元々私は、他の選手のスウィングをほとんど見たことがなかったんです。現役中は自分のプレーだけに集中するタイプだったし、他の選手を見て自分がブレてしまうのが嫌だったから。意図的に関心を持たないようにしていたんです。
日本ツアーを引退してからいろんな選手のスウィングを見るようになって、今さらなんですがスウィングにもトレンドがあるんだと思い始めました。クラブが進化すれば当然、それに合わせてスウィングも変わる。そんなことを考えていたら『もっとスウィングのことを知りたい、学びたい』と思うようになったんです。 そこで「一冊丸ごとスウィングを解説した本ってないんですか? 」ってお話ししたら「ボミプロが解説したら面白いんじゃないですか? 」と、逆に提案されてビックリしましたが、楽しそうだからやってみようと思ったんです。
こういうスウィング解説は初めての経験。ツアーの最前線で活躍されていて、その中で私が気になる選手をピックアップさせてもらいました。私なりの視点で解説させてもらったので、拙い表現もあるかもしれませんが、少しでも参考になれば嬉しいです。
松山英樹 24ジェネシス招待・優勝/パリ五輪・銅メダル
世界ランク12位
PGAツアー通算9勝
平均飛距離:297.2Y
「スタンスが広いのに、なんでこんなに回れるの!?」
広いスタンスが特徴です。広いスタンスを取ることで安定感のあるショットを打つ印象を受けます。始動から頭は動かず、右ひざを回し骨盤を後ろに引いています。両腕は右わきの肋骨部分から遠くに行くのではなく体に近く、体の中に腕を置こうとするスタイルに見えます。
頭の位置もほとんど上下動しないのはさすがですし、インパクトに向かう間にしっかりと左の壁ができるのもさすが。その結果、インパクトで完璧な「逆K」の形が作れています。最もボールに力を与えられる形と言えます。
スコッティ・シェフラー 24マスターズ・優勝/24ザ・プレーヤーズ選手権・優勝/パリ五輪・金メダル
世界ランク1位
PGAツアー通算12勝
平均飛距離:301.4Y
「体の右サイドでコントロールしている」
特徴的なのはトップ時の肩の回転量。回転量が多く、正面から見ると手の位置が頭よりも右側にあります。これだけ手を動かすとフェース面のキープが難しいのですが、しっかりスクエアに保たれていますし、骨盤もよく回っています。
ダウンスウィングは右腕に注目してほしいです。右ひじが体の近くを通り続けることで軌道を安定させています。インパクトからフォローにかけて右足が大きく動くのは驚きですが、頭の位置は保たれていて、体の右サイドを一緒に回転させてフィニッシュのバランスを取っています。
イ・ボミ 全盛期のスウィングをセルフ解説
Bo-Mee-Lee
昨年のマスターズGCレディスを最後に日本ツアー引退。通算21勝
「手首をリリースしてドローを打っていた」
ボールの位置が他の選手よりも真ん中寄りですが、しっかりと左足に重心がかかっていて、壁も作られていますね。私のスタンス幅は狭いですが、これが一つの特徴。頭の動きを少なくする意識もありました。右手首のコックがないのも特徴。
右手首をコックしないままクラブを上げ、ダウンスウィングで少しコックを入れる。インパクト前にリリースすることでヘッドだけシャローに落としていました。インパクトでフェースを返しながらドローを打っていたんです。あー、この時に戻りたい(笑)。
TEXT/Myungwook Kim
PHOTO/Takanori Miki、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Blue Sky Photos
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2024年パリオリンピック「男子ゴルフ」で熾烈なメダル争いを魅せてくれたローリー・マキロイ、ザンダー・シャウフェレ、今週開幕の「女子ゴルフ」のネリー・コルダや笹生優花などの連続スウィングも掲載している。続きは2024年8月20&27日合併号の「週刊ゴルフダイジェスト」、または下記の「Myゴルフダイジェスト」でチェックしてください!