう。
輝かしい実績と、たしかな実力は疑う余地がありません。願わくば今季中の復活優勝に期待したいところです。